1-9 モフモフが最高の癒し
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結局怪しい依頼を受けたけど、報酬提示して欲しかった、いや、聞かなかった私も悪いけど。
まずは聞き込みをと思い、馬車が停まっている場所まで戻る、するとあらかた荷物は下ろし終えていて、物資をみんなで分配していた。
その様子を少し離れて見ていると、一つ気になった事がある。あまり大した事じゃないかもしれないけど、誰かに聞こうか。
「ねぇあなた、馬車に乗ってきた人?」
突然掛けられた声に振り向くと、そこにはネコミミ少女がいた。
活発そうな顔立ちに、少々露出が高い服、猫を連想させられるクリっとした大きな瞳。私より少し年上位の、金髪ショートヘアの美少女だ。
「そうだけど、子供?」
「む、あなたの方が年下だとおもうけど?」
「そう言う意味じゃない、子供はここに居ないって聞いた」
「あぁ、その事?」
そう言うとふふんとばかりに胸を張るネコミミ少女。うん、十分子供だよね。
「私はギフト持ちだからね、戦う力も体力もあるのよ、だから国境越え組みに加わったの」
「ギフト持ち?」
そう言えばフォルシウェスには、動物特有の力を持った人がいるって言ってたね、それがギフト持ちなのかな。
「そうそう、フォルシウェスのギフト持ち、あなたもだよね? その年で実践経験あるみたいだし…たぶん野犬だと思うけど、血の匂いがするよ、ここに来る途中で戦ったの?」
さすが猫とはいえケモっ子、匂いに敏感…じゃなくて、私もギフト持ちって言うけど。
「私はフォルシウェスじゃないよ」
「見ればわかるわよ、ってか知らないの? ギフト持ちはフォルシウェスだけじゃないのよ、他の種族にもあって、ギフト持ちは比較的強くなりやすいの。
まぁ比較的ってだけで、ギフト持ってない人でも、努力次第で同じくらい強くなれるけどね、でもスタートはかなり有利だよ」
なるほど、あれ、そう言えばキャラ作成時のルールにあったような気がする。
「その様子だと知らないようね」
「うん、分からない」
だって深夜テンションだったから。
「アンネおねぇちゃぁん」
そんな会話をしていたら、大人たちの集団の中から、ファウナちゃんがこっちに来た。
「その人は誰?」
「ネコミミ少女」
「ネコミミ少女はやめて、キハナよ、宜しく」
「はい、私はファウナです」
「アンネ」
「表現力に差のある姉妹ね、ファウナ、アンネって呼ぶけどいい? 私はキハナって呼んでくれていいから」
「はい、もちろん」
元気よく返事するファウナちゃんだけど、私は無言で頷くだけ、私だってもう少し愛想良くしたいんだよ。
「それじゃぁファウナ、アンネ、宜しくね」
「うん、それで聞きたいことがある」
「ギフトの事?」
「違う、あれ」
そう言って私は大人たちの内、数人を指さす。その指さした人たちは、民族衣装のようなかなりゆとりのある布を、帯を使って腰で止めていた。けど全員がその恰好をしているわけではなく、多くは普通の村人の服を着ていた。
「あの人たちだけ服が違う、何かあるの?」
「え、あぁあれもギフトに関係してるの」
「ギフトに?」
「そう、フォルシウェスのギフトは完全獣化って言って、それぞれの特徴となっている動物に変身するの、そしてその変身って二種類あって、小型獣と大型獣。
大型は戦闘力が飛躍的に高くなる代わりに、持続時間が少ない。
反対に小型は持続時間が長い、と言うよりも変身を維持するのに消費は無いから、ずっと変身していられる、その代わり戦闘力は落ちる。
まぁ大型は戦闘向き、小型は侵入、斥候などに向いているかな。
そしてここが重要なんだけど、体を変化するから、来ている服はそのまま、つまり大型になると、普通の服だと破ける。なのでゆとりのある布で体を覆って、帯で留めている。そして変身するときは帯を外すだけで、服を破る事無く変身できるの」
なるほど、そう言えばキハナもギフト持ちって言ってたね、そして服は露出高めだけど普通の服、なら。
「キハナは小型?」
「え、えぇそうだけど……なに?」
「見たい」
「え?」
困惑するキハナ、それはそうだろう、私だけではなく、ファウナちゃんも、期待のまなざしをキハナに送っている。
私の無言の圧力と、ファウナちゃんの眼差しに、たじたじになるキハナ。
「わ、わかったわよ、私が寝泊まりしている家があるから、そこで見せてあげる」
折れた、やった、若干肩を落として歩くキハナに、内心ウキウキで付いて行く私、まぁ表向きは無表情なんだけど、それに対してファウナちゃんはキラキラした笑顔。本当に対照的なんだね。
そして少し離れた場所にある家に招かれた。広さはおそらく五畳ほどか、簡素なベッドに小さなテーブルとイスだけでいっぱいの小さな家だった。
それらの家具は本当に間に合わせで作ったのもで、単純に木板を組み合わせて作られ、ベッドも簡単な木の枠組みに布を敷いた程度、ちょっとモコっとなっているから、何らかのクッションは入っているみたい。
家の中を軽く見渡した後、キハナに視線を移す。そして隣のファウナちゃんは、期待の眼差しでじっと見つめていた。
「あんまりじっくりと見ないでよ、恥ずかしいんだから……」
そう言って顔を赤めて恥ずかしがる姿が凄くかわいい。
恥ずかしさを払拭するためか、キハナが小さく咳払いする。そして大きく息を吸うと、その後体がみるみる小さくなっていった。あっという間に小さくなった体は、服の下に隠れると、そこから小さな鳴き声と共に子猫が出てきた。
「か、かわいいぃ」
ファウナちゃんが感激の声を上げる、もちろん私も心の中で叫んだ。そしてその小さな猫をそっと抱き上げる。
毛並みが柔らかく、抱き上げた手が毛の中にモフっと埋まる。
おぉ、すごい、これは最高のモフモフだ。
私は夢中で子猫とおなかを撫でまわした。
「にゃ、にゃぁ!」
「あ、あの、アンネお姉ちゃん……」
なんかじたばたと暴れているけど、モフモフが優先。
そうやって夢中にモフっていると、子猫がだんだんと大きくなり、そして……
うん、そう言えば変身しても服は別だって言ってたっけ、それってつまりは……
「あ、あわわ……」
真っ赤な顔でこっちを見つめるファウナちゃん、そして私の腕の中では、怒りに震えて私に抱きかかえられているキハナ。
もちろんキハナの方が背が高いので、抱きかかえているのは上半身だけ。
それにしても思ったよりもボリュームがあるんだね、何がとは言わないけど。
「ッキ、ッキシャァァァァ‼」
その奇声と同時に、私は思いっきり殴られた。
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1-4までの後書きで散々言ってきましたが、
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