第三話「決意」
次に目が覚めるとそこは活気づいた街だった。
「ねぇ、あの子の格好………」
「初期装備の見た目って………」
なにやら注目されているような気がするがまあ、気のせいだろう。
───そういえばサフィリアさんが装備の見た目を決めてくれたそうだし、確認してみようか
メニューから装備を選び、今の自分の姿が映し出される。
装備のデザインは一言に表すなら制服だった。制服といってもセーラー服やブレザーなどではなくファンタジーでよくありそうなデザインだ。白のブラウスに黒のロングスカート、胸元の青いリボンにはアメジストのような宝石がついている。
「あっ、あの!フレンド登録してくれませんか!」
「おまっ、ずるいぞ!俺ともお願いします!」
「僕も!」
「えっ?」
気がついた頃には周りに大勢のプレイヤー達がいて身動きがとれなくなっていた。
「私の友人になにか用でもあるのかしら?」
「えっ!?」
「なんで『宝石姫』が始まりの街に!?」
「ごっ、ごめんなさい!」
瞬く間に辺りのプレイヤー達はあちこちに散っていった。
「ごめんなさい、遅れたわ」
「別に構いませんよ、リティス」
彼女はネフリティス。リアルでの名は翡翠という。そう、私にこのゲームをくれたあの翡翠だ。
「有名人ではないですか」
「これでも最前線にいるからね。ところで、えーと」
「ティターニアです。ティアでいいですよ」
「じゃあティア。ティアはどんなスキル構成なの?」
「私のスキル構成ですか?それは───」
「───『精霊術』『氷雪魔法』『支援魔法』に『契約』『召喚』『親和性アップ(精霊)』か………これまたティアらしいというか、なんというか」
「?」
「あー。別にダメってことじゃないんだけどね?ティアの選んだスキル、『氷雪魔法』と『支援魔法』、『召喚』以外は大分マイナーなスキルなのよ。『精霊術』は大前提として精霊と『契約』しなきゃダメでしょう?この時点でただでさえ少ないスキル枠を2つも使ってる訳なのよ。それに精霊はめったに私達の前に姿を現さないから契約自体難しい訳で。その精霊の好感度が上がりやすくなるスキルの『親和性アップ(精霊)』も取る人が少ないってこと」
「なるほど」
確かにそれは取る人は少なくなるだろう。でも、だからこそ───
「ふふっ」
「どうかしたの?」
「いえ。何でもありません」
───おもしろそうじゃないか。
「ならいいけど。そうね、まずフィールドにでましょうか」
「はい」
私はこのゲームで、誰も試した事がない方法で最強になる。それが私の最終目標だ。