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ジャノヒゲ女王国  作者: くまごん
3-お兄様と遊ぼうー
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 昨夜、森の妖精王は帰り際に子猫を親元に連れて行ってくれるといい。子猫を抱いて帰って行った。

 ...寂しい。少ししか一緒にいられなかったけどモフモフが!

 森の妖精王が帰ってすぐはそんな事を思っていたけど、私も疲れていたらしくすぐに寝てしまった。


 昨日の森の妖精王の言ったように私は朝からなるべく手を動かさないようにアピス達にあれこれと世話を焼かれていた。

「手が使えないってすっごい!不便!!」

「我慢してください。はい。お口を開けてくださいね。」

 食事も結局、食べさせてもらっているし...

「あっ、この果物、美味しいやつだ。」

「森の妖精王から頂いた金色の果実です。」

「そういえばこの果物の名前知らない?」

「...これの名前でございますか?確か...伝承では...」

 アピスが思い出そうと考え込んだけど...待って、伝承ってなに?

「伝承では確か不老不死の果物と記載がされていたはずです。」

「えっ?不老不死!?私、食べちゃったよ!!」

「ご安心ください。森の妖精王よりただの言い伝えだと伺っております。お体に影響がないのも確認済みです。」

「そうなんだ。驚いた。」

 それにしても伝承で不老不死の果実って...

 凄いモノ持ってきたね。森の妖精王は。


 食事を終えてソファでゆっくりしていると曾おじい様が登城なさったとアピスに告げられた。

「本当!?曾おじい様は、ここに遊びに来てくださるかなぁ?」

「ご予定が早く終わるようでしたらお招きいたしますか?」

「いいの!?じゃあ、曾おじい様の無理のない様にお願いします。」

「かしこまりました。

 それから、殿下。後宮4階の見取り図が届きました。ごらんになられますか?」

「もう届いたの!?見せてください」

「こちらに広げさせていただきますね。」

 ローテーブルに広げられた大きい見取り図は後宮4階すべてを書いてあった為どの部屋が自分の部屋か判断が付かずアピスに聞いた。

「ねぇアピス。どれが私の部屋なの?...あっここ階段だ。」

「夜間の対応の為、私共三人の部屋もございますが基本的に4階すべてが殿下の私室になります。」

 ...えっ?嘘でしょ。...この広さを一人で使うの!?

「広すぎない?掃除とか大変そうだよ?」

 あまりの広さに驚き、掃除の心配をしてしまう。

「お掃除ですか?召使い達がやりますので殿下は何もなさらないでください。」

「ですよねー。

 ねぇ。今更だけど、この部屋の掃除っていつ誰がしているの?誰かが掃除してるところ見たことないよ。」

「殿下の居られない時に召使い達が行っておりますが、何か不手際でもございましたか?」

「ち、違うよ。掃除してるところを見たことがないのにいつも綺麗だなって思ってさ。」

「さようでございましたか。そのお言葉、召使い達が喜ぶことでしょう。」

 喜ぶの?大した事言ってないよ。

「えぇと、話を戻します!後宮の4階はすべて好きに替えていいのですね。」

「はい。問題ございません。」

 これは広いぞー。どうしよっかな?


 コンコン


 あれ?誰か来た。

 顔を扉に向けるとフォルカーが来客対応をしているのがみえた。しばらくすると。

「リリアナ殿下。リドラス大公様がお見えになられました。」

 フォルカーに曾おじい様の来訪を告げられた。

「お通ししてください。

 アピスこの話は後でしましょ。曾おじい様がいらっしゃったわ。」

「かしこまりました。お茶をお持ちいたします。」

「ええ。お願いします。」

「失礼するよ。リリアナ。ケガをしたと聞いたが大丈夫か?」

「はい。森の妖精王にスイキンに先生が治療をしてくれて跡も残らないだろうと。」

「そうかそれは良かった。

 ...まさかユリウスの奴がな。すまんな。リリアナ。痛かっただろう。」

 曾おじい様が痛ましそうに私の手を見ている。言葉や表情からもユリウスに対するやるせなさを感じさせた。

 いつもは大きく見える曾おじい様が少し小さく見えた。

 ...そうか、あの子はユリウスって名前なんだ、

「そうですね。私は話したことはありませんでしたが純粋で素直な子だったからこそ、そのまま信じてしまったのかと思います。」

 被害者の私があの子を悪くないというのは何かがおかしい気がしてあの時、あの子をみて感じたことをそのまま話した。

「純粋で素直か。確かにな。ユリウスはそういう子だからな。

 リリアナ。ありがとう。出来ればユリウスの事を嫌わんでやってくれ。」

「はい。曾おじい様。」

 別に火傷はあの子に負わされた訳ではないし、酷い言葉を言われたけど悪いのは周りの大人だと分かっているからユリウス自体に思うことは少ししかないので頷いておいた。

 フィリップを馬鹿にしたことは後で謝ってもらおう。

「それで、さっきまで何をしていたんだ?」

 曾おじい様がローテーブルに広げたままになっていた見取り図に目を向けた。

「部屋の内装を考えていました。」

「そうか。どんな部屋にするつもりなのだ?」

「そうですね。シンプルなデザインの部屋にしよ「邪魔するぞ。」ます。」

 ...曾おじい様から視線を外して窓を見れば森の妖精王がいた。

「これはこれは、森の妖精王様。」

「いらっしゃい?」

「何で疑問形なんだ。ハーフ竜人?そうか。リリアナの曾祖父だったな。」

 森の妖精王は私へのツッコミをいれた後、普通に曾おじい様に偉そうな挨拶をして空いてる席に勝手に座った。

「あっ。子猫はどうなった?」

「子猫?」

「王宮で子猫を拾ったんです。」

 曾おじい様に手早く子猫の説明をして森の妖精王に話を促す。

「うっきー君に聞いたと思うがあの子猫は火の精霊の子供だ。名前はヴァル。お前の言う親猫。火の精霊ヴァルカンに返してきた。これは、お前への火の精霊からの礼だ。」

 そう言って取り出したのは大人の握りこぶしほどの宝石?をテーブルの上に置いた。

「宝石?」

「違う。魔石だ。しかも火の魔石の高純度なモノだ。」

「これは立派モノだな。」

「そうなのですか?」

「あぁ。魔石自体は色々なところで使われておるがここまで高純度で大きいものは見たことはない。」

「俺にはよく分からんが、人の暮らしには役立つだモノだろう。」

「へー。キレイ。でも、貰っちゃていいの?」

「礼だと言っただろ。問題ない。」

「では、ありがたく。」

「で?なんの話をしてたんだ?この羊皮紙はなんだ?」

「部屋の内装を考えてたの。出来ればシンプルなデザインにしたくてね。...」

 それから曾おじい様と森の妖精王もまじえて日が暮れるまで話し合った。


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