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050_理への対策


 一瞬で距離を詰められたシオンだったが、その表情にはまだ余裕があった。


 眉間目掛けて突き刺そうとした長剣を、シオンは首を曲げて容易く回避する。


「相当無理をしているんでしょ。立っているだけで辛そう」


 フィオラは長剣を振り抜いてシオンの顔を横一文字に切ろうとするが、即座にしゃがんで回避されてしまう。


「今のフィオラに私を止められるとは思えないわね」


「私はそうは思わないわ。あなたがこの一振りを避けることがその証拠よ」


 高く振り上げた長剣をシオンの脳天へ向かって振り下ろす。


 後方へ飛び退いて避けたシオンと追いかけて追撃するフィオラ。


 高速で繰り出される無数の太刀筋をシオンは驚異的な反応速度で回避し続ける。


「まぁ、フィオラの握っているそれが私を傷付け得る代物であることを否定はしないわ。でもね――」


 今までフィオラと距離を取るように逃げ続けていたシオンが一転、フィオラに向かって走り出す。


 思いがけないの行動に驚くフィオラだったが、すぐに長剣を振りかぶって迎え撃つ態勢を整える。


 そして、フィオラの間合いに飛び込んだシオンへ長剣が真っ直ぐに振り下ろされる。


「受け止めることは出来ないけど、軌道を変えるくらいのことはできるのよ!」


 バチンという強い音とともに、シオンの左手によって刀身を横から叩かれた長剣ははじかれた。


 すかさず、シオンの右手が伸びる。


「フィオラ!!」


 ブレッグは思わず彼女の名を叫ぶ。


 魔手から逃れようとするフィオラだったが、間合いが近すぎることもあり回避は不可能だった。


 シオンの口角が吊り上がり、フィオラの首に触れようとしたとき――


「グァァア!!!」


 シオンは反射的に鳴き声のする方向を向く。


 そして、シオンが鳴き声の主を目で捉えるより先に、腹部に巨大な質量が衝突してシオンは吹き飛ばされた。


 宙を舞いながらも、華麗な身のこなしで身体を翻して受け身を取る。


 枯れた雑草の中、地面に片膝を落としながら顔を上げる。


「クリスタの姿は今の今まで探していたけど見つからなかったのよ。ブレッグが隠していたんでしょ」


「俺だって……少しくらいは役に立ちたいんだ」


「殊勝な心掛けね。でも、あなたにフィオラを救うことは出来ない」


「余計な事考えてないで、今は目の前の相手に集中したら?」


 シオンの眼前に迫るフィオラは長剣を振り下ろす。


 後退して距離を取り回避するシオンだったが、今度は着地先にクリスタの丸太のように太い腕で横なぎにされた。


 回避が間に合わないことを悟ったのか、両腕を前に突き出してクリスタの腕を受け止める。


 力比べは互角の様相を呈していた。


 互いに一歩も引かず、両者の腕は小刻みに振動する。


「流石に……三対一で理を使わずに勝とうなんて……考えが甘かったかしら」


 そこへフィオラが長剣で切りつけようと介入し、シオンは跳躍して大きく距離を取った。


「大怪我をさせるかもしれないから、使わないで済むなら使いたくないのよ。わかってくれる?」


 夕陽の中を佇んでいるシオン。


 ゆっくりと持ち上げられた彼女の両腕は周囲の空間を歪める。


「こっちだって対策は考えているんだから」


 即座にしゃがみ込んだフィオラは地面に両手を触れる。


 すると、フィオラの前方に小さな樹木の芽が生え出し、瞬く間に苗木から大樹へと成長する。


 艶のある葉をこしらえた緑豊かなその樹木をクリスタは大きな手で鷲掴む。


 そして、根元からへし折り大きく振りかぶると、シオンへ向かって全力で投擲した。


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