表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ジャノヒゲ女王国  作者: くまごん
5-離宮で遊ぼうー
110/118

104

 昼食後、ダリオお父様は用事があるらしく何処かに出掛けてしまった。

 晩餐室にダラダラと残るのは本日、お休みのレオナルドお兄様とアポロ兄様。

 これは...やることは一つだよね。

「はい!私、午後からやりたいことあります。」

「ん?何やりて―んだ?」

「いいよ。リリアナのやりたいことをやろう。」

 レオナルドお兄様やりたい事を聞かずに許可してもいーの?まぁ悪い事ではないけど。

「第二離宮に行きたいです!!」

「はぁ?」

「いいな。行こうか。いいだろ?アポロ。」

「やったー!!これで離宮全制覇ー!!」

「おいおい。...マジかよ。」

 アポロ兄様がなんか言っていたけど聞こえなーい。

「ほら、行くぞ。...リリアナは抱っこだな。」

「えー。私、抱っこじゃなくて、肩車がいいです。」

 またレオナルドお兄様に抱き上げられそうになったので肩車を主張してみた。

「肩車?...分かった。」

 レオナルドお兄様に両手で持ち上げられ肩にドッキング!完了!!

 おおー。アポロ兄様よりは低いけど高い!!

「おい。アニキ落とすなよ。」

「そんな事はしないよ。」

「...そいつ。上で暴れるからな。気を付けろよ。」

「分かった。十分に注意を払おう。...じゃあ第二離宮に行こうか。」

「はーい!」

 レオナルド号しゅーぱーつ!!

 落ちない様に握ったレオナルドお兄様の毛根はしっかりしてたので禿げる心配はなさそうだった。


 第二離宮は第一離宮の反対。第四離宮のお隣だ。

 やっぱりこっちも右側の離宮の区画は美しく整備されていて左側。中央は剥き出しの地面になっている。

 という事は後宮の中央付近がグラウンドになっているって事かな?

 なんで?

「リリアナ。第二離宮が見えたよ。」

「言っとくが俺と親父の家だぞ。期待すんなよ。」

 お兄様達の声に視線を左から右にずらせば可愛い家があった。

 うーむ。ホラー館(第四離宮)豪邸(第三離宮)宮殿(第一離宮)と続いて可愛い家とは想像しなかったよ。それにしても可愛らしい家だね。

 新婚さん用のピンクのエプロンを着た可愛い女性がクッキーでも焼いていそうな家。完全に私の想像だけどさ。

 玄関前には白、ピンク、赤の日々草が咲いていて、外壁は白く、屋根は薄紅色の可愛らしい外観をしていた。何よりそんなに大きくない!...いや。前世の住宅事情から考えると大きいし豪邸なんだろうけど。

 ...宮殿で感覚がマヒしたかな?兎に角、可愛いお家だった。

「可愛らしいお家ですね。アザリーお父様も可愛い系ですからね。趣味ですか?」

「...気持ち悪い事を言うな。」

 アポロ兄様ー。本気で気持ち悪そうに言わなくてもいいんじゃない?

「アザリー父上は可愛くないぞ。あれはゴリラっていうんだ。もしくは人族最強だ。」

「そうだぞ。あれはゴリラだ。」

 兄達よ。自分の父をゴリラ呼ばわりするな。

 ...この世界にゴリラいるんだね。ゾウはいなそうなのに。

「さっきダリオの親父が特殊能力の話をしただろう?」

「王家の者は凄い力を持っているって話ですか?」

「そうだ。その俺達兄妹を一人でボコボコにするのがアザリーの親父だ。それとアザリーの親父が勝てないって言ったのが全盛期のリドラスの曾じいさんだ。」

「...えっ?あんなラブラドールレトリバーみたいな顔して?」

「顔は関係ないと思うんだけど...前に手合わせを四対一でやっても勝てなかったよ。」

「手合わせは特に容赦ねーからな。」

 人は見かけによらないねー。いっつもフワフワしてて穏やかなのに。

「中、散らかってるからな。」

「そうだな。」

 内部を知っているレオナルドお兄様が頷いた。

「そうなんですか?誰も片付けないのですか?」

「アザリーの親父が自分の事は自分でやれっていつも言っているからな。最低限の人間しかいねー。それに軍に入れば自分の事は自分でやるのがフツーだしな。」

 ...それ世間一般のフツーでは?

 まぁいいや。お家探検しよう!

「レオナルドお兄様。降ろしてください。歩きます。」

「あぁ。 ...第二離宮は危ない物もあるからな。むやみに触ったらダメだぞ。」

「分かりました。」

「ほら。入れよ。」

 玄関をアポロ兄様が開けてくれて私達を呼んでくれた。

「お邪魔します。」

「失礼するよ。」

 中はアポロお兄様がいう程汚くはないかな?ただ、可愛らしい外観に対して武器や防具が玄関に飾られているってどうなの?

 入って正面には大きい剣。狩人達のゲームで使いそうなくらい大きい剣。これ誰が振り回すの?それに傘立てに槍と剣が刺さっているんだけど...これ傘立てだよね?あと、なぜか甲冑がいくつも置いてあるけど...あっ!コート掛けになってるのね。うん。甲冑ってこうやって使うモノだっけ?

「これはこれは。レオナルド第一王子殿下ようこそいらっしゃいました。」

 私達が中に入ったら気が付いたらしく奥から黒いスーツのヨボヨボのおじいちゃんが出てきた。

 執事さんかな?

 もしかすると今まで見た人の中で最高齢かも?エルフ族を除いて。

「失礼するよ。それから今日はリリアナの付き添いだから気にしなくていいよ。」

「お邪魔します。」

 レオナルドお兄様に背を押されて促されたので挨拶をすると目が飛び出そうなほど飛び上がって驚かれた。

 そんなに驚いて大丈夫?...腰とかさ。

「大変失礼いたしました。ようこそおいでくださいました。リリアナ第一王女殿下。

 ささっ、中へどうぞ。今お茶をお持ちいたします。」

「あっありがとうございます。」

 中に入る様に促され私達が話している間に先に進んでるアポロ兄様の後を追った。


 居間に入るとシンプルな内装にここにもいくつか武器が飾ってあった。

 一番目立つ場所にはサバイバルナイフくらいの大きさで刃は潰れていて宝石がいっぱいついた。下賜された様な煌びやかで無駄に豪華なナイフだ。

「何だ?それが気になるのか?」

 ナイフをじっと見ていたらソファに座ったアポロお兄様に聞かれた。

「これが...というか。

 何でナイフに宝石をつけるんですか?使いづらくありませんか?」

「使うモノではないからね。」

「まぁ。飾りにしかならねーよな。」

 なるほど。

 使用する刃物とはまた別に考えた方がいいのか。そもそも下賜された品は使わないのかな?

 アポロ兄様の隣に座ったらソファから見えたのは第二離宮の庭だったと思われる場所。運動場みたいになんっにもない赤茶色の地面が踏み固められて広がっている。

 あっ!なんもなくないや。端っこに鉄棒があった。

 思わず指を指して聞いてみた。

「お庭ですか?」

「庭と言うか鍛錬場だな。出るのはなしな。」

「何でですか?」

「汚れるぞ。」

 ...今日の服装は第一離宮に行く予定だったから訪問用の綺麗な白のワンピース。

 外は土埃が舞う鍛錬場と言う名の庭。

 やめよう。絶対に怒られる。


 その日の午後はお兄様達と以前にやった事のあるボードゲームで遊んでアポロ兄様に勝ちました。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ