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えーーー。生まれてから3年目の冬になりました。
いやだって、赤ん坊ってやることないんだもん。
なんとなく今の状況が分りました?って報告?
私はリリアナ。現在3歳の女の子。
前世、日本に住んでいた女で、前世の記憶はあるけどはっきりとは思い出せない。
で、ここに転生したらしい。神様らしい人には会った記憶がないけど。
これ転生ってやつなのかな?転生だよね?転生だって言って!!
ヒャッホー!!
どんな世界なのかな?魔法あるかな?妖精とかいるかな?
RPG大好きなんだよね!
やっぱりやるなら冒険者だよねー。ギルドあるかな?
あー早く大きくなりたい。剣と魔法の世界が私を待っている!!
って思ってた時期もありました。
詰んでるだよね。状況がさ...
そのあたりを歩いてる人達の噂話をまとめると。
私の父親(仮)は偉い人。
母親の昔の恋人に黒髪がいたからその人の子供らしい。
私が生まれてから父親(仮)と母親がケンカしたらしく私が物置に閉じ込められた。うん、意味わかんない。(キリッ)
いや、二人が揉めるのはわかるよ。
そりゃ、奥さんが子供産んだら違う男の子供ってひどい話でしょ。
でもさ、子供を物置に閉じ込めちゃダメでしょ。生まれてきた子供に罪はないよ。虐待だよ。これ。
というわけで、私のいる場所は木箱がいくつも積まれている狭い板の間の物置。ここから出たことはない。
外の様子が見えそうな高窓はあるけど当然、3歳児には背が届かない。木箱の上にもまだ登れないから外はまだ見たことがない。
ずっと物置にいるから自分の顔も見たことがないけど髪の色は黒。毛先が伸びるとすぐに切られちゃうからベリーショートだけど。
着ている服は誰かの着古したボロボロのシャツとズボンを引き摺りながら着てる。
しかもこの部屋、カラフルで目に優しくないアメーバみたいなのが空中に浮いていてずっと見られてるから怖いんだよねー。
これはやばいよね。無事に成長できるのかな?
でも、小さすぎてどうにもできないし。あー早く大きくなりたい。
退屈―。暇だー。
「リリアナ様。
すみません。遅くなって。夕食をお持ちしましたよ。」
忘れてはいけないフィリップ君。
髪は茶髪で短くて瞳も茶色な好青年!!
普段は仕事でいないけど、毎日ここで私の世話をしてくれる人。
本人が言うには文字も読めないし、計算も出来ないらしいけど、とても優しいし顔もいいし筋肉質だし背も高いし!大好き!!
「フィリプー。ごはんー。」
「はい。お待たせしました。
こちらに置かせて頂きますね。」
ここにテーブルなんてシャレたものなんかないから板の間に直置きだけどね。
今日のご飯はーなんかの草のほぼ水スープとカッチカッチの黒いパン。
うん。いつもと一緒。
...3歳児にこれを食えと...
「ちゃんと食べて大きくなりましょうね」
「あーい。」
フィリップがそう言うなら仕方ない。
もの凄く不味くても飲み込みますよ。
あーーうまくしゃべれないってつらい。
早く大人になりたいな。
フィリップがお仕事でいないから暇だなー。いっつも暇だけど。
それにしても、このカラフルアメーバ何なんだろう。フィリップには見えないみたいだし。
カラフルなうえにマーブル状の色してるからなんか表現しずらいし、目に痛し、不安感あるんだよね。
言葉がわかるっぽいし。触れるのかな?
「ふわふわー。」
ぎゅ
「・・・・・」
・・・・・やばい。
いや、いきなり触るつもりはなかったんだよ。
ただ、気になって見ていたら勝手に手が伸びてさ、おもいっきりつかんでるよね。これ。
だって紅葉みたいなお手てがグーだよ。がっつり握ってるよ。
どっどうしよう?カラフルアメーバ困ってる?
どうしたらいいの?
PON!!!
わっ!!!
カラフルアメーバが小さいパッションピンクでおしゃれなゾウになった!!
ファンキー!ゾウさんなのにファンキー!!
「ゾーさん!ゾーさん!!」
ナニコレ。楽しー。
「ゾーさん!ゾーさん!!」
ーふふふっ。そんなに楽しいですか?ー
キャー!きれーな声。優しくて暖かくて落ち着く声。
・・・・・誰の声よ。
ーふふふっ。元気な子供ですね。ー
ゾーさんしゃべった!!!
きた!
きた!!
キタコレ!!
The・ファンタジー!!!!
「ゾーさん!ゾーさん!!」
いや、違う。言いたいことが違う。
「ゾーさん!ゾーさん!!」
あなたは何で、誰ですか?って聞きたいのになんで口からこれしか出ないの?
「ゾーさん!ゾーさん!!」
カラフルアメーバ改め、ゾウさんは海の妖精らしいです。
これ聞きだすまで長かったー。
口から出る言葉が質問したいことと違ってこれだけでも時間がかかったんだよ。
これおかしいよね。
成長すれば治るといいんだけど。
ただでさえ、無事に成長出来るか分からないのに...