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第四章始まりました。
「殿下。殿下。起きてください。朝ですよ。」
うぅぅ。ねむい...
「起きてください。朝食に遅れます。」
「ゴハン...たべ...る...ZZZ」
「寝ないでください。」
「ラナンキュラス様。殿下は起きられて...ませんね。」
「ああ。昨夜は遅くまで起きていらしたからな。
...仕方ない。強行するか。
殿下!もう朝食が始まってしまいます。お召し替えいたしますよ!」
「よろしいのですか?」
「起きないんだ。仕方ないだろ?それに...」
「ZZZZ...食べ..ゴ.ハン...ZZZ」
「と言っているからな。」
「んー?」
目が覚めると目の前に食事が置かれていて周りを見渡すと首相さん達が食事をとっていた。
着た覚えのない服を着て晩餐室であろう場所で食事をしてる?
...なんで?
「起きたか。おはよう。」
「おはようございます?」
首相さんに朝の挨拶をされて不思議に思いながらも返すと近寄りがたいイケメンのレオナルドさんが何があったのか教えてくれた。
「おはよう。
リリアナが起きないからアピス達が連れてきたんだよ。昨夜は楽しかったな。」
「お前器用だなー。寝たまま食事する奴とか初めて見たぞ。」
朝から外見だけはカッコいいですね。アポロさん。
...つまり起きない私を強制的に連れてきて食事中と。
起きれなかったのか。
壁際で待機するアピスに目を向ければキレイな礼を返された。
...怒ってはなさそうだけど朝から疲てはいそうだね。あとで謝ろう。
そんな決意をしながら左隣のお兄様に目を向ければ眠そうに目をこすっていた。
「おはようございます。お兄様。」
挨拶をすれば眠そうな目を向けられて小さく頷かれた?
もしかして朝弱い?
「リリアナ。ルークも朝が弱いのでもうしばらく待ってからの方がいいですよ。
それから、おはようございます。」
「おはようございます。ダリオさん」
ダリオさんに挨拶を返せば楽しそうな笑顔で返された。
「昨夜のように可愛らしく『ダリオお父様』と呼んで構いませんよ。」
「...前向きに検討いたします。」
起きたばかりで返答が思い浮かばずにビジネス定型文でとりあえず誤魔化した。
「家族ですから検討の余地などない必然たる事だと思いますよ。」
「...」
「異論はないようですのでこれからは必ずダリオお父様と呼んでくださいね。もし今度からダリオさんと呼んだらどうしましょうか? 頬にキスの刑がいいですか?それと膝の上の刑がいいですか?」
誤魔化したらお父様呼びに確定されてしまった。しかも妙な罰まで付いて。
...キスの刑とか膝の上の刑って何さ。
ロクなことにならないのは昨日の騒ぎで理解したからイヤ!!
こういう人に、はっきりと言わなきゃ!
「ご容赦ください。」
「そんなに固くならなくてもちゃんと呼べばいいんですよ。
ね?簡単でしょう。」
拒否の言葉を聞いて!
私の話を聞かず笑顔で逃げ道をふさいでくるとかダリオさ...ダリオお父様。
怖!!
今キラッって目が光ったよ。心の中でのさん付けもダメなの?
「ダメです。リリアナ。よろしいですね?」
心の声と会話しないでください。あと朝から笑顔で圧をかけないでください。
助けを求めて周りを見れば首相さんは「私はお父様で...」とか小声で言ってるし、レオナルドさんとアポロさんはダリオお父様を応援しているし...答えないでいると段々、圧が強くなってきたし...
もう朝から疲れたよ。
「...はい。ダリオお父様。」
負けた。
朝食が食べ終わりお茶を飲んでいたらお兄様の目が覚めたらしく挨拶をされた。
「リリアナ。おはようございます。今日からは毎朝一緒に食事がとれますね。」
そんな言葉と一緒に爽やかな笑顔を振りまく天使は今日も尊かった。
「そうですね。私もお兄様と御一緒出来てとても嬉しいです。」
朝の天使は眩しいなー。
隣の年齢不詳が圧をかけて澱ませた空気が浄化される気がするよ。
「リリアナ。あとでゆっくりお説教をしましょうね。」
「ごめんなさい。」
ダリオお父様の目がマジだったので即座に素直に謝罪をした。




