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ジャノヒゲ女王国  作者: くまごん
3-お兄様と遊ぼうー
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 楽しい時間は過ぎるのが早いもので気が付けばもうすでに夕方になっていた。

 あれから空の妖精さんことハリさんと仲直りをしてお名前も教えてもらいました。

 うっきー君が言うには空の妖精は最初はああいう風に話し掛けてくるんだって。

 ...コミュニケーションの仕方としては間違ってない?


 今は曾おじい様を馬車までお兄様とお見送りをしながら夕食会へ向かうところなんだけど...

 曾おじい様はなんで私を抱っこしてるの?

 ...まぁ、嬉しそうだからいいか。


 王宮の前庭にある馬車の発着場でお兄様と並んで曾おじい様に御挨拶をしていると第二夫君のアザリーさんが馬に乗って帰って来たらしく馬を降りて近づいてきた。

「リドラス大公。ルークとリリアナを見ていてくださったのですか。ありがとうございます。

 二人が御迷惑をお掛けしたでしょうか?」

 なんかザ・保護者みたいでくすぐったい。...義理の父親なんだけどさ。

「アザリー。曾孫との語らいを迷惑などとは思わんよ。それにルークにリリアナは聡明な子だからな。

 私も非常に有意義な一日だった。こちらが礼を言いたいくらいだ。」

「そう言って頂けると非常にありがたい限りです。」

「ではな、また遊びにくるからな。」

「「はい、曾おじい様」」

 おっ。今度はそろった。

 思わずお兄様と顔を見合わせハイタッチしているとアザリーさんが目を丸くして驚いていた。

「ずいぶん仲良くなったんだな。そろそろ夕食の時間だ。後宮に戻るぞ。」

 そう言いながらアザリーさんは私とお兄様の頭を優しく撫でてくれた。


 それから後宮の晩餐室に移動する際もお兄様とアザリーさんとずっとお話をしていてとても楽しい時間だった。後宮に到着したらアザリーさんは着替えの為に自室に戻ったため別行動となり、お兄様と手を繋いで晩餐室に歩いて行くとまだ王族は誰もいなかった。

 少し早かったみたいだね。

「リリアナ。夕食会が始まるまでお話をしていましょう。」

 お兄様はそう言い私の手を引き晩餐室の近くの廊下にあるソファに連れて行った。

「ここならお話しをしていても大丈夫だからね。」

 そう言って笑ったお兄様はやっぱり天使だった。

「はい。お兄様。」

 お兄様の笑顔に見惚れていると私の後ろから声を掛けられた。

「ん?ルーク、それにリリアナ何やってんだ?」

 振り向いたその先にいたのは第二王子のアポロさん。

 鮮やかな赤い髪の短髪で少し焼けた細マッチョなイケメン!!

 しかも、今日は黒い軍服!!暑そうに前を開けた姿とか私をどうしたいんですか!!

 なんでこの人こんなにどストライクなんだろう?

 私、顔赤くない?鼻汁出てない?ちゃんと見られる顔してる?

 自分の顔に手を当てて確認してしまう。

「アポロ兄様!おかえりなさい。僕達はお話をしてました。」

 私がおかえりなさいというのも変な感じがしたので頭を軽く下げといた。

「...お話ねぇ。まだ夕食には早いか。よし!俺も混ぜろ。」

 少し疑うように私を見た後になぜか私の隣に腰を下ろした。

 いや。待って。確かにこのソファは三人掛けだよ。でもさ、お兄様の隣に座ればいいじゃん。

 なんで私を挟んだの?

 私は可愛いも好きだけどカッコいいも好きなの。何この両手に花。

 いやいやいやいや。パニックだよ!挟まれてるとかどうすればいいの?

 ヤバイ!変な汁出てきそう。

「分かりました。アポロ兄様ならば歓迎しますよ。」

 待って。無理!お兄様!私の心臓が...

「で、今日は何やってたんだ?」

「今日はですね。リリアナのお部屋に曾おじい様と遊びに行ってお話をしてました。」

 胸を張って自慢するお兄様可愛い。

「リドラス大公とか。...お前らよくあの人、平気だな。」

「?曾おじい様はお優しいですよ?ねぇ、リリアナ。」

「えぇ。とてもお優しいですよ。」

 アポロさんの言うことが分からず私とお兄様が首を傾げてアポロさんを見上げる。と、お化けでも見たように見られた。

「...マジか。あの人すっげ―厳しいだろ?ガキの頃何度シリ引っ叩かれたか。」

「それはお前がやんちゃ坊主だからだ。」

 また後ろからきたー。今度はだれ―?

「グラッドお父様。おかえりなさい。」

「なんだ。グラッドの親父か。」

 ...うん。お兄様はちゃんと挨拶が出来て偉いね。

 今度来たのは蒼髪で金色の瞳でクールな雰囲気を持つ人。グラッド...第三夫君か。

 取り敢えずまた頭を軽く下げておいた。

「アポロ。挨拶はきちんとしろ。何をしているんだ3人で?」

「へーい。お話し中らしいぜ。」

 アポロさんが気のない返事をした後、今までの経緯?を話し出した。

「ならば私も混ざろう。晩餐室で一人で待つのもなんだしな。」

 ...王族なのに皆様、気軽なのね。

 ここにあるのは3人掛けのソファのみ、いるのは4人。

 グラッドさんが座る場所ないね。...譲るか。

 ソファから降りて声を掛けると

「あの、ここどうぞ。」

「...」

 固まった。

 えー。なんで?お兄様もアポロさんも驚いて固まってる。何でさ。

 近くで待機していたアピスさんが急いで側まで来て教えてくれた。

「殿下。我が国では女性が席を譲ることはありません。」

「でも、じゃなきゃグラッドさんだけ立ちっぱなしだよ。」

「...あぁ。リリアナは私を気遣ってくれたのか、ありがとう。」

 聞こえていたらしく解凍されたグラッドさんに笑顔でお礼を言われた。

「でも、それではリリアナが立つことになってしまうからな。こうしようか。」

 そう言って持ち上げられ座ったグラッドさんの膝の上に座らせられた。

 えー!!ほぼ初対面なのに膝の上って...

「それなら問題ありませんね。」

 いや、問題しかありませんお兄様。

「リリアナ。俺の膝に来るか?替わってもいいぞ。」

 なに人の顔見てニヤニヤしてんのさ。何アポロさんってこういう人なの?

 どうしたらいいのか分からずにただ固まる私をよそに他の3人の話は夕食会に出る人が揃うまで続いた。

 ちなみに夕食会の席順が私とお兄様が仲良くなったという事でお兄様が私とダリオさんの間に席替えされました。



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