第五話「幻想の森」
「なにそのぶっ壊れスキル!?」
「えーっと?」
「精霊が見えるようになるってなに!?そもそもこんなスキル見たことないわよ!?」
「お、落ち着いて」
「────で、それはどうしたの?」
あれから10分程たち、ようやくリティスは落ち着いた。
「それが…………」
「それが?」
「私にも分からないんですよ」
「…………は?称号やスキルは取得した時に通知がくるはずでしょう?」
「そんなのきた覚えありませんけど」
それを聞いたリティスはまたしても頭を抱えてしまった。
「……………じゃあ、せめて『蒼玉』というのに心当たりはない?」
「うーん」
蒼玉、蒼い宝石、サファイア…………あ。
「キャラクターメイクをやってくれた管理AIさんの名前がサフィリアといいました。あるとすればそれぐらいですね」
「もう考えても仕方ない気がしてきたわ………もう森の中に入りましょうか。それと、その称号とスキルの情報を掲示板に挙げてもいいかしら?」
「別に構いませんよ」
「そう。協力感謝するわ。さて、行きましょうか」
そういい歩き出したリティスの後についていく。森の中には幻想的な風景が広がっていた。
ほんのりと光る謎のキノコ。宝石のような透き通った花弁を持つ色とりどりの可憐な花々。少し薄暗いが、それが背の高い木々の間から覗く木漏れ日を美しく魅せる。
「わあ………」
「ふふふ。本当に綺麗よね。私も初めて見たとき言葉を失ったわ。ほら、あっちの方から魔物の気配がするわ。気をつけて」
「わかりました」
しばらくすると先程リティスの指した方面から灰色の狼が現れてた。狼の頭上には敵対することを示す赤いマーカーがついていた。
【エネミーネーム:グレイウルフ 状態:敵対】
「アオーーンッ!!」
「まずは私がやるから、よく見ててね」
こちらの姿を確認するや否やグレイウルフが飛びかかってくる。それをリティスは横に避け、横を通ったグレイウルフを得物の双剣で斬りつける。
「キャウン!」
「そいっ!!」
斬られたことでバランスを崩したグレイウルフをさらに斬りつける。さらに数度斬りつけるとグレイウルフはポリゴンとなり、その場にドロップアイテムを残して消え去った。
「まあ、ざっとこんなものね。今度はティアの番よ。あっちの方にいるみたいだからいきましょう」
「はい」
それからグレイウルフを狩りまくった。