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ジャノヒゲ女王国  作者: くまごん
2ー森の妖精王と遊ぼうー
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 あれからしばらく森の妖精王とお話をしていたけどいつの間にか寝ていたみたいで、要は今、私が言いたいことは朝日が眩しいぜ!ってこと。

 気が付くと朝って何回目だろう?

 それにしてもリリアナがいなくなったなら少しづつでも話していかないとなぁー。

 さすがに今のままって訳にはいかないし。

 でも、いきなりこんなにマシンガントークしたら引かれるよね?

 ーマシンガンっ何すか?ー

 えっ?前世の記憶?

 おはよう。うっきー君。

 ーおはようっす。

 別に平気じゃないっすか?あと、前世持ちの話もした方がいいっすよ。ー

 えっ?大丈夫なの?頭がおかしい人扱いされない?

 ーされないっす。たまにいるっすからー

 あっ。他にもいるんだ!じゃあ大丈夫だね!よし、朝食、食べよう!

 ー切り替え早いっすよね。ー

 ん?だって大丈夫なら悩む必要ないでしょ?それよりお腹空いたしね。


 ガチャ


 そんなことを話しながら応接室の扉を開けると、朝の交代の為か昨日のより多くの警護の騎士様達がいた。

 だから、多いって。側仕えの三人組はいないね。まだ来てないのかな?

 扉の隙間から覗いていると美女が側にやってきた。

 この人は確か、馬車で一緒だった美人さん。

 朝からお綺麗ですね。 今日は甲冑姿なんですね凛々しくて美しいと思います。

 森の妖精王のように人外の美しさではなく少しホッとするような優しい顔立ちをしてるから安心感があるんだよね。

「おはようございます。リリアナ殿下。」

 そうだった!女の人にしては低い声していたんだった。

「おはようございます。」

 やっぱり挨拶は人付き合いの基本だよね。

 扉を開けてちゃんと挨拶をすると応接室の()()()()()()

 ...やらかした。

 ーリリアナってなんていうかバカっすよね。ー

 ...返す言葉もございません。

 ...まぁ、いっか。どう話すか考える必要がなくなるし。

 うっきー君から呆れたように見られながらも口を開く。

「あの!」

「はっ。...はい。なんでしょうか殿下?」

 驚いたように私を凝視しながら返答する美人さん。起きたばかりだからジロジロ見られると恥ずかしいのだけど。

「...お水をもらえますか?」

 恥ずかしくなって小声になってしまった。あとご飯も。

「お水ですか?かしこまりました。すぐにお持ちいたします。

 さぁ、こちらにどうぞ。」


 室内なのにソファまでエスコートされ驚いていると、まさかの美人さん自らがお茶を入れてくれた。

 仕事中なのになんかすみません。

 しばらく待っていると出てきたお茶は少し薄い紅?いやオレンジ色かな?

 この世界お茶あるんだ!今まで水しか出てこなかったから知らなかったよ。妖精王の城では美味しいジュースだったしね。ティーカップとソーサーもあるんだ。砂糖とミルクはないのかな?

 テーブルの上を見渡してもないし美人さんは持ってこなかったから砂糖とミルクは出ないんだね。

 では、ストレートで頂きましょう。

 少しだけワクワクしながら高そうなティーカップを音を立てないように右手でそっと持ち上げソーサーを左手で持ち上げた。

 うん。美味しい。香り高くしっかりした味わいを持ってる。

 そんなことを考えているとうっきー君が興味を示した。

 ーお茶って葉を煮出したモノっすね?そんなに美味しいんっすか?ー

 美味しいよ。飲んでみる?

 ーいいっすか!?それじゃあ頂くっす!!ー

 このカップもう残り少ないし、このまま渡すわけにはいかないよね。

 美人さんにもう一回入れてもらおう。

「あの、もう二つ頂けますか?」

 私にお茶を入れて壁際で待機していた美女さんに声を掛ける。

「もう二つですか?かしこまりました。」

 そういえば飲めるの?

 ー実体化すれば飲めるっす。ただ、周りにも見られるんすけどね。ところで二つ?ー

 スイキンも飲むかなって思って...スイキン!!お茶飲むー?

 そう声を掛けると私の前に小さな水玉が出現して次第にスイキンの形をかたどっていく。

 ーお茶ですか?...ではご相伴にあずかりましょうー

「お待たせいたしました。」

 きたきた。熱い紅茶が入ったカップが二つテーブルに置かれた。

「ありがとうございます。」

 美人さん仕事外の事をさせてすみません。

「熱いから気をつけてね。」

 そう声を掛けるとテーブルの上にいたスイキンとうっきー君が次第に輪郭を浮かび上がらせた。

 おぉ。変わってないのに変わった。

 さっきまでとは違いそこにある存在感?ってのが増した気がする。

「気がするじゃなくて、増したっす。」

「わぁ。声も聞こえるんだ!!」

 手をたたき喜んでいると突然、大きな手が私を抱えた。

「何だこいつ等は。殿下!!」

「副長!!殿下を連れてお下がりください!ここは我々が!!」

「サルとて油断するなよ!!」

 ちょ、待ってよ!!なんで武器を出すの!?なんで私を連れて応接室から出ようとするの?

「まって!!」

「殿下、緊急事態です。もうしばらくご辛抱ください。」

「待ちなさい!!!!!」

 こんな大声出したの初めてで私の声に騎士様達は驚いたようで皆、私を見てる。

 はっきりこの室内すべての者に聞こえる様に分かるように言わなきゃ二人が危ない。

「武器をしまいなさい。その子たちは敵ではありません。」

 そういうと騎士様達は困ったように顔を見合わせた後、私を抱き上げる美人さんを見た。

「殿下、失礼ですが彼らは何者ですか?」

 美人さんに聞かれた。

 ...当然だ。そうだ、言ってたじゃん。

 妖精は普通の人には姿が見えないって。いきなり姿を現したんだもん驚くよね。

「彼らは妖精です。今まで私とずっと一緒にいました。

 お願いします。彼らを傷つけないでください。」

 私を抱き上げる美人さんにお願いする。

「...分かりました。殿下がそう仰るのであれば。

 お前達、武器をしまえ。...ご歓談中失礼をいたしました。」

 そう言いまた私をソファに降ろし謝罪をしてくれた。美人さんいい人や。

「いいえ。むしろ私の方がお礼を言うべきですね。

 いつもありがとうございます。お仕事ご苦労様です。」

 何を言っていいか分からずにいつも言いたかったお礼と労いの言葉を伝えておく。

 そういえば、この美人さんには結構、迷惑ばかりかけている気がする。

 謝った方がいいかな?

「...ところで、よろしいですか?」

 考えていたらスイキンに声を掛けられた。

「どうしたの?」

「もう一杯頂けますか?人の飲み物というのはこのような味なのですね。」

「そうっすね。ジュースや水とは全然違うっすね。俺も欲しいっす。」

 まさかのおかわりだ!!

 とは言っても私は入れられないし今まで結構、仕事の邪魔してるよね?

 チラっと美人さんを見上げれば笑って頷いてくれた。

「では、妖精様のためご用意いたします。少々お待ちください。」

 綺麗な礼をしてお茶を入れに行ってくれた。よかったね。


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