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ジャノヒゲ女王国  作者: くまごん
2ー森の妖精王と遊ぼうー
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 ん?朝?

 少し目を開き眩しくてまた目を閉じる。夢見心地のまま微睡んでいると。

 ーいい加減起きるっす!!もう昼っすよ!!ー

 うっきー君の怒鳴り声が聞こえた。

 眠い。起きるから怒らないで。...ぐぅ。

 ー起きてないっす!寝てるっす!!ー

 起きてる、...もん

 ーだーかーらー!起きろ!!ー

 耳元での強烈な声に驚いて文字どうりベットから飛び起きた。

 うるさっ!なに?なんなの?

 ーもう!さすがに寝過ぎは体によくないっすよ。ー

 ...うっきー君、耳元で叫ばないでよ。起きちゃったじゃん。

 ー起こしてるっす。はぁ。死にかけた後だってのに...ー

 何そのやれやれって。すみませんねーこんなんで。

 ...お腹が空いたけどどうすればいいんだろう?

 応接室に行けば誰かはいるかな?

 ー応接室に側仕え?って連中がいるっすよ。ー

 本当!ありがとう。じゃ行こう。

 体が小さいせいでベットが高いんだよね。ドアノブも背伸びしてやっと手が届く位置にあるし。


 ガチャ


 少しだけドアを開けて応接室をのぞいてみた。

 応接室には側仕えのアピスさんとリカさんとうわぁ。見張りの騎士様増えてる。

 何人いるのこの部屋?この間まで3人だったはずでしょ。何かあったの?

 ー本気で言ってるっすね...ー

 ん?なんで?私を呆れた目で見るの?

 ちょっとだけ顔をのぞかせている私にアピスさんが気が付いたらしくドアを開けてくれた。

「リリアナ殿下。いかがなさいましたか?」

 うん。今日も完璧王子。綺麗な笑顔で迎えてくれた。

 お腹空いたって言っていいかな?

 ...なんか気のせい?アピスさんから棘があるような???

 ぐぎゅるるうぅぅぅぅ

 恥ずかしい。私のお腹が口よりモノを言ってる。

 恥ずかしくて床を見つめてしまった。

 静かな室内だからきっとこの部屋にいる人達、全員に聞かれたよ。

 恥ずかしい。

 ーお腹空いているから仕方ないっすよ。ー

 うっきー君がフォローしてくれるけどいたたまれない。

「かしこまりました。すぐにお食事のご用意をいたします。

 あと念のために医師を呼びますので診察を受けていただきとうございます。」

 うぅ。ありがとう。お腹鳴ったのをスルーしてくれて。

 手を取られ優しくソファに連れていかれてお水を出してくれた。


「お待たせいたしました。リリアナ殿下。」

 しばらくして応接室に入ってきたのは昨夜のおじいちゃん先生。

 おじいちゃん先生に診察をしてもらい終わると満面の笑みで結果を伝えられた。

「もう大丈夫ですな。

 ですが、昨日まで高熱があってのですまだ無理は禁物ですぞ。」

 ...高熱!?昨日!?

「栄養のあるものを食べてよく休んでください。」

 ー熱があったことも覚えてないっすか?ー

 うん。全く。夕食会が終わったまでしか覚えてないよ。

 えっ?本当に熱があったの?

 ーあったっす。死にかけてたっす。ー

 うっきー君と話している間におじいちゃん先生は退室していった。

 ねぇ。うっきー君、リリアナは?なにがあったの?

 ーそれは...森の妖精王が説明するっす。今は休むことっす。

 ...本当に無事でよかったっす。ー

 言葉が見つからないようで空中をさまよっていた目が最後の言葉だけ私を捕らえた。

 真っ直ぐ心からの想いが少しづつ私の体に沁みていった。

 心配をかけてごめんね。それから心配してくれてありがとう。





 あれからご飯を食べ寝室のベットの上で森の妖精王が来てくれるのを待っている。なんかちょっとあれな言い方だけど別に他意はないからね。

 ー誰に説明してるっすか?暇なら寝るっすよ。

 あんたの意識が疲労してるのも魂が壊れかけたのも事実っすからね。ー

 でも、何があったか分からないと不安でさ...リリアナの事も聞きたいし。

 森の妖精王いつ来るんだろ?

 うっきー君はチラリと寝ているスイキンを見てから

 ー分からないっす。きっとどこかの妖精王につかまっているっす。ー

 どこか?妖精王って他にもいるの?

 ーいるっす。妖精は大いなる力の流れっす。

 逆に言えば大きな力の流れる所には必ずいるっす。確認されているのは森、海、空。いると言われているのは火山や大地、星っす。ー

 いると言われている。うっきー君も会ったことないの?

 ーないっす。そもそも妖精は他種族と一緒にいることはないっす。

 母なる大樹から外に出たことがない森の妖精も珍しくはないっすー

 ーへぇ。うっきー君から妖精講座を受けているのか?感心だな。ー

 森の妖精王!待ってました!!

 ー来るのが遅れたようだな。さて、もう待ちきれないんだろう?

 何が起きたか説明するぞ。ー

 お願いします!!

 勢いよく頭を下げて膝と頭ぶつけた。痛い。

 ー器用っすね。ー

 サルに言われたかないやい。

 そんな私を笑顔で見ながら頷く妖精王はやっぱり機嫌がいい。

 ーよし、体はうまく動くようだな。

 昨日の朝、お前の魂は耐え切れずに崩壊を始めた。

 想像するなら魂という器でお前とリリアナの二つの意識が戦っていたが、決着がつく前に器が壊れ始めたそんなかんじだ。壊れ始めたせいで体に変調をきたして熱を出したわけだが...ここまで大丈夫か?ー

 大丈夫!!なんとなく想像できた。

 ーならいい。

 本当は魂を修復するため俺の城で休ませようとしてたんだが、他の者達からの同意が得られなくてな。だからお前に祝福を与えた。ー

 祝福?

 ーあぁ、俺からの祝福だ。与えたのはお前が二人目だぞ。ー

 凄い事なの?

 ーそうだな。まぁ祝福の内容はそのうち教えるが、与えたという事実が今は大切だ。

 俺が与えたことでお前の魂はこの世界の力の流れからも愛されるようになったから、俺達が力を使えば済むことだ。ー

 ???????????????

 ーわかってねぇな。

 森の妖精の力ってのは、育てる力。生命の力とも言われている。それで壊れた魂を補修したんだ。

 ちなみに、世界の流れは魂の崩壊を引き留めた。ってことだな。ー

 へぇ。...

 ーあー。分からねぇなら難しく考えるな。お前は生きてる。それでいい。ー

 ...生きてる。確かに生きてる。

 ありがとう!!森の妖精王!

 難しいことはよく分からないけど助けてくれたのはよく分かった。

 本当にありがとう!!!助けてくれて。

 ー...リリアナの事はすまんな。お前一人助けるのが精一杯だった。ー

 でも、リリアナは私と一緒にいるんでしょ?前にそう言ってたよね?

 ー...あぁ。そうだな。お前と一緒になったんだ。ー

 そう言って優しく私を抱きしめた森の妖精王は少し震えていた。


 ーこれからどうする?ここにいるのが辛いんだろう。俺の城に来るか?-

 ...辛い。

 辛いという表現が正しいのかは分からないけど、確かにここには居たくはない。

 でも、やりたいことがあるの!!

 私は世界を見て回りたいの!

 ずっと物置でリリアナも動かなかったから色々見て回りたい。

 フィリップとの約束もあるからね。

 だからそのうち森の妖精王のお城へは遊びに行くよ。

 ...それじゃダメ?

 不安になり私を抱きしめる森の妖精王を見上げる。

 ーダメじゃない。お前の好きに生きればいい。

 ただ、忘れるな。森の妖精は友と共にある。何かあったら必ず呼べ。ー

 友?...友達?ふふふっ。嬉しいな初めての友達だ。

 うん。分かった。ありがとう森の妖精王。

 しっかり目を見て私達は笑いながら頷きあった。


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