1-12 状況把握は探索の基本②
X、YouTubeコンテンツも同時に行ってます。
良かったら見て行って下さい。
YouTube:https://www.youtube.com/@Ferrish-Frairies
X:https://x.com/FerrishFrairies
「ちょっと、それってどういう事? それに、なんでランダルさんを睨んでいるのよ」
いや、別に睨んでは居ないよ、ただ微妙に怪しい人を見ているだけで。
「おや、アンネさんは、私がネアカガリアの回し者と思われているのですか?」
「いえ、それは無いと思ってる」
「無いの⁉ じゃぁなんでランダルさんを睨むの⁉」
いや、だから睨んでいるわけじゃないから。
いい反応を返すキハナに、状況に追いつけずあわあわしているファウナちゃん。いや、二人ともいいリアクションをしてくれる。
「ランダルさんについては最後、それよりもネアカガリア側に気づかれている事だけど、まず第二王子がフォルシウェスを蔑視している事、そんな事普通公言しない、それなのにソレが広まっているって事は……どうしたの?」
私が推察を話し始めると、ランダルさん、キハナ、さらにはファウナちゃんまでもが、微妙な表情で私を見てくる。
そんな妙な空気の中、最初に話し始めたのはランダルさんだった。
「いやぁ、確かに普通の感覚ならそう思いますよね」
「え、それって……」
「ええ、しっかりと公言しているわよ、しかも政権簒奪前から」
「私の友達にもフォルシウェスの子が居て、怖がってたよ」
いや、ハズ、ドヤって言った私、凄く恥ずかしいんだけど。
「いやそもそも妹のファウナが知ってて、なんで姉のアンネが知らないの?」
あ、いや、それは……
「まあぁ続きを聞いてみましょう、どうぞ話して下さい」
え、推察の前提条件を思いっきり間違えているのに、続きを促すなんて、ランダルさん、あなたは鬼ですか⁉
「そう睨まないで下さい、当たらずとも遠からずですから」
「そうなの?」
「ええ、確かに第二王子は、普通なら恥辱とも言える思考を公言していました、でもだれもそれを実行するとは思っていなかったのです」
「たしかに、そんな事、国王や第一王子が許さないか」
「いえ、そんな事ないですよ」
無いのかい⁉ 今脳内で絶賛台パン中だよ!
「政権を簒奪されたからと言って、国王や第一王子がまともだったとは言っていません、単純にフォルシウェスに興味が無く、領土略奪に夢中だっただけです。
なので第二王子は、フォルシウェス蔑視を公言しても、実行できるだけの兵を持つことが出来なかったのですよ」
「なるほど、じゃぁそれを前提として、今まで攫うなんて思わなかったけど、政権を手に入れて実行に移した、だからフォルシウェス達は国境越えを決意した」
「ええ、そうね」
「つまり国側は、フォルシウェスが逃げようとしている事は、把握している事になる、そして国境近くに集まりやすい場所、つまりは元開拓村跡がある、当然国側も開拓村については把握しているでしょ」
通常開拓なんて、国政として行うような事でしょ。
「た、確かに、じゃぁなんで兵隊たちが来ないの?」
「政権を手に入れたばかりで、それ程多くの兵隊を動かせないから」
そう、政権が移ったばかりだとするなら、軍事編成などを見直さないと、下手すればクーデターされ返される。
「なるほど、確かに……じゃぁ早く逃げないと⁉」
「そう、だから時間稼ぎの妨害の可能性がある」
普通に考えるならこれが一番可能性が高い、でもそれでも無視できない問題がある。
「でもやっぱり気になるのは、野犬の異常発生」
「野犬? 確かに今まで聞いたことが無い程、規模の大きな群れみたいだけど、私はネアカガリアの妨害の方が納得できるよ」
確かに、そっちの方が明確な動機があるからね、でも問題が起きた時、起きる前と起きた後で明確に変わった事があるなら、それが原因である可能性が高い。
「一番気になるのは、今までにない規模の群れを統率する個体がいる事」
「それって、そんなにもおかしい事なの?」
「突然現れたのならおかしい、上位種でも出たとか?」
でも野犬の上位種って何だろう、ウルフ? コボルトとか?
「上位種ってなに?」
え、上位種を知らない? と言うかその概念が無いのかな?
思わずランダルさんを見るけど、首を横に振る。
「えっと、突然変異とか進化でさらに優秀な個体が出たとか、あとは同種の魔物とか」
「進化? 魔物?」
え、え、なに、進化も魔物も概念が存在しないの?
「進化と言うのは、既存の種族が環境などに適応して別の種族になる事ですね、長い年月がかかりますし、突然出現することはありません。
魔物は神話やおとぎ話で、悪魔が連れている獣を魔物と言う事もあるそうです」
私が混乱していると、ランダルさんが答えてくれた。
でも私が予想していたのとは違う、進化は現実的だし、魔物はおとぎ話の中だけのもの。
あれ、此処って魔法のある世界だよね? 魔法と言うファンタジーがあるのに、進化や魔物と言うファンタジーは無いの?
「なぁんだ、じゃぁアンネが言っている事って、あり得ない事なのね」
「いえ、群れを統括している個体が居るのは間違いないでしょう、ただその個体が突拍子もない憶測だっただけで」
え、なに、二人とも私に何か恨みでもあるの?
「ア、アンネお姉ちゃんは、考えられる可能性を言っただけだもん」
ありがとうファウナちゃん、でも考えられない可能性って言われているんだよ、って、ちょっとまってよ、もしかして……
「結論を言うと……」
「え、進化や魔物じゃないの?」
私が仕切り直そうとしているのに、蒸し返さないでよ。
「結論を言うと」
「だからしん……」
「結論を言うと」
「あ、はい、どうぞ」
よし、私の無表情の圧力で押し通した。
「結論を言うと、野犬の異常発生とネアカガリアの妨害、これは繋がっている可能性がある」
私の言葉に、キハナとファウナちゃんが驚き、ランダルさんは関心した表情を浮かべた。
読んで頂きありがとうございます。
1-4までの後書きで散々言ってきましたが、
YouTubeコンテンツも同時開催となっております。
その為土日祝は更新お休みでYouTubeコンテンツを主にします。
面白いと思って頂けたなら、高評価、ブックマークをお願いします。
感想頂けるととても励みになります。




