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「そろそろ着く頃か。」
「そうですね。」
「やっぱりグリフォンは機動力あるよなー。」
「そうだな。今回は強行軍だからいつも以上に速かったんじゃないのか?」
「それでもアッシージまで丸1日とは恐るべき速度ですよ。
問題は調教の難しさと乗り手の少なさですね。」
「戦いになれば空の主役はドラゴンだろ?そんなに増やす意味あるのか?」
「別に戦わなくても今回の様に伝令に使えますからね。」
「...上手くいけばいいのだがな。」
「父上。大丈夫ですよ。器用な奴ですからきっと上手く話をまとめてくれます。」
「少なくともリドラスの曾じいさんが一緒ならダグラスが大ケガすることはねーと思うけどな。」
「そうですね。大公が御一緒ですからね。心配しなくとも平気だとは思いますが。
...しまった。
どうせなら大公にダグラスの生活態度の矯正をお願いすればよかった。」
「ダリオ。厳し過ぎるのもどうかと思うぞ。
それに、そんなことを言い出せばお前も私もお爺様に小言を言われるぞ。」
「おや。ツヴァイは言われる事をしているのですか?」
「...この間。執務室にいらした時ダリオはいつもいないとボヤいていたぞ。
そろそろ逃げるのはやめた方がいいんじゃないか?」
「...」
「そういえば、リリアナは曾おじい様に懐いていますよね。」
「そーいやぁ。前にルークと一緒に遊んでもらったとか言ってたな。でも懐いてるってほどか?」
「遊んだ?それは初めて聞いたな。
昨日ダグラスを見送った際に曾おじい様も御一緒だと知ったら見るからに安心したからな。」
「だって。ダグラスお兄様よりリドラス曾おじい様の方が安心しませんか?」
「ふむ。そうか?」
「ダグラスはまだ若いですからね。」
「よくやっていると思いますけどね。」
「...リリアナ。お前。いつから起きてた?」
お父様、ダリオお父様、レオナルドお兄様は私の発言に気が付かずアポロ兄様だけは私が起きている事に気が付いたらしい。
「さっき。おはようございます。」
「おぅ。おはよう。さらっと会話に入るんじゃねぇよ。見ろ。
親父達が驚いてるだろう。」
お父様達を見回すとまだ私を凝視していた。
「いっただきまーす。」
朝食の焼き立てのパンは至高の品だよね!
「おい。親父達を無視すんな。」
「えー!!焼き立ての美味しいパンが冷めちゃいますよ!!」
「さっきまで寝てた奴の言う事か!」
だってさっき起きたんだもん。パンうまーい!
朝食後、お仕事に行く人達をお見送りをしていたらお父様の足が止まった。
「どうしました?お父様。」
「あぁ。...?アポロ?何してる。お前も仕事だろう?」
「俺?今日は休み。」
「では、私も...」
「馬鹿な事を言ってないでさっさと行きなさい。」
何かを言おうとしたお父様はダリオお父様に遮られ後宮の外に追い払われてた。
晩餐室に残るのはお仕事がお休みのダリオお父様とレオナルドお兄様、そして先程判明したアポロ兄様だ。
ダリオお父様は私の側に来て膝をつき胸に手を当てて眩しいほどの笑顔を私に向けた。
「リリアナ第一王女殿下。
どうか哀れなる私に殿下の御手に触れる栄誉をお与えください。」
...キャー!!
ダリオお父様いきなり!何をするのかと思えば!!ナニソレ!?ナニソレ!!
貴公子なの!?ダリオお父様貴公子だったの!?いやー!
中年でもダリオお父様カッコいいもんね!!どこかの王子かと思ったよ。
いやー。いいもん見た。こういう事本当に言うんだね!舞台みたい。
...で、この場合。私はどうしたらいいの?
困って頼りにならないお兄様ズを見上げるとやっぱり頼りにならなかった。
お腹を抱えるほど笑うって色々と失礼じゃない?そう思いながらも頼りにならないお兄様達を見たことで幾分か心が落ち着いたのでゆっくりとダリオお父様に手を差し出した。
「はい。今日はよろしくお願いいたします。」
「えぇ。こちらこそよろしくお願いします。
あの二人は後でキツく締めときますから気にしなくていいですよ。」
ダリオお父様のその言葉でレオナルドお兄様とアポロ兄様が動きを止めさび付いたブリキの様にこっちを見たけど無視しといた。
「第一離宮は遠いですからね。抱き上げますよ。」
「はーい!」
「はい。いいお返事です。
ふふふっ。まさか私に娘が出来るとは思ってもみませんでしたね。」
抱き上げついでに抱き締められて頬ずりまでされたけど何だか本気で嬉しそうだから拒否の言葉はどうにか喉で抑えて我慢した。
...大人になれリリアナ。これだけ嬉しそうなんだから拒否したら可哀想だよ。きっと泣いちゃうかもしれないからね。うん。ここは私が大人になろう。
...ついでに今後の為にサービスしておくか。
「私もお父様達の子供になれて嬉しいですよ。」
「リリアナ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
感極まった声と同時に一切の手加減なしに私は抱きつき攻撃を受けた。
「ふぎょ!!!」
くっ!!
苦しい!!!
朝食出ちゃう!!!誰か助けて!!!
「おい!親父!やめろ!!リリアナ。マジで潰れてる!!」
「ちょ!!父上!!リリアナを離してください!!締まってます!!」
事態に気が付いたお兄様達が両側からダリオお父様を止めに入って拘束は少し緩んだ。
あっぶねー。
喉まで朝食が上がって来たよ。キラキラ虹のシャワーが口から出る所だったよ。
「はっ!!すみません。感激のあまり。リリアナ。大丈夫ですか?」
「大丈夫じゃないです。」
ダリオお父様の攻撃でもうヘロヘロだよ。
「では、すぐに第一離宮で休ませましょう。」
すぐに休ませるなら今いる晩餐室で休めばいいと思うけど?...言っても無駄か。
第一離宮行ってきまーす。




