第十三話「髪留め」
さて、リティスも帰ってしまったし、これからどうしようか。
「ユミィ、どこか行ってみたい場所はありますか?」
『行ってみたい場所、ですか?』
「ええ」
『……それなら「ロテン」なる物を見てみたいです。たくさんの「ヤタイ」というものが並んでいるんだそうです』
ロテン……露天か。屋台巡りをするのもいいかもしれない。
「なら露天を見に行きましょう」
『!はい!』
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という訳でエメラルドの街の中で最も大きい広場、エメラルド中央広場にやってきた。
たくさんの屋台が立ち並び、そこかしこからいい臭いが流れてくる。
ふと横を見るとユミィがとある屋台のほうをじっと見ていた。どうやらブローチやネックレス、イヤリングなどのアクセサリーを売っているようだ。
「見てきてもいいですよ」
『本当ですか!?』
「はい」
そう言うとユミィは目を輝かせ屋台のほうへかけていった。
美しい銀製の鳥のブローチや、紫色の石が取りつけられたらネックレスなどがならんでいる。
「わあ……」
「ふふっ、どれか気に入られましたか?」
屋台の店主であると思われる緋色の髪の女性に声をけられた。
「いえ、どれも美しいので、思わず声がでてしまいまして」
「それは光栄や」
ユミィは何か気に入った物があるのだろうか。
「ユミィ、何か気に入った物はありますか?」
『い、いえ』
そういうがユミィの視線は目の前の星の髪留めに釘付けになっている。
「これください」
「540Gや」
「これで」
「まいどあり!」
今買った髪留めをユミィに手渡した。