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不倫されたので異世界でリスタートします  作者: 小春日和
色々厳しいらしい
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2


 メアリとルナは、やはり凛の年齢に疑問を抱いていた。

 二人から見て、凛は見た目こそ十代半ばから後半そこらではないかと思っていたが、凛から勤めていたこと、結婚していたこと等聞いた時はとても驚いていた、らしい。

 だがそれと同時に、所作も話し方も落ち着いていてこれは見た目通りの年齢ではないと感じ、凛の年齢予想を二十代半ばまで改めた。


 そんなときにセシルから“ソルーナ学院に通わせることにした”という知らせを受け、二人はさらに混乱し、とうとうセシルに聞いてみたそうだ。



 「なんでも、こちらの世界とリン様のいらした世界では、一日の時間は同じでも一年の長さが違うとか。こちらの世界の方が一年は倍ほど長く、人の成長速度も倍ほどゆっくりしているそうです」

 「ってことは…ルナとメアリは…」

 「私は今二十歳です。リン様の世界の計算だと約四十才になります」

 「わ、私もルナとほぼ同じです…今年で十九歳なので…リン様の世界だと三十代後半…なんですね…」


 ルナは真顔で。メアリは明らかに落ち込んで年齢を告げてきた。

 凛の脳内は混乱していた。

 二人の年齢は、まあ、ある程度の予想の範疇というか見た目通りというかで納得できたが、四十才ってなんだ。三十代後半ってなんだ。

そんな見た目の三、四十代が居たら末恐ろしいわと言いたくなった。

 そもそも、この世界の一年の長さが違うなんて聞いていない。しかも、成長速度がゆっくりとはどういうことだ。

 日本の暦で言うと、日本とこちらの世界、同じ年の同じ日に生まれた子供が、片方は成人のお祝いをして片方はまだ十歳ほどの子供だということか、と問うと「そのようです」とまたも真顔で返ってきた。


 「え、えっと、じゃあ私はこの世界だと…」

 「リン様は十四から十五歳ということになりす。なので私たちよりもお若く、ソルーナ学院に通える年齢ですのでご安心ください」

 「いやいやいや!!ナイナイナイ!!」


 凛は両手と首ををブンブンと降り「ありえないから!」と叫んだ。


 「よく見て?!私、二十九なの!日本で生きてきた二十九年間があるの!この目の下のクマ!肌のくすみ!ハリの無さ!!どう頑張っても十四、五には見えないのっ!!」

 「そ、そんなことないですよぅ…!リン様はお若く見えますよ…?」

 「そういうのいいから!ありのままを言って?!むしろ気を遣われる方がツラい…!」

 

 凛がうう、と胸を押さえて二人の気遣いに精神的ダメージを受けていると、コンコンと扉がノックされた。


 メイド二人は即座に反応し、いつかの時と同じようにルナは扉へ、メアリは凛に付いた。

 それと同時にふわりと、花の香りがした。


 「…セシル君?」


 窓際に飾られた、あの日湖で渡された青い薔薇か目に入った。

 日本では幻と言われる青い薔薇は、数日経ってもキラキラと輝き、花弁はふわりと丸みを帯びて瑞々しく、枯れる気配もない。

 そしてこの薔薇は、普通の薔薇よりも香りはさっぱりとしていて、それでも上品で、セシルにぴったりで…


 (そう、今の香りは、この薔薇の…)


 扉に立つルナを見ると、彼女もコクンと頷いた。

 

 「魔力の気配が、我らが主の物ですので、お間違いないかと」

 「す、すごいです!リン様っ…魔力が感じられないのにお分かりになるなんて…“精霊の愛し子”ですねっ!」

 「あ、あはは…」


 相変わらず慣れない言葉に苦笑を漏らしつつ、「どうぞ」と伝えると静かに扉が開いた。



 「やあ。凛。…制服、とても似合っているよ」


 はたと見下ろすと、確かに試着した深緑色の制服のままであった。

着心地が良すぎて思わず着ていることを忘れる…とはこの事かと思ったが


 (いや、でもこれじゃあまるで…)


 「僕に見せるために着ていてくれたのかな?とっても可愛らしいよ。自信をもって。大丈夫、十代半ばにしか見えないから」

 「ちがうし!というか、聞いてたっ…?!」

 「うーん、教えてもらった、かな?精霊達がね、“凛か不安になってるから”って知らせに来てくれてね。…その辺りのことも含めて、昼食でも食べながら一緒に話そうかと思って」

 

 セシルが後ろを振り返るとワゴンを押したルークが部屋に入ってくるところだった。


 「サツマイモ君…」

 「………」


 ルークはちらりと凛を見た後、視線を床に固定し「…お似合いだと思います」と呟いた。


 セシルを見ると彼はニコニコしたままルークの方を見ている。


 「…言わせた?」

 「まさか。彼の本心だよ。…さあ、凛。着替えておいで。一緒に休憩にしよう」


 凛はなんとなく腑に落ちないまま別室に移動し支度を済ませ、部屋に戻るとテラス席に昼食の準備がされていた。


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