1-11 状況把握は探索の基本①
X、YouTubeコンテンツも同時に行ってます。
良かったら見て行って下さい。
YouTube:https://www.youtube.com/@Ferrish-Frairies
X:https://x.com/FerrishFrairies
「戦略を使った事って、確かにそれも異常だけど、私としては数が多い方が厄介よ、それだけ森を抜ける時に見つかりやすいって事じゃない」
確かにキハナの言う通り、数が多いって事はかなり厄介だけど、そこだけに注目したら、根本的な問題が見えない。
「じゃぁなんで数が多くなったと思う?」
「え、そんなのたまたま集まったとか? でもそんな事考えたって、今異常な数の野犬が森にいる事は事実なんでしょ? だったらその対策を考えないと」
「通常群れの数の多さって言うのは、統括しているリーダーの技量によるもの、つまり今までにない戦術を使った事と、群れの数が多くなった事の原因は、それだけ技量の高いリーダーが現れたって事」
「え、あ、そっか、じゃぁそのリーダーを何とかすれば、この件は解決?」
「アンネお姉ちゃん凄い!」
納得したキハナに、目を輝かせて私を称賛するファウナちゃん。
うん、なかなか気分がいい、それはそうと、ファウナちゃんは話について行けず、置物状態になっていた。
だけど、これで解決するかどうかは分からない、今のはただの推測でしかないから。
「でも何度か森に入った事はあるけど、今森がそんな事になっているなんて気づかなかった」
「森に入った事あるの?」
「ええ、もちろん、国境越えは森を通るのだから、いざ当日にぶっつけ本番でなんて、自殺しに行くようなものよ」
たしかに、下見無しに深い森を抜けろなんて無理な話だ。
「だから戦闘能力のある人が、たびたび森に入って、国境までの道順を確保していたの、もちろん亡命の使者はこの道を通って行った、だから国境を超えるまでは問題ないと思っていたの」
なるほど、そうするとますますきな臭い、本当に向こうで消されているのでは?
「この辺りの地形を把握したい、地図ある?」
「そんなの無いわよ」
なんにせよ、もっと情報が欲しい、まずは地形からとキハナに地図を頼むけど、あっさり無いと言われた。
え、国境越えしようとしているんだよね? 地形の把握しなくて出来るの?
そんな会話をしていると、家のドアをノックする音が聞こえた。
「はぁい、だれ?」
「ランダルです、こちらにアンネさんが来ていると聞いて」
「あ、はい、いますよ」
どうやら微妙に怪しいランダルさんだったみたい、キハナがその声に答えてドアを開けると、ニコニコ顔のランダルさんを家の中に迎え入れる。
「ちょうど良かった、この辺りの地図見せて」
確かランダルさんは商人だった、なら地図くらい持っているでしょう。
「地図ですか? 主要街道しか乗ってませんよ、何せ手作りですから」
ないの⁉
「この国はずっと隣国と戦争していたんですよ、地形情報なんて、お国が独占していますよ」
あぁ、確かにそうだった、でも主要街道だけでも、あるだけ助かる。
「その地図でいいから見せて」
「はいはい、いいですよ」
ランダルさんが軽く返事すると、荷物から地図を出し、テーブルに広げる。
それにしても、この狭い家の中に、子供が三人とは言え、四人入ると狭さがより実感する。ファウナちゃんなんて、立つ場所が無く、ベッドに座ってポケーとしてるよ。
そしてランダルさんが広げた地図をのぞき込む、事前に言われた通り、そこには主要街道しか書いて無く、分かれ道も、ある事は書かれているが、使われていないと思われる道は、分かれ道以降書かれていなかった。
「とりあえず、今の場所と森の規模を教えて」
「え、あ、うん、書き込んでいい?」
「ええ、大丈夫ですよ」
ランダルさんに断りを入れ、森とここまでの道を書き込む。どうやらランダルさんは、ここまでの道を書き込んでいなかったようだ。
「まずは此処までが馬車で来れる限界、そしてそこに今の村があるの、元々開拓村を作る予定の場所だったみたい」
え? 元開拓村の予定地?
「そして森はこんな感じ、ここから先は森が深くて、開拓するのに向かないって判断されたみたいね」
そして書き足された森、どうやら主要街道は、この森を迂回して隣国に伸びているみたい。
「そしてここと、ここに砦があるよ、昔一つ目の砦が奪われたことがあるみたいだけど、二つ目で何とか防衛、そして奪い返したって聞いた」
おぉう、本当に奪い奪われしていたんだね。
「さて、それで、何か分かりましたか?」
ニコニコ顔で口をはさんでくるランダルさん、やっぱり怪しいよね。
「まず前提条件を思いつくだけ考える、そこから消去法で一番可能性の高い前提から考察する」
「ほう、なるほど、それで、その前提とは」
「いま思いついたのは三つ、一つ、国境を超える事は出来たけど、隣国、つまりウグルジオ側で事件、事故にあった、とは言え三人が三人事故てのは可能性が低いから、事件、最悪なのはウグルジオ側に消されたとか」
「なるほど、ではその前提はまず無いと断言しましょう」
「なぜ?」
「そんな事ギルドが許すはずないからです、そしてギルドに隠し通せる事はまず無理だからですね」
なるほど、今のセリフでランダルさんの事もなんとなく解った。
「じゃぁ可能性はあと二つ、ネアカガリア側の妨害か、異常発生した野犬の群れ」
「ネアカガリアが⁉ どうやって?」
「森の近くに砦がある、此処を拠点とすれば、見張りも出来るし、兵も派遣できる」
「ちょっと待って、それって私たちが国境越えをして、亡命しようとしている事が気付かれているって事でしょ? そんなのあり得ないわ、だって私たちがここに居る事を知っているなら、とっくに兵隊がここにきているわよ」
「おそらく気付いている、そして兵隊を出せない、いえ、正確にはここに居るフォルシウェス達を、捕まえるほどの規模の兵隊を出せない理由がある」
私はそう言うと、ランダルさんを見る。その視線にランダルさんは笑顔を返すだけだった。
読んで頂きありがとうございます。
1-4までの後書きで散々言ってきましたが、
YouTubeコンテンツも同時開催となっております。
その為土日祝は更新お休みでYouTubeコンテンツを主にします。
面白いと思って頂けたなら、高評価、ブックマークをお願いします。
感想頂けるととても励みになります。




