第二話「キャラメイク」
目が覚めると真っ白な神殿のような場所にいた。目の前にはメイド服を身につけ、笑みを浮かべる蒼い瞳の少女がいる。
「ようこそ精霊達の物語の世界へ。キャラクターメイクを担当させていただきます。管理AIのサフィリアと申しますわ」
「麗華です」
「麗華様ですわね。ではまず髪色の設定をしますわ」
「はい、よろしくお願いします」
鏡が現れ私の現実のままの姿が映し出される。
「希望をいってくださればその通りに姿が変化しますわ。なりたい自分になるつもりでどんどんいじってくださいまし」
「そうですね……まず髪の色は白に近い銀色で、三つ編みのハーフアップで。瞳の色は澄んだ紫色でお願いします」
鏡に映る姿が希望通りになっていく。
「こちらでよろしいですの?」
「はい。ありがとうございます。私の想像通りです」
「なら良かったですわ。初期装備のデザインはこちらで決めてもよろしくて?」
「大丈夫です」
「わかりましたわ。次に種族の選択をしていただきますわ。種族ごとにステータスの育ち方が異なりますのでよく考えて選択くださいまし」
目の前の鏡が消え半透明のウィンドウが現れる。
種族の種類には「ヒューマン」「エルフ」「ドワーフ」「獣人」があって「獣人」にはさらに「犬」「猫」「兎」「熊」の四種類があるようだ。それぞれステータスの補正が異なるようだ。
【ヒューマン】
・HP★★☆☆☆
・MP★★☆☆☆
・STR★★☆☆☆
・INT★★☆☆☆
・VIT★★☆☆☆
・MND★★☆☆☆
・DEX★★☆☆☆
・AGI★★☆☆☆
・RUK★★★☆☆
【エルフ※】
・HP★☆☆☆☆
・MP★★★★★
・STR★☆☆☆☆
・INT★★★★☆
・VIT★☆☆☆☆
・MND★★☆☆☆
・DEX★★★☆☆
・AGI★★☆☆☆
・RUK★★☆☆☆
※「エルフ」にした場合耳が少し尖り、長くなります。
【ドワーフ※】
・HP★★★★☆
・MP★★☆☆☆
・STR★★★☆☆
・INT★☆☆☆☆
・VIT★★★☆☆
・MND★☆☆☆☆
・DEX★★★★★
・AGI☆☆☆☆☆
・RUK★☆☆☆☆
※「ドワーフ」にした場合背が低くなります。
【獣人※】
・HP★★☆☆☆
・MP★☆☆☆☆
・STR★★☆☆☆
・INT★☆☆☆☆
・VIT★☆☆☆☆
・MND★★★☆☆
・DEX☆☆☆☆☆
・AGI★★★☆☆
・RUK★☆☆☆☆
※「犬」ならSTRとVITに一ずつ、「猫」ならAGIに二つ、「兎」ならAGIにDEX一つずつ、「熊」ならHPにVIT一つずつ補正がかかります。
「うーん」
私は悩んだ末に「エルフ」にした。
「「エルフ」ですのね?では次にスキルを選択していただきますわ。お好きなものを六つお選びくださいまし」
これまた沢山ある。しかしこれは事前に決めていたものがあるのでそれにする。
「『精霊術』『氷雪魔法』『支援魔法』『召喚』『契約』『親和性アップ(精霊)』でお願いします」
「かしこまりました」
完全に後衛になったがまあいいだろう。『精霊術』は契約した精霊の力を使えるようになるスキルで、『氷雪魔法』は氷を操る魔法、『支援魔法』はバフやデバフを掛ける魔法、『召喚』『契約』はその名の通り生き物と契約し、契約した使い魔を召喚するスキルだ。『親和性アップ(精霊)』は正直よくわからない。精霊や妖精と親しくなりやすくなる、らしい。つまり私のスキル構成は精霊と契約して、その精霊と共に戦うサモナータイプだ。
「次はステータスにポイントを振っていただきます。100ポイント振り分けてくださいまし」
「はい」
ウィンドウの内容が変わりステータスが表示される。
~~~~~
名前:【未設定】
種族:エルフ
〈ステータス〉
HP:50/50
MP:250/250
STR:10
INT:80
VIT:10
MND:30
DEX:50
AGI:30
RUK:30
〈称号〉
【無し】
BP〈ボーナスポイント〉:100
SP〈スキルポイント〉:30
~~~~~
MPとINTに50ずつ振り分ける。
~~~~~
MP:300
INT:130
~~~~~
「では最後に、プレイヤーネームを決めていただきます。なお、名前に被りがある場合その名前は使用することができません。ご容赦くださいまし」
「はい」
せかっくなら精霊や妖精っぽい名前がいい。うーん『エレン』『フェア』……よし。
「『ティターニア』で」
「ティターニア様ですね?少々お待ちくださいまし。………問題ありません。プレイヤーネーム『ティターニア』は使用できます。決定してもよろしくて?」
「はい」
「承りました。プレイヤーネーム『ティターニア』登録完了しました。これにてキャラクターメイクを終了させていただきますわ。ここからは何をするのも自分次第。最後になにか質問はありまして?」
「そうですね………サフィリアさん、また会うことはできますか?」
サフィリアさんは少し驚いた顔をした後、すぐに元の笑みを浮かべた。
「あなた様が望めばいつだって会えますわ」
「本当ですか!?」
「ええ。それより、そろそろ旅立ちになられた方がいいのではなくて?」
「そうですね。では行ってきます」
「行ってらっしゃい、ティターニア様。あなた様の冒険に、幸あらんことを」
その言葉を最後にまたあの浮遊感と眠気に襲われ、私はゲーム内の世界────『精霊世界アウストリア』へと旅立った。
「今まで何人もの異邦人の方をご案内してきましたが、あなた様のようなわたくしにAIではなく1人の『人』として接してくださる方は1人としていませんでしたわ。ティターニア様、あなた様はわたくし、『蒼玉のサフィリア』の興を引く。────異邦人ティターニアの冒険に幸あらんことを」
〈称号【蒼玉の興を引く者】を獲得しました〉
〈初の【守護者の興を引きし者】が現れました〉
称号【蒼玉の興を引く者】
あなた様はとても面白いお方。もっとわたくしを楽しませてくださいな。あなた様の冒険に幸あらんことを。
〈効果〉
・一部NPCからの好感度アップ(中)。
・精霊が見えるようになる。
・水、氷系統の魔法・魔術に補正がかかる(中)
・スキル【蒼玉の加護】を得る。
スキル【蒼玉の加護】
キャストタイム:60秒 クールタイム:5時間
〈効果〉
・水属性、氷属性攻撃に対する防御力アップ(自分のINT÷10+自分のMND×3%)
・水属性、氷属性魔法の威力アップ(自分のINT+MND÷2%)
効果時間:自分のMP×INT×MND÷2000(秒)