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ジャノヒゲ女王国  作者: くまごん
2ー森の妖精王と遊ぼうー
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 森の妖精王から話を聞いて一晩考えたけど、私が出来ることはないよね。

 ピクリとも体を動かせないから話すことも移動することも出来ないし。

 出来るのはスイキンとうっきー君と念話?で話することだけだし。

 リリアナはいつも通り、着替えさせてもらってご飯食べて窓からずっと外の景色を見てる。

 もうすぐどちらかが消えるなんて嘘みたい。性質の悪い冗談ならいいのに...

 ー森の妖精王はそんな事、冗談でも言わないっすよ。ー

 アヤメが飾られた花瓶にもたれて寝ているうっきー君が私のボヤキに反応した。

 ごめん。でも、信じられなくてさ...

 ーまぁ、珍しい事っすからね。...しっかし、退屈っすね。

 ...そういえば

 リリアナはなんでここにいるっすか?ここって人の王が住む場所っすよねー

 ...えっと首相さんの子供だから?

 ーなんで疑問形なんすか?ー

 今まで数回しか会ったことないから父親って感じがしないんだよね。

 この間まで物置に閉じ込められてたし。

 ー物置?子供って物置に閉じ込めるものなんすか?ー

 閉じ込めないよ。なんていうか...ね。

 ...前世の親の顔は覚えてないけど、温かかったことだけは覚えてる。

 だからかな?首相さんもデイジーもリリアナの親だけど親と呼びたくない。

 まぁ、これからもあまり関わらない人達だろうしね。





 ちょっと前の関わらない発言聞いてた?ねぇ聞いてた?

 ーあっはははっ。がっつり関わっているっすね。ー

 昼を過ぎた頃、アピスさんが私に告げたことは首相さんからの夕食会への招待!!

 もう放置プレイでいいよー!なんでわざわざ呼び出すのさ。!

 首相さんって偉いんだよ!行きたくないよー。

「それでは、ごゆるりとお過ごしください。」

 だから、行きたくないってば!!

 リリアナあんたも全力で拒否しな!!

 ーくっくっ。聞こえてないっすよ。ー

 うっきー君ってばなんで笑ってんのさ!!

 ーだって表情も体も一切動いてないのに意識は完全な拒否って。

 見ていて面白いっす!!ー

 ひどっ!それよりも、なんか行かなくてもいい方法ないの!?

 ーないっす!!スイキンもないっすよね?ー

 ーZZZZZZー

 置物のように机の上から動かないスイキンが寝ながら器用に返事をした。

 ーほら、ないって言ってるっす。ー

 違うもん!!あれは寝言だもん!!寝てるだけだもん!!

 行きたくないよー!!


 ーあっははははは。はっはらいてー!!なにそれ!?似合わねーっす!ー

 現在、私は側仕え三人組に夕食会に向かう為、ピンクでリボンとフリルがたっぷりのドレスを着せられて短い髪を隠すためにピンクの派手なスカーフを頭に巻かれた状態です。

 人を指さして笑わないの!そこのうっきー君!!

 初めて鏡で自分の顔を見たけど、可愛い。自分で言うのもあれだけど。

 マジで可愛い!

 日にあたらないから透けるような白い肌に、少したれ目だけど神秘的な輝きを持つ紫色の瞳、シミ一つない桜色のほっぺ。ちょっと残念なのは痩せすぎなところかな?

 まぁ、ドレスと髪型ですべてが吹き飛ぶんだけどね。もはやリボンとフリルに埋もれてるよ。

 今まで着替えさせられた服もそうだけどさ、趣味悪い!!

 服にこれでもかってほど、リボンにフリルに宝石つけて大量につければいいってもんじゃないんだよ!

 必要なのはセンスだよ!!

 あと、うっきー君!いい加減笑うのやめて!私が一番、不本意なんだから!!

 ーアハハ。無理。似合わねぇ!!ハハッー

 うるさい!ちゃんと分かってるから!

 ーうるさいですね。寝られないじゃないですか。

 ...リリアナ。それ、似合いませんね。ー

 起き抜けのスイキンにまで言われた。

 へこむわー。...好きで着てるんじゃないもん。

「リリアナ殿下。とてもお似合いですよ。

 では、後宮に向かいましょう。」

 アピスさんそれ嘘。よく笑わないでそんなこと言えるね。

 フォルカーさんはいつも通り無表情だけど、リカさんは下向いて肩を震わせて笑ってるからね!!

 ...ったく、あなた達が着せたんでしょうが!!


 王宮って無駄に広いんだね。

 私がいた棟を出て曾おじい様とご飯を食べた中庭を馬車で移動してるんだけどここが広い。

 馬車がゆっくり走ってるにしても、もう30分は走ってるよ。

 ー森の妖精王の城のほうが大きいっすよー

 ついてきてくれたうっきー君が膝の上で胸を張って自慢する。

 雲を突き抜ける巨木の城と人間が作った城を比べちゃいけないと思うよ。

 ーそれもそうっすね。

 それにしても、ここは気持ちのいい庭っすね。ー

 馬車からそんなこと分かるの?

 ー森の妖精なんでそういうのは敏感なんすよ。

 花も木も草ものびのび生きてるっすよ。きっと植物が好きな人が世話してるっすね。ー

 確かにきれいに咲いてるもんね。

 そんなことを話していたら馬車から大きな門が見え始めた。

 門?外に出るの?後宮だって言ってなかったけ?

 ー言ってたっすよ。でも、外ではないみたいっすよ。

 奥に大きい建物が見えるっす。ー

 この奥に大きい建物...王宮っておおきゅう(おおきい)いんだね。

 ...呆れた目で見ないでうっきー君。




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