番外 建国神話ー変わらぬ幸福ー
番外2
建国神話です。昔話なので読まなくても全然問題ありません。
昔々、太陽が地上を覗いた時、美しいと評判の娘を見つけました。娘の名はヨモギといい穏やかに過ごしていました。
太陽は一目で惹かれ、いつも娘を見ていました。
ある時、娘の評判を聞き多くの男達が娘を一目見ようと訪ねてきました
その中でも特に熱心なのは、大国の王様と稀代の勇者と世界一の商人でした。
男達は娘の愛を乞い願いました。
王様が「国一番の名誉を与える。」といえば
勇者は「魔王を倒した剣を奉げる。」といい
商人は「大きな宝玉を贈ろう。」と言いました
ですが、この中にヨモギの本当に欲しいものはひとつもありません。
娘が自分を選ばないことに焦れた男達は力ずくで娘を手に入れようとしました。
それはいつしか大陸中を巻き込む大きな争いとなりました。
娘は悲しみ毎日泣いて過ごしました。
それを見ていた太陽は娘の前に降りてきて
「私が争いを治めるから、そのかわり私の妻となってくれ」
と言いました。
太陽の強大な力で争いは瞬く間に治められその地は緑あふれる豊かな国ができました。
穏やかな時の中で二人はいつしか寄り添い合うようになりました。
ですが、そんな日々は長くは続きませんでした。
太陽が空に帰る日が近づいてきたのです。
太陽はヨモギを想い神の力の一部と龍の髭を与え、人々に娘を大切にしろと言い残して帰っていきました。
ヨモギは泣きませんでした。
太陽はヨモギが一番欲しかったものを与えてくれたから...




