072_噂話の正体
四人は朝来た道を戻っている。
「まさか、半日もかからずに終わるとは思っていもいませんでした」
ダールの称賛に、フィオラは恥ずかしそうに俯く。
「役に立ててよかったです」
「騎士を代表して感謝いたします」
「あはは……」
レームは困り顔のフィオラに気が付き、ダールへ指摘する。
「もっと普通に言えば? ありがとうって」
「それは失礼だろう」
「どこが? 形式ばった感謝よりは全然いいと思うけど」
「……一理ある……かもしれん」
意見を求めるように視線を向けられたブレッグは頷く。
「フィオライン様。ありがとうございました」
「いいんですよ。こちらこそ、気を失っていたところを診てもらっていたので」
――寝ていただけだと言ってたが、やっぱり気絶していたのか。
白状したフィオラにブレッグは内心でつっこみを入れる。
和やかな雰囲気の中歩いていると、前方で村人の集団が待ち構えていることに気付く。
おおよそ三十名弱。生き残った村人の人数と一致するだろう。
一瞬驚き身構えるブレッグだったが、村人たちの表情にその必要はないことを悟る。
「あの……」
村人を代表してか、一人の中年の女性が四人に声をかける。
多くの同胞を失った悲しみと、生き残ることが出来た幸せが、彼女の表情に入り混じっていた。
先頭を歩いていたダールが対応する。
「どうしましたか?」
「私たち、お礼を言うために来ました」
村人たちの視線がフィオラに集まる。
「騎士の方たちから聞きました。フィオライン様が私たちを守ってくださったと。それから、埋葬を手伝っていただいたことも」
「私は自分の使命に従って行動していただけですから、気にしないでください」
「だとしても……本当にありがとうございました」
女性の言葉に合わせて村人たちは頭を下げる。
「あまり長時間引き留めてたいけないので、これで失礼します」
そう言うと、村人たちは各自の民家へと戻っていった。
そんな中、黒髪の若い女性がブレッグの目に留まる。
――あの人は、確か。
ブレッグの脳内で点と点が線で結ばれる。
「……わかった」
「ん? 何が?」
独り言を呟いたブレッグを不思議そうに見つめるフィオラ。
「俺が異界の魔法使いだったんだ」
「……え?」




