45ーアザリー視点1-
お付き合いいただきありがとうございます。
一時間後に短い番外が二本更新予定ですが第二章はここまでとさせていただきます。
第三章の更新は書き上がり次第する予定です。
予定では今日の昼頃からリリアナとの面会をする予定だったが待ちきれない様子で早朝より登城したリドラス大公とツヴァイのあまりのポンコツっぶりに急遽予定を早める打診をリリアナにした。
王族のめんどくさい所だよな。
ツヴァイの子とはいえ簡単に会いに行くことはできないんだからな。
俺があの子を初めて見たのは誘拐されてきた平民の男を送り返す時だった
ツヴァイと共に外に出ればあの子は今にも泣きだしそうなそんな表情をしていた。平民の男はそれに気が付いていたのか、リリアナに別れの言葉も言わずにツヴァイと最低限の挨拶をしてすぐに馬車に移動した。
リリアナは男の乗った馬車が見えなくなるまで黙って見送っていた。
次に見たのは夕食会の時。緘口令が敷かれていても人の口に戸は立てられん。口さがない者達はリリアナを人形の様だと表現していたが...
話しかけても反応せずに食事も下を向いてただパンを食べる。さすがのツヴァイとダリオも参ったらしく目で助けを求めてきたが、俺には無理なので断っておいた。
そして寝込んでいたリリアナの部屋にツヴァイを送り届けた時だった。
ツヴァイはあれでなかなか頑固でリリアナの倒れた原因が少しでも自分にあれば絶対に腰を上げないと思ったんだ。だから王族内でも体力に自信のある俺と息子が運んだんだが...
森の妖精王。...俺の強さとは違った強さを持っていたな。武人として軍人として鍛えてきたつもりだが他の強さというものを思い知った気がした。
そして今日なぜか森の妖精王がリリアナの隣に立っていた。
森の妖精王はリリアナの隣に当然の様に立って、触れて、抱き上げていた。
横目でツヴァイとリドラス大公を見れば片や落ち込み片や憤りを感じたらしく鋭い目で森の妖精王を見ていた。リリアナは報告にあったように先日とは別人と見間違うほどの変わり様で俺達にも花の蕾を勧めてきた。
しかもユーノの野郎。毒見してないモノを口に入れるなと何度言えば分かるんだ。渡したのがリリアナだから注意できないだろう。ったく。
そんなこんなで話し合いが始まったが、この子は感情が顔に出るな。
物置とはいえデイジーの箱庭で育って、2回も王宮から失踪した子だから身構えていたが、素直な子だな。ダリオが分かる様に質問をすれば答えられる範囲でちゃんと答えてくれる。
ローテーブルの上にいたピンクの置物が実行犯の水の妖精だとは驚いたがリリアナが困っているのを察したのか俺達に説明し出してくれたのはありがたかった。それにしても捕らえた離宮の連中には聞きたいことが増えたし今は病院のベットでお休み中の奴も牢屋へ直行だな。
そんなことを考えていたら森の妖精王がリリアナの問いに答えだした。
リリアナそんな質問いつしたんだ?口は動かなかっただろう?
それから森の妖精王に慣れ慣れしくないか?お前が座っている方は伝説上の存在で怒りを買うとうちの国は滅びるんだが。
あまりのことに思考停止に追い込まれていたんだが回復した時にはリリアナは森の妖精王に手ずから食べさせられていた。
...いい加減にしろ!ツヴァイとリドラス様が羨ましそうに見ているじゃないか。森の妖精王は分かってやってるな。リリアナに分からん様に勝ち誇った顔しやがって!!
その後もリリアナが上手く説明できない部分は海の妖精が変わって説明をしてくれた。
逃走経路は言う気はないみたいだが、門からは出て行っていないことは確認済みだ。どこかの非常用の出口からの脱出だろうからそれを知った事も含めて後でじっくりと聞けばいいか。
そして失踪事件は森の妖精王に誘拐をされていたと。リリアナはしてやったみたいな顔してるが責任の半分。ではなく森の妖精王が犯人だな。失踪事件じゃなくて誘拐事件だな。
その先聞いた話は俺に理解は出来そうにないから割愛する。とりあえず、リリアナは前世の記憶を持ち今も生きているってことだ。
休憩時間、ツヴァイ、リドラス様と森の妖精王が言い合いをしていたが、リリアナは興味がないらしく退屈そうにしていた。しばらくして思いついたように席を立ったので付いて行くと、側仕えにナイフを借りようとしていた。果物を食べたいのか?
「私も頂きたいです。」
一緒に付いてきたユーノが声を上げる。森の妖精王を信仰してるのにあっちに居なくていいのかよ。
ため息をつきたい気持ちを抑えて先程出来なかった注意をするとまた、あーいえばこーいう。しかもリリアナにまで強請る始末だ。ったくこいつは...
思わず軽く頭をひっぱたいてやった。リリアナの方が行儀がいいぞ。
俺も挨拶がまだだからしておくか。
「俺は、アザリー。ツヴァイの第二夫君だ。君の義理の父になる。よろしくな。」
続いてユーノが自己紹介をするとリリアナは驚きで固まった。
すぐに驚きから解放されたリリアナから花の蕾を受け取ったが、別に俺はいらんのだか...まぁ可愛い娘からだ頂こう。
不思議な花の蕾のことをユーノが聞けば森の妖精王の城でしか咲かない花だと言った。
それっておとぎ話にある飲み物じゃないか!!いや、そもそもリリアナは誘拐されて森の妖精王の城に連れて行かれたと言っていた。もしかして、その城は万難を排し試練を乗り越えた者しかたどり着けないと言われるあの城か!?リリアナ!!何という物を...!!
あれっ?リリアナがいない。席に戻ったのか?...俺も戻るか。
続く話し合いでリリアナは成人までは王家で暮らすということに落ち着いた。
リリアナを快く思っていない者達もどうにかしなければいけないし妥当なところか。
仕事に行くため建物を出ればこれから暑くなりそうな空をしていた。
もう夏はすぐそこだ。




