第十一話「精霊術」
「まずは確認よ。あなたは森で少女の泣き声が聞こえた。泣いていると思われる少女を探すことにした。その声の主と思われる少女を発見した。その少女には頭から羽が、腰から尻尾の生えていた。どうやら足を怪我しているようで座り込んでいた。ここまではOK?」
「はい」
「で、その子の怪我を見たあなたは配布されたポーションを飲ませた。話しを聞いているとどうやらその子─ユーミリアちゃんは『人』に傷つけられたらしい。そしてユーミリアちゃんは自分の怪我を治してくれたあなたに恩義を感じていて、自分から契約することを望んだ。あなたはそれに応じ、ユーミリアちゃんと契約した……という認識であっているかしら?」
「はい。あっていますよ」
「……ねえ、あなたはユーミリアちゃん────最高位精霊と契約したということの凄さがわかっているの?」
「はあ」
「は~。あのね─────」
そこから小一時間、リティスに説教された。
「─────だから最高位精霊と契約したという事実は……ねえ、聞いてる?」
「は、はい。聞いていますよ」
「じゃあ、なんの話しをしていたのかしら?」
「え、えーっと」
「はあ、もういいわ。そろそろ戻りましょ。ユーミリアちゃんもまってるし」
ようやく終わったか。
『あ、お帰りなさいませ』
「ただいま戻りました」
「せっかくだしティアの精霊術の訓練しましょうよ。ついでにユーミリアちゃんの能力の確認もね」
「はい。そうですね。ユミィ、いきますよ」
『かしこまりました』
また森を歩くこと15分、グレイウルフの群れ(群れといっても四匹しかいないが)を発見した。
「では、まず私から『アイシクルバレット』」
まずは『氷雪魔法』の確認からしよう。『アイシクルバレット』は氷雪魔法の基礎魔法(もとから使える魔法のこと。主に単体攻撃、範囲攻撃、特殊攻撃の三つ)だ。群れの内の一匹の狼の脇腹に直撃した。どうやら今の攻撃でこちらのことを認識されたようだ。
こちらに向かって突っ込んでくる狼をかわす。次は『精霊魔法』を試してみよう。「使役している精霊の力」だからユミィの力を使えるというわけか。では……
「『氷剣創造』」
私は『創造魔術』を使い百の氷の剣を生み出した。え?MPは大丈夫かって?
『精霊魔法』の説明をよーくみよ。使役している精霊の|力とかいてある。つまり、ユミィの称号の効果もその「力」の中に入っているだろうし、なんならステータスも入っている。つまり、今現在私は流石にユミィには及ばないだろうし、実際の数値は分からないが化け物級のMPを持っていることになる。
「行きなさい」
百の剣の先端が狼達を捉える。私の声とともに一斉に飛来し、狼達に深々と突き刺さる。やがて狼達はみな、ポリゴンとなり虚空へと消えていった。