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一時間前の宣言通り本日のみ一時間ごとの更新予定です。
どうかお楽しみください。
フィリップと王宮前でお別れしてから一週間が経った。
そろそろ故郷に着いた頃かな?元気にしてるかな?まだ一週間か...
それにしても、飽きた!!!
リリアナってば毎日毎日、着替えてご飯食べて一日中ぼーっとして!
コケ生えちゃうよ!!
今まで閉じ込められて生活してたけどさ、今は誰も怒らないんだよ!
いろんなところに行こうよ!遊ぼうよー!!
なんでまた部屋に閉じこもってるのさ!
体よ!動け!!
...動かない。
「リリアナ殿下。積み木などいかがですか?」
声を掛けてきたのは新しく私の側仕えとして配属された三人組のリーダー。
なんでも曾おじい様が言うには高貴な者には側仕えが必要で護衛の意味も有る。らしい、それなら部屋の見張りは外してよね。曾おじい様がいない時なんて騎士様が三人は応接室内の壁に張り付いてるよ。
...ねぇ、リリアナ返事してあげなよ。側仕えの人困ってるよ。
「...」
ダメだ。さっきからジッと積み木を見てるけど反応しない。
ここ最近まったく話さなくなったね。人見知り時期にでも入ったんかな?
でもあれ、もっと小さい頃のはずだよね?
それにしてもイケメンは困っててもイケメンだね。
新しく来た側仕え3人組リーダーはアピス・ラナンキュラス。
金髪の短めセミロングで瞳の色は緑色で正統派王子っぽいイケメン。
私の所に来てまだ三日くらいだけど、はっきり言って完璧!王子様!!
兄妹らしいレオナルドさんより王子様っぽい人。
二人目はフォルカー・ポトス。
黒に近い濃い青の髪のショートに黒い瞳っていう私としては落ち着くメガネ君。
いつも礼儀正しくてキビキビしてるから、近寄りづらいんだよね。
三人目はリカ・グラジオラス。
茶髪で長めのセミロングを赤い紐でいつもまとめてる茶色の瞳の童顔青年。
他の二人とは違って緩い雰囲気を持ってる。たぶん、甘え上手な末っ子かな?
この三人が三日ほど前に来たんだけどリリアナってばなーんも話さないの。
挨拶はまだハードル高くてもせめて”はい””いいえ”くらいは言おうよ。
また今日もずっーと窓から外の景色を見るの?
最初、気が付かなかったけどこの部屋の窓から少し離れた所にリラの木があって、紫色の小さい花が満開ですっごく綺麗なんだよね。
ねぇ、もっと近くに見に行こうよ。...ダメか。
それなら花が好きなら部屋の花も見てあげなよ。切り花なんだから見てあげないとすぐに萎れちゃうよ。毎日お花変えてくれてるんだから...
ちなみに今日はスズラン。
...はぁ。フィリップに会いたいな。・・・スイキン無事かなぁ?
変らない一日。ずっと窓から外の景色を見てる。
これ、いつまで続くんだろ?くだらない事でも考えてなきゃやってらんないよ。
少し不貞腐れた気持ちでぼーっとしていると。
窓の外のリラの木から男の人がはえてきた。
!?!?!?!?!?!?!?
なんで木から?どうやって?にゅーって出てきたよ!?にゅーって!
はっ!!妖精的な何かなの?えっ?でも見た目は普通の人...違う!!
普通の人にここまでのイケメンいる訳ない。完全に人外の顔してる!!
黄緑色で地に付きそうなほど長い髪をして古代の布の白ドレスっぽいものを着てるけど男の人だよね?
...人外なら性別ないのかな?
うわぁ。息が止まりそうなほどかっこいい。きゃぁ!目が合っちゃった。
まさか美し過ぎるイケメンを拝めるとは!いやー役得役得。
うん。いいもの見た!
...気のせいだよね?ずっとこっち見てるような?
...なんか近づいてきてない?
...私は何も見ていない!何も知らない!
でも、リリアナありがとう!毎日ここにいてくれてありがとう!!
ーおい、お前。俺が見えるのか?-
だからこの声は幻聴。なにも聞こえない!!
そう考えたらいきなり体が重くなった。
...嘘です。ただの現実逃避です!だからやめて。
そう思えば体が軽くなった。
...目を開けたくないな。
...
......
気になる。...少しだけ目を開ければ分からないよね。大体、ここ2階の室内だし。
チラッ。
...目の前でふわふわ逆さに浮いてガン見されていました。人外決定!!
警護の人ーーー不審者です!!
ーお前、変なやつだな。
確かに人ではないし普通の者には見えんがな。フ・シ・ン・シャではないぞ。ー
アッ。認めた。人外認定は頂きました。
あれ?...リリアナは話していないよね?誰と話してんだろ?不審者じゃないなら危ない人?
ー誰が危ない人だ。お前だ。お前。ー
お前って誰さ。ちゃんと人の名前は呼びなさいよ。お前って...
私か!?私の事分かるの?
ーようやく分かったか。しかし不思議なカタチをしているなお前は。ー
不思議なカタチ?どういうこと?
ーん?分からんのか?まぁいい。ー
えっ。まぁ良くないよ。ところで、あなた誰?
ー俺は森の妖精王。ー
へぇ。...それだけ?もうちょっとさ、なんかないの?
ー何を言えと?それより自分はどうなんだ。ー
私はリリアナ。3歳の女の子で、人間です。あっ!あと今すっごく暇してます。
そう言って期待を込めてじっと見てみた。
ー...なんだその目は。ー
いやだってね。私は暇で死にそうで、誰でも何でもいいから遊んでほしいところなの。その私の目の前に、私が分かる遊び相手がいるんだよ?
言うべきことは一つでしょ。
おにーさん。遊んでいかない?
ー俺、森の精霊王なんだが...ー
森の精霊王さんは少し困った風にボヤくけど口元、ニヨニヨと笑ってますよ。
ーゴホン。
ならば、俺の城に案内しよう!そこでならばゆっくりと遊べるだろう!!ー
そう言って私を持ち上げた。
「リッ!リリアナ殿下!!」
「殿下が消えた!」
「殿下!」
今まで物音ひとつしない静かな部屋が一気に騒がしくなった。
スイキンみたいに姿を消せるんだ。
ースイキンはなんだか分からんが。姿を見せることはできるが見せる必要もあるまい。ー
森の精霊王さんがそこら辺にいたら騒ぎになりそうだもんね。
あっ。出掛けること言わないと!一回降ろしてください。
ーもぅ遅い。それにお前に体は動かせんのだろう。ー
それは、確かに...
そんなことを話している間に私達は室内の花瓶に飾ってあったスズランの花に吸い込まれた。




