第十八話「宝玉達の集い 運営視点」
二部構成だドン!
◇◇◇◇◇
どこまでも続くような乳白色の空間。上も下もないようなその空間にポツンとひとつの四阿があり、そこには四人の男女がいた。
「ごめんなさい。遅れたわ」
「あ、やっと来た!遅いよ翠玉ー」
「珍しいですね。あなたが遅れるなんて」
「まったくだ!遅刻なんてダメじゃないか!」
「「「お前にだけは言われたくない」」」
一人は木の幹のような焦げ茶の髪にエメラルドを嵌め込んだような翠の瞳の真面目な印象を受けるエルフの少女。
一人はまるで雪のような銀色の髪にサファイアを嵌め込んだような蒼い瞳の物静かな印象を受けるマーメイドの少女。
一人は夜空を写したかのような黒髪にルビーを嵌め込んだような紅い瞳の中性的な印象を受ける人間の少女。
一人は輝くような黄金の髪にダイアモンドを嵌め込んだような半透明の瞳のどこかの王子のような印象を受ける人間の男性。
そんな彼等の唯一の共通点は胸元に同じ紋様が刻まれたブローチを付けていることだ。
「なんで遅れたの?」
「まあちょっと、ね」
「えー!?何々?もしかして翠玉、彼氏できたのー?!」
「さあ?どうでしょうね」
「うっわ、すっごいきになるー!」
「ちょっとキミ達、今日は会議をするために集まったんだろう?しっかりしてくれたまえよ」
「チェッ、つまんねーの」
「はいはい。えー、今日の議題は─────」
「────あら、もうこんな時間ですか」
「では今日の会議は終わりにしようじゃないか。お疲れ様」
「お疲れ様でした」
「じゃあねー」
「あ、ちょっと待って、蒼玉と紅玉に話したいことがあるの。悪いけど残ってくれないかしら?」
◇◇◇◇◇
「部長!た、大変です!」
「んー?清水くんが慌てるなんて珍しいじゃん。どーしたの?」
「そ、それがこれを見てください!」
「これ、ゲームのログ?これがどうしたの?」
「これのここを見てください」
「えーっと──」
【三分後】
「あっははははは!スゴいねこの子!えっと、ティターニアさんだっけ?まさかこんなに早く四大宝玉の加護をとるなんで!しかもモルトディーアじゃなくてサフィリアとエメルディアでしょ?どんなことしたんだよ。あっははははは!」
「部長!笑ってる場合じゃありません!イベントまでに修正しないt」
「え?なんで?」
「え、だってそうじゃなくちゃ次のイベントこの人の圧勝になっちゃいますよ?」
「別にそれでいいじゃん」
「で、ですが!」
「多分社長も同じ事を言うと思うよ。てか、そうじゃなくてもいつかはこうなるんだし、それが早くなっただけだよね?それになんの問題があるの?」
「そ、それは……」
「僕はね、僕達が作ったものだからって都合が悪くなったから修正するなんてのは間違ってると思う。僕等はお客様を楽しませるのが仕事なんだよ。修正なんてしてたらお客様もいなくなっちゃうよ。だから修正はしない。いいね?」
「……はい」
「じゃ、この件は解決ってことで。それじゃ、僕はこれで」
「………はい。ありがとうございました」