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ジャノヒゲ女王国  作者: くまごん
3-お兄様と遊ぼうー
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 昼食後からアピス達や召使い達に手伝ってもらいながらあの衣裳部屋の仕分け作業をしているが終わりが見えない。

 とは言っても、私が直接触るのではなく、私が座っている前に召使い達が服を持ってきて必要・不要の判断を伝えるだけなんだけど、これでもかって程に量があるから大変!これ明日は喉と首を痛めてる気がするんだけど。

 あっ!召使いってのは男性だけど要はメイドってことだった。

 側仕えのアピス達は召使いの上役になるんだってさ。だからさっき仕分けの話をした後にアピスが十人以上の召使い達を集めて戻ってきた時は何事かと思ったよ。


 そういえばこの大量の服はどうするのかな?

 機械的に判断を下しながらすぐ側に立つアピスに問い掛けた。

「ねぇ、この大量の服はどうするの?」

「そうですね。

 恐らくですが、女児のいる貴族の家の者に下げ渡されるか、服飾ギルドに売られるか、又は国が主催のオークションにかけられるかのいずれかだと思われます。」

「へー。オークションとかもあるんだ。」

「はい。数年に一度、我が国主催で開かれるオークションは大陸でも類を見ない大規模なものになります。」

「あ!そういえばドレスかワンピースしか置いてないけど、デニムとか、膝丈のスカートとかないの?」

「デニムは作業着になりますので殿下がお召しになられる事、自体ありません。それから膝丈のスカートなど決して許されぬことです。」

「理由は?」

「...殿下にはまだ早い事かと。」

「...じゃあ、デザイナーに言って作らせよう。」

「殿下!!はぁ。...膝丈のスカートはふしだらな方が着るのもです。王族であらせられる殿下は決して作ることすら許されません。」

 アピスは私を叱責した後、ため息を吐き声を潜めて私だけに聞こえる様に理由を教えてくれた。

 ...ふしだら。足を出すなって事かな?

「コホン。それよりも殿下。今の調子では着る服がかなり少なくなってしまいますが、よろしいのでしょうか?」

「よろしいも何も、普段着に宝石が付いていたり、動きにくい服はなかなか着ないでしょ。

 それよりもドレスが多いけど、私がドレスを必要な事ってあるの?」

「社交界へのデビューは7歳と決められておりますのでしばらくは必要はないかと思われます。が御身内での御祝では必要になられるかと思われます。」

「御身内...っ聞くの忘れてた。王族は何人いるの?」

「尊き方々は13名おられます。

 まず先日こちらにいらした方々を覚えていらっしゃいますか?」

 先日こちらにきたって言うと面会の日のことだね。たしか...

「アザリーさんとユーノさんには自己紹介してもらって、知っているのは、首相さん、ダリオさん、曾おじい様なら分かるわ。」

「では、あとお一人。同じく話し合いの席におられた方が第三夫君のグラッド様でございます。

 残りの者は補佐官や護衛なので殿下が覚える必要はございません。」

 必要ございません。ってはっきり言ったねー。

 第三夫君かぁー。なんか父親がアレってどうなの?

 説明中のアピスが少し黄昏始めた私に気が付いたのか顔を覗き込んできた。

「いかがいたしました?お疲れになられましたでしょうか?」

 その時、私は確かに疲れていたんだと思う。

「いや。第三夫君って首相さんの夫って事でしょ。そういう方々がいるのは知ってるよ、でもさ、母親は罪人で父親はアレってどうなの?って思ってさ。」

 思わずため息をつくとアピスの慌てたような声が聞こえてきた。

「あれ?...っ違います!そのような事実はございません!

 確かにそういう方々はおりますが、ツヴァイ様や他の王族の方々はそう言った事はございません!!」

「ホントにー?」

「本当です。

 我が国だけではなく、この大陸では女性が少ないことはお話しましたね。」

「うん。聞いた。」

 話の意味が分からずにアピスを見上げる。...少し顔赤くない?

「これは神殿に伝わる伝承ですが、女性が少ない事でこの大陸の人口が減った時に子宝の神より神殿で祈りを捧げた男性二人組に子を授けると。お告げがあったそうです。」

「何そのマユツバ。」

「ですがそのお告げ後、実際に神殿で祈りを捧げた男性二人組に子が授かる様になりました。」

「...ナニソレ。...授かるって産むの?」

「私はまだ子がいないので聞いた話ですが、祈りと魔力や魂の一部を神殿のもつ御神体に一晩掛けて注ぎ入れると翌日、神より男児を授かるというお話です。」

「ファンタジー?...いや。ご都合主義かな?」

 思わず小声でつぶやいたけど誰も聞こえてないよね?

 急いで周りを見渡すと皆作業に集中しているらしく誰一人こちらを見ている者はいなかった。

「殿下。話を戻しますよ。

 おさらいとして、殿下の御父上様のツヴァイ様、義理の父親であらせられる第一夫君のダリオ様、第二夫君のアザリー様、第三夫君のグラッド様、第四夫君のユーノ様の五名の方々が殿下の御父上にあらせられます。

 ここまでよろしいでしょうか?」

「うん。この人達が話し合いの時に来ていた人達だね。」

「はい。そうなります。そして王子は七人おりまして上から順にレオナルド様、アポロ様、クロノ様、ダグラス様、グレイシア様、ユリウス様、ルーク様になります。」

「多いね。...えーと。レオナルドさんは分かるでしょ。アポロさんは夕食会の左前の席の人だね。

 他の人は...知らないね。」

 一気に13人家族、しかも兄が7人とか多過ぎ。

「夕食会の席で御一緒になられるかと思いますので、その時に御挨拶をしてはいかがですか?」

「そうだね。そうするよ。

 でも、今日はもう喉も痛いし疲れたから行かないでいい?」

 今まで話さなかったせいかもう喉が痛いんだよね。

「かしこまりました。ではツヴァイ様にはこちらからご連絡をしておきます。

 それからお茶をお持ちいたしますか?

「ありがとう。貰います。連絡の件はよろしくお願いしますね。」


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