87
「ふっかーつ!!」
まさか水だと思ったものが白ワインとかどんなテンプレよ。
今日一日無駄にしちゃったなー。もう夕方というか夜だし。お腹空いた。
「殿下。夕食会には出席なさいますか?」
「うん。行くよ。今日は何も食べてないからお腹空いた。」
「かしこまりました。では、御準備をいたしましょう。」
「はーい。よろしくね。」
晩餐室に向かう途中でアザリーお父様にバッタリと出会った。
「こんばんわ。アザリーお父様。」
「こんばんわ。二日酔いって聞いたけどもう大丈夫みたいだな。」
「昨夜はお騒がせしました。」
「あぁ。酒は成人してからな。
それから夜遊びも程々にな。また朝起きられないぞ。」
「はい。分かりました。程々に遊びます。」
「程々に遊ぶってなんだよ。」
突っ込まれたので笑って誤魔化しておいた。
「そういえばこの国の成人って何歳なんですか?」
「15歳だな。新年の夜会でお披露目される事で一人前だ。所謂デビュタントってやつだな。」
「へー。15歳という事は...グレイシアお兄様が来年ですか?」
「あぁ。グレイシアなら、何も問題は起こさないだろう。...きっと。」
少し遠い目をしながら自分に『何事もない』と信じさせる様に言い、最後の『きっと』には妙な重みがあったので気になって聞いてみた。
「...今まで何があったんですか?」
「フッ。...今はお前の兄達の名誉のために言うのはやめておこう。
さて、夕食だ。」
名誉って...お兄様達何をやらかしたの?
あれから夕食を食べ、ダリオお父様に小言を言われ、お風呂に入って。
さぁ!寝ようとベットに入っても今日は一日寝てたので眠れない。
昨日抜け出したせいで今日は居間にリカが一晩中待機してるってアピスに言われているから動き回れないし...眠気はこないし...
ーリリアナいいですか?ー
スイキンどうしたの?
もう眠れない事を告げに行こうかどうしようか考えているとスイキンがフヨフヨ漂ってきた。
ー昨日のお酒というモノの事ですが、リリアナが苦しむならばワタクシは飲みたくありませんのでお返しします。ー
...苦しむってそんな大袈裟な。いや。二日酔いはキツイけどね
昨日のお酒?あー。お父様のお酒か。すっかり忘れてた。やっぱり返した方がいいよね。
...眠れないし、早い方がいいだろうし...行くか。
きっと談話室にいるでしょ。
私が起き上がるとリカが気が付いたらしくすぐに寝室に来た。
反応はやい。ってか見てたの?
「殿下。いかがなさいましたか?早くお休みください。」
今はスイキン以外誰もいないので聞いてみる。
「...本音は?」
「まさかの禁酒とか。酒は没収されなかったけど、アピスに仕事増やされたんですけど。夜中に一人で抜け出すとかはもうちょっと色っぽい大人になってからにしましょうよ。あと、これからしばらく夜勤なんで眠いしヒマだしで死にそうです。」
「...ごめんなさい。」
聞かなきゃよかった。
そうだ!お父様のお酒沢山あるし一本位ならいいよね。
「スイキン。お酒、一本だけ出して。」
「一本だけですか?はい。どうぞ。」
何もない空間から酒瓶が一本出てきた。おおっ、昨日の赤ワインだ。
「殿下?その酒はどこから?」
リカの目は赤ワインに釘付けだ。そんなにお酒好きなの?それともいいお酒なの?
ワインを右にずらせば右に左にずらせば左に目が動いて楽しい。ので少し動かして遊んでいたら気が付いたらしく咳払いで誤魔化した。
「ゴホン。で、それはどうしたのですか?」
「昨日ね。お父様のお部屋で見つけたの。返すの忘れてたから下に行きたいの。
眠れないし、一本あげるから...ダメ?」
「...それツヴァイ様の寝酒ではないですか。俺が勝手にもらえません。
そうですね。御返却はお早い方がいいでしょう。ですが、すぐに戻りますよ。」
「やった。ありがとう。リカ!!
お酒はたぶん...大丈夫だよ。同じのいっぱいあるし。お父様に聞いてみる?」
「お願いですからやめてください。ダリオ様とアザリー様に禁酒を言い付けられているのに酒を強請るとか怖くてできません。」
「分かった。じゃあ早く行こう。」
「はい。上はタオルガウンでよろしいですか?」
「何でもいいよ。スイキン一緒に来てくれるよね?」
「もちろんです。」
私がスイキンを抱っこして私をリカが抱き上げて私達が廊下に出れば...
「リカ?何をしている?」
大魔神が降臨した。
気のせいかなアピスの背後からゴゴゴッって音が聞こえる気がするよ。『テメェら、何やってやがる?』って副声音が聞こえそう。
素直に事情を話すべきだよね。
「お父様にお酒を返すの忘れてたから今から返しに行くの。」
「...今でなくてはならないのでしょうか?」
「何も言わずに持って来ちゃったから早い方がいいと思って。眠れないし。」
「はぁ。かしこまりました。では、すぐにベットに戻るとお約束してくださいね。
リカ。俺も付いて行く。」
「分かってる。早く行こうよ。」
私の返事にアピスとリカが目を合わせてから同時にため息をついた。




