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ジャノヒゲ女王国  作者: くまごん
1ー誕生、そしてー
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4

 あれから甲冑を着た騎士みたいな人達が大勢来てフィリップが事情聴取されたけど問題になるよねー。あんな威力の水鉄砲(?)問題にならないほうがオカシイよね。あと、なんで皆私を見ると驚くのかな?





 フィリップに抱っこされて大きくて凄い豪華な建物の廊下を歩いてる最中なんだけど、フィリップは緊張で青い顔してるし、リリアナは初めて物置の外に連れ出されたから怯えてしがみついてるし。

 何が起きてるか知りたいけど誰か教えてくれないかな?


 ん?他人事みたいだって?そりゃそうなるって。

 だって体が動かない不調の理由がなんとなく見当ついたからね。

 私は転生だと思っていたけど、憑依に近いものじゃないかってね。

 ただ本当に憑依だったら体が動かない気がするんだけど...?


 おそらくだけど、普段の体の主導権はもう一人のリリアナが持っていて、私は感覚はあるけど考えることしか出来ない状態なんだと思う。でも、たまに切り替わるみたいに私がいきなり体を動かせるようになるってようやく気が付いた。

 せめてリリアナと話させてよ。念話的なやつでさー。

 リリアナは閉じ込められていたせいで成長の遅れた3歳児だよ。

 感覚があるせいで空腹とかは分るし。考えるって私の苦手とすることじゃん。

 ハァ。お腹空いた。あの男のせいでパン落としちゃたからなー.





「ここでお待ちください。」

 私達をここまで連れてきた甲冑を着た人は一室の扉を開けて中に促した。

 凄い部屋。

 広い応接室なんだけど調度品とかソファとか凄く高そう。

 フワッフワッしてそうな赤と金の絨毯も敷いてあるから歩いてみたいかも。

 品があるって言うの?

 いろんな所に金とか宝石とか付いているのに嫌味じゃないみたいな。

 この壺なんか壊したら普通の人には一生弁償出来ないよ。

 審美眼ないから多分だけど。

 リリアナーそのままフィリップにしがみついていてね。

 フィリップはーそれどころじゃないか部屋に入ってから動かないで置物みたい。

 顔色がもう青を通り越して白いけど倒れないでね。お願いだから。



 コンコン

「ツヴァイ首相並びに第一夫君ダリオ様、宰相イジワール・ワジール様が御到着です。」

「ひゃ。ヒャイ!ドウジョ。」

 ヒャイ。ドウジョ。ってフィリップ緊張しすぎでしょ。噛み過ぎ。


 ガチャ


「ウグッ。」

 女の子にあるまじき声出たわ。ちょ。フィリップ。リリアナを抱えたまま膝を着くのはいいよ?でもさ体ごと頭は下げちゃダメでしょ。上半身と膝でサンドイッチよ。くっ。...苦しい。ギブギブ。


「面を上げろ。」

「ハヒッ。」

 あぁ。助かった。苦しかった。

 しがみついたまま眼だけを動かして少し見えたのはフィリップの前に立つ3人の男達。

 右側の人は長い金髪で背が高くてキレイなスーツを着ているキツめの顔の年齢不詳で。中央の人は肩くらいの茶髪でこの中では小さいけど赤い豪華なマントを羽織っている薄い顔の中年で。左側の人は長い灰色の髪で背は高いけど猫背になっている黒のスーツの冴えない中年。


「此度は一体何があったのだ?

 我が妻デイジーの離宮でこのような事件。決して見過ごすことは出来んぞ。」

 顔に似合わず威厳と重みのある声で中央マントは口を開いた。

 我が妻!?

 デイジーってあの離宮の主でしょ?ってことは父親(仮)!?

 多分、この中央マントが一番偉い人でしょ。さっき首相って言ってたよね?

 じゃあデイジーは首相夫人!?

 ...え?マジで?一国の首相夫人が前の恋人の子供産んだの?

 凄いスキャンダル!!これ、下手したら一国の政権ひっくり返らない?

 ...えっ?だから物置?もしかして、私。生まれてないことにされた?

「報告では本日、夕刻。離宮の壁が魔法で破壊され重傷者が一名。

 使用された魔法は水魔法と思われます。付近では海の妖精の存在が確認されていますが、この者には適正がありません。そして付近の捜索の結果、魔導具等の発見にも至っておりません。」

 この灰色黒スーツの人。きっと仕事が出来るとみた。

 冴えない見た目に私は騙されないぞ!

「そんなことより気になるのはその子供ですよ。」

 金髪年齢不詳は見た目のままの涼やかなお声ですね。

 ところで、離宮破壊を”そんなこと”ですましていいの?

「それもそうだな。ダリオ。」

 そんなことでいいんだ!?

 で、この金髪年齢不詳がダリオさんで第一フクンなんだ...フクンって何?

 そうすると、灰色黒スーツが宰相さんね。うん。よく似合ってるね。


「では、その子供の顔を見せてもらおうか。」

「ハッハイッ!かっかしこまりました!

 リリアナ様。顔を上げてください。」

「やっ。」

 フィリップに顔をすりつけ始めちゃった。リリアナ今ご機嫌ナナメだからね。

「お願いですから。リリアナ様。」

 フィリップだんだん情けない声になってきたね。

「むー。」

 うわっ、嫌そう。

 でも、フィリップのいう事はきくでしょ。かーわーいーいー。

 リリアナはしぶしぶフィリップから降りてしっかり前を向いた。

「これは...私の子か。」

 顔見ただけでわかるの!?そんなに似ているの?

 よくわからないけど、前の3人組も警備している人達もみんな驚いている。

「なんと!おめでとうございます。

 我が国にまた一人、王族が誕生したとは。まことにおめでとうございます。」

「これはこれは、息子がまた一人増えましたね。」

 ...王族!?...息子!?どういうこと??


 ガチャ

「入るわよ」


 わぁ。カワイイー。フランス人形みたい。

 白く、艶やかな髪を緩く結ってリボンたっぷりの白いドレスを着た小柄で可愛いらしい女の子が入ってきた。


「アタシの離宮を壊したのはソイツ?」

 アタシの離宮・・・この人がデイジー!!

 この人がリリアナの母親。

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