第十二話「さようなら」
リティス視点
「はは………」
私は目の前の光景を受け入れられずにいた。
私にはこのゲームをやり始めたばかりの友人がいる。その友人は勉強も、運動もできて、親切で優しくて────私にはできないことも、沢山できる。
「ねえ麗華!私、体操の大会で優勝したの!」
「翡翠ちゃんすごい!私も体操やってみたいな」
「じゃあ私が教えてあげる!」
「本当?!やったー!」
───それで教えてあげたら、私ができるようになるのに3ヶ月かかった技を、だったの4日で覚えちゃって。
「聞いて麗華!英検二級とれたわ!」
「おめでとうございます!やっぱり翡翠は凄いですね」
そういった一年後には英検で一級をとってきて。
ああ、そうか。私は麗華に、ティアに────嫉妬してたんだ。
親友に嫉妬するなんて、私はなんて醜い人間なんだろう。
私は麗華の友人に相応しくない。
「リティス、やりました。……リティス??」
「………」
素直で、優しくて、そんなティアには私なんか、やっぱり相応しくない。
「ごめんなさい、ティア。急用がはいっちゃって。もうログアウトしなきゃ」
「そうなんですね。とても楽しかったです。それじゃあまた。さようなら」
「ええ、さようなら」
───永遠に。