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目覚めたお兄様が可愛すぎてデレデレと話していればアポロ兄様がボソリと何かを呟きレオナルドお兄様に口をふさがれていた。
「なにを言ったのかな?」
「アポロ兄様だから気にしなくていいですよ。
そんなことより部屋はどんな内装にしたの?」
お兄様キツイ。 アポロ兄様、ドンマイ!
「私もまだ見て回ってないんです。ですが落ち着いた雰囲気に仕上がっていると皆が言ってました。」
「落ち着いた部屋なの?リリアナの部屋なら可愛い部屋だと思ってたけど。
...ねぇリリアナ。僕も見に行ってもいいかな?」
お兄様が少し身を乗り出して目を輝かせて聞いてきた。
ん?これはもしかして今日来るつもりかな?
「ルーク。貴方、今日の予定はどうするつもりですか?」
お兄様のその言葉をダリオお父様も聞いていたらしく鋭い目をこちらにむけた。
「あぅ。勉強は...ダリオお父様。見に行っちゃダメですか?
リリアナはダメ?」
あぁあぁぁ!お兄様お願いだからそんな捨てられた子犬みたいな顔しないで!
無理!私には無理!!
こんなに可愛いお兄様のお願いを断るなんて出来ない!!
「...私はお兄様が遊びにいらっしゃるのは大歓迎ですよ。」
断れずにお兄様に歓迎の意を示したらダリオお父様に怒られた。
「リリアナ!貴方まで!!...はぁ。
ルーク。では、先生に事情を説明をして本日の勉強の時間を延長してもらいなさい。貴方の我儘で先生に予定を変更してもらうのです。それくらいは自分でやりなさい。」
わー。ダリオお父様厳しい。
「ルーク。お前ももう七歳だ。
私達が動くには何をするにも影響が付いて回る。そなたの我儘一つでどれ程の影響が出るかそろそろ考えて動きなさい。」
納得。
お父様も昨夜はフツーのおじさんみたいに飲んで騒いでいたけど王族なんだね。一般家庭みたいにはいかないか。立場が上である程、影響力があるのはどの世界でも同じなんだね。
それにしてもお父様。話を聞いてたんだ。
「はい。分かりました。
リリアナ。先生に話してくるね。少しここで待ってて。」
お兄様はそういうと椅子から飛び降りて晩餐室から走って出て行ってしまった。
「あっ。おに...速い。」
「部屋は逃げないのですから夕方でも夜でも明日でもいいでしょうに...
っと。ツヴァイ。そろそろ時間ですよ。」
ダリオお父様がやれやれとでも言いそうな雰囲気でお父様に時間を知らせた。
「時間?...何かあるのですか?」
「ん?仕事に行かねばならん時間なんだ。
リリアナ。時間がある時にそなたの部屋を見せておくれ。」
「分かりました。」
「では、その時に私もいいですか?」
「ダリオ父上も行かれるのですか?なら私も頼むよ。」
「んじゃあ、ついでに俺も。」
ダリオお父様、レオナルドお兄様、アポロ兄様...便乗しないでください。
「分かりました。お待ちしております。」
「では、行ってくる。」
「いってらっしゃい。」
お父様が椅子から立ち上がったのでお見送りの挨拶を伝えたらお父様達が目を丸くして私を見た。
「「「「...」」」」
何?不思議に思い周りを見渡しても何にもないよね。
少ししてからいい笑顔のダリオお父様が席を立って側ににきた。
「では、リリアナ行ってきますね。」
えっ?何?いい笑顔過ぎて怖いんだけど...
「...はい。いってらっしゃい。」
少し警戒をしながら答えたら満面の笑みで頬にキスをされてスキップしそうな勢いでまだ私を見てるお父様の襟首を掴んで連れて晩餐室から出て行った。
その人、上司(首相)じゃないの?頬にキスは罰じゃないの?
「俺も行ってくるね。」
呆然とダリオお父様を見送っていたらいつの間にかレオナルドお兄様がそばに立っていた。
「いってらっしゃい。」
今度はレオナルドお兄様に反対の頬にキスされた。
...普通にキスするね。ここは欧米?
「あー。俺も行くわ。」
そう言って席を立ち机をグルっと回って来てなぜか私の方まで来た。
「アポロ兄様。いってらっしゃい。」
「うわっ。」
力強く私の髪をグチャグチャにしてから扉へゆっくりと出て行った。
アポロ兄様が出て行ったことで晩餐室に私以外、誰もいなくなったのでそっとアピスが近付いてきた。
「殿下。御髪が凄い事になっておられますよ。」
「アポロ兄様にやられた。」
「御髪を整えさせていただきます。」
そう言って私の後ろに周り持っていた櫛で整えだした。
「朝、大変だったでしょ。起きられなくてごめんなさい。」
「そう思われるのでしたら今夜は早めにお休みください。」
「...善処します。」
あっ!アピスにお兄様が部屋の見学に来ること伝えておかなきゃ。
「聞いていたと思うけどお兄様がお部屋を見に来るって。問題ないよね?」
「はい。何もございません。」
「あと前にお父様に厨房の使用許可をとってあるけど厨房ってすぐに使えるの?」
「厨房でしたらいつでも使用可能です。
ですが、料理人が忙しい時間もございますので場合によっては殿下のお側で料理人が作業をする可能性もございますがよろしいでしょうか?」
「それは仕方ないよね。」
まさかゴハン作っている最中に退けなんて言わないよ。厨房の端でも貸してくれれば私はそれでいいからね。
「リリアナー。先生の許可が下りたよ!あと、それと...ごめんね!」
勢いよく晩餐室に飛び込んできたお兄様が報告と同時に謝った。
なぜに?
謝罪の理由が分からずに首を傾げるとお兄様の後ろからユリウスお兄様とグレイシアお兄様が姿を現した。確か二人もお兄様と御一緒にお勉強の時間のハズでは?
「ルークだけずるいぞ。俺も行く。」
薄茶色の短髪に整っている薄い顔に紫色の瞳をしているのはユリウスお兄様だ。ハッキリ言ってお父様を小さくすれば多分こんなカンジだ。
「あの、リリアナ。僕も行ってもいいかな?」
グレイシアお兄様は水色の短髪に可愛い系のお顔に大きな紫の瞳をしている。我が家の可愛い系代表だ。昨夜、初めて話したお兄様の一人だ。
「ごめんね。僕が先生に話しているのをお兄様達に見つかって、そうしたら一緒に行きたいって言い出して...お兄様達も一緒にいいかな?」
「分かりました。もちろん私にイヤはございません。」
二人ともほとんど話したことないから仲良くなるにはいい機会でしょ。
「ありがとう。リリアナ。」
「では、早速向かいましょう。」




