第一話「こうして私は」
「ねえ、麗華、ゲームに興味ない?」
「急にどうしたんですか、翡翠」
ある日親友の翡翠がそんな話をしてきた。
「実はとあるゲームの抽選に応募していたんだけどその抽選に当たったのよ!」
「へえ」
「……興味なさそうねー」
「ソンナコトアリマセンヨー。と、冗談はこれくらいにしておいて、タイトルは何ですか?」
「『精霊達の物語』よ」
『精霊達の物語』とは今もっとも注目されているフルダイブ式のVRMMORPGだ。プレイヤーは精霊や妖精の居る世界にエルフやドワーフ、獣人として降り立ち、自由に冒険する、というゲームだ。
「よく当たりましたね」
「まあね。第二陣にはなるけど。それに元々あなたとやりたいから応募したんだし(ボソッ」
「どうかしましたか?」
「何でもないわ。で、私はもう持ってるからあなたに上げるわ」
前々から興味はあったのだが、最新のゲームだ。そもそも手に入らないし、売っていたとしてもなかなか値が張る。だから半ば諦めていたため手にはるというのならぜひ欲しい。
「持っているのに応募したんですか」
「ほっときなさい。それでいるの?」
「では、お言葉に甘えていただきますね」
「どうぞ。それと、一緒にやりましょう?1人で遊ぶより2人で遊んだ方がきっと楽しいと思うし」
「そうですね、一緒にやりましょうか」
─────────────というのが一週間前の話。あの後翡翠から発送したと聞いた。盗まれる可能性があるため手渡しは危険だからだそうだ。そして、それが今日届いたという訳だ。
早速VRマシンにダウンロードする。
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────インストールガ完了シマシタ。
「ログイン」
ふわふわとした浮遊感と心地よい眠気に包まれ、わたしはダイブした。