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祝!!100話
瞼が重い。
目を瞑っていても腫れているのが分かるってどれだけ泣いたんだろう。
...今、何時?
寝落ちしたから早く起きたのかな?...誰も起こしに来てないよね。
顔、洗おう。
今日の朝番は誰だっけ?氷が欲しいからフォルカーがいいな。
「おはようございます。お目覚めの時間です。
...殿下!?」
あっ。やた!フォルカーだ!!
「殿下!」
バン!!
勢いよく私のいた化粧部屋の扉が開かれて焦った様子のフォルカーが顔を出した。
「はぁ。こちらでしたか。」
もしかして...いつも寝ている私がベッドに居なかったから焦った?
ごめんね。起きちゃったんだ。
「おはようございます。殿下。
本日はお早いですね。いかが...」
「おはよう。フォルカー氷ちょうだい。」
私の顔を見て納得したらしくすぐに細かい氷をハンカチで包んで渡してくれた。
「かしこまりました。すぐに氷袋と温かいタオルをご用意いたします。
先にこちらで冷やしていてください。」
「分かった。」
うっ!!少し溶けてきた。
ハンカチだと水が染みるからビチョビチョになりそう。
...まぁ、後で着替えるから濡れてもいいか。
はぁ。...冷たくて気持ちいー。
支度をして朝食を食べに晩餐室に向かえば早かったらしくまだ揃っていなかった。
「めっずらしー。朝食前にリリアナが起きてる!!」
晩餐室に入った私に最初に気が付いたのはダグラスお兄様だった。
「おはようございます。ダグラスお兄様。」
「おはよう。今日は起きれて偉いなー。」
近づいてきて褒めながらさっき櫛を入れたばかりの髪をぐしゃぐしゃにしないで欲しいな。
「ダグラス。どうした?...リリアナ!?」
「おはようございます。レオナルドお兄様。」
「あぁ。おはよう。...頭凄いことになっているぞ。」
でしょうね。
髪が少し伸びてショートになったから余計にぐしゃぐしゃでしょうね。
「犯人はダグラスお兄様です。
フォルカー。櫛ある?貸して。」
後ろにいたフォルカーに手を出して櫛を貸してもらう。
残念ながらフォルカーは身だしなみ関係は戦力外なのでフォルカーの日は服も髪も出来るだけ自分でやっている。
だって髪を梳かされると痛いし、服を選んでもらうと黒一色の喪服になるんだもん。
「自分で直すの?直してあげよっか?」
「そうですね。やった人が直すべきですよね。」
面白そうに聞いてきたダグラスお兄様に櫛を押し付けてやりやすいように背をダグラスお兄様に向けた。
その様子を見ていたレオナルドお兄様が恐ろしい事をダグラスお兄様に質問した。
「ダグラス。お前、髪を整えるなんてやったことあるのか?」
...えっ?
...いや。王族だって髪梳かす位できるでしょ。
「何言っているのさ。レオ兄。...あるわけないじゃん!!」
...力強く笑顔で答えないでください。
やめよう。やっぱり自分で梳かそう。
「あの、やっぱ「さて、じゃあ始めるよ。」してください。」
いやー!!!やめてー!
結果。ダグラスお兄様は無駄に器用で凝り性だった。
お父様達が集まっても髪をいじることを続け出来上がった髪型はショートの黒い短い髪を器用に白いレースのリボンと一緒に編み込まれハーフアップになっていた。
...初めてでこれ!?嘘でしょ!?
鏡を見ながらその出来栄えに感心して思わず声を上げた。
「うわっ!上手!!ダグラスお兄様器用ー!!」
「おっ。満足してくれた?...うん。おかしい所はないね。
さて、朝食に行こう。お父様達を待たせてしまったからね。」
軽く背を押されいつもの席に行くように促された。
「はーい。ダグラスお兄様ありがとうございます。
今度またやってください。」
「あぁ。いいよ。今度はもっと可愛くしてあげるね。」
同じテーブルでも席が離れている為ダグラスお兄様とお話をする機会はそう多くはない事を残念に思いながらいつもの席に行けばお父様達は朝食を食べずに待っていてくださった。
「すみません。お待たせいたしました。」
「あぁ。終わったのか。...ほぉ。ダグラスは本当に器用だな。
いつにも増して可愛らしいな。」
「ありがとうございます。お父様。」
「ん?おー。可愛いなー。
鳥の巣のリリアナもそういう事すると女の子みたいだな。」
「私は元々、女の子ですよ。それに私を鳥の巣にするのはアポロ兄様です。」
お見送りの際に私の髪を乱してから出て行くのはアポロ兄様なのに!他人事みたいに言って!
「ダグラスに髪をやってもらえて良かったな。」
「はい。レオナルドお兄様。ダグラスお兄様はとても器用な方なのですね。」
「あぁ。ダグラスは昔から細かい作業が得意だからな。
うん。よく出来ている。可愛いぞ。
...ところでリリアナ。今度、第一離宮に遊びに来ないか?」
...第一離宮というと。
「私の離宮ですよ。他にはレオナルドとダグラスが住んでます。」
ダリオお父様が話を聞いていたらしく説明をしてくれた。
「お邪魔してもよろしいのでしょうか?」
「もちろん。今度の俺の休みの日が...2日後だからそれでどうだ?」
「2日後ですか。...大丈夫ですね。ツヴァイ。私は2日後、休みますので。」
「...ダリオ父上。私はリリアナを招待したのですよ。
なぜ父上が休みを取るのですか?」
「第一離宮の主の私がいないわけにはいかないでしょう?
せっかくですからダグラスも誘いますか。」
私は毎日、暇してるからいつでもいいけど...ダグラスお兄様もお仕事しているからそう簡単に休み取れないんじゃないの?
「はぁ。好きにしてください。
リリアナは2日後は空いているか?」
ため息を吐きながらいろいろと諦めたレオナルドお兄様がそこにはいた。
「私は大丈夫です。2日後を楽しみにしてますね。」
私としては遊びに行くのは全然かまわない。というか行くべきでしょう。
私はまだお父様達の事もお兄様達の事もよく知らないしね。
...それに仲良くしたいからね。




