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「最後尾の二人! さっさとこっちに来い、訓練を忘れたのかクソが!」



「わかってるって。……よっこいしょ」



 大荷物にぐらつきながら立ち上がって、彼女は残り少ない待機列に向かって歩いていく。



 僕もそれを追いかける。つま先立ちになって奥を覗き込むと、そこには想像もしないものがあった。



 穴だ。



 そこに彼らが落ちていくのだ。車ぐらいは通れそうな穴。縁には長々と未知の文字で何かが書き込まれている。魔法陣か何かか?



「なんなんです? なにが始まるんです?」



 怖かった。穴に簡単に身を投げられる神経がわからない、体は不思議にも震えないし、冷や汗もかかなかった。変に落ちついている自分が、自分じゃないように感じる。夢の中で、ありえない出来事がたくさん起こっているのに、瞬時にそういうことかと納得してしまうことってあるだろう? そんな感じだ。



「さあ、君の番だ。忘れるなよ、着地の時は体中の力を抜いて転がれ」



 いつの間にか僕らの前にいた彼らは消え、格納庫の中は静まりかえってしまった。あの化物達がいなくなってよかったが、今度は彼らに追いつくために落ちなくては、という焦燥感が湧いてきた。顔見知りもいないのに変な話だ。



 恐る恐る穴の底を覗こうと身をかがめる。穴の奥は暗くてよく見えなかったが、何度も何度も明るい光の線が走り、ときおり瞬く。流れ星かと思ったが、こんなに無節操にあちらこちらに行き交うものではないはずだ。



 そんなことを考えていると、ずしりと背中に重みを感じた。



「うわあ!?」



 叫ぶ間もなく、僕はそこに飛び込んでしまった。おそらく、ローラインが蹴りやがったのだ。


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