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第一話 こんにちは。魔王の息子です。元帥始めました。

 俺はこの生活に慣れ親しむだけでなく、かなり気に入っていた。前世は親の遺産で二回留年した大学生。エロゲーをしていたら飛行機の部品が落ちてきて家を貫通。俺はそれに潰された。


 んじゃあ今は何をしているかと言うと、大陸を半分有する王の長男をしている。待望の長男だったため、それは優しく優しく育てられた。父の民衆からの評価はまぁまぁなようで、結構好かれている。


 でも母が厳しくてな。こっちはかなり厳しく育てられた。肝っ玉母ちゃんだ。年齢の割りに恐ろしい美貌だが、母親なのに胸はペッタンコ。たぶん、各地から王都に連なる道より整備されている。でも、なんだかんだで優しいから俺は好きだ。


 俺はこんな生活を送り、いずれ国王になるのかとポケーっと考えていた。まぁ、そうなったら優秀な部下に任せて俺は遊び放題!……歴史に残る暴君じゃねーか……。でも仕方ない。前世でオタクだったし、こういう転生系の物結構みてたよ? でもさ、内政チートなんてできないからね? 産業改革? 経済改革? 軍制改革? 知らなすぎて草って感じ。だから静かな田舎で綺麗な奥さんとガーデニングを楽しみながら、子供に魔王を押し付けて楽隠居。それまでは仕事は程よくやらないで、部下に程よく押し付ける。それで成功すれば“人選力のあるリーダー”として、咎められることはないはず! そう思ってた。


 だから、王国で“勇者召喚”が確認されて、父に軍を任せるって言われた時は泣いちゃったよね。無理って二百回くらい言ったんだけど、俺のほうが無理って父に言われた。父マジ無能。内政がちょっとできたからって民衆は父を名君と褒め称えてるけど、こと軍事に関しては全くダメらしい。いや、俺だって無理だから、無理だから引っ張らないで!! 俺まだ部屋着だから!!


「えー。異例ではありますが、このたび魔王軍元帥に任命されました。ローグです。よろしくな」


 そうです。あらすじにあるとおり魔王の長男です。


 ちなみに、魔王は人間、だから俺も人間。なんで人間が魔王かって? 俺も良く分からない。なんか色々昔にあったらしくて。いや! 勉強ちゃんとしたから! でもさー、俺歴史嫌いなんだよね。この世界でも年表とか人命とかいっぱい出てきたけど、興味ないことは一切頭に入らない。あ、魔法はあるよ! 俺はあんまり使えないけどな! うん。どうやって俺の先祖は魔王になったんだろう。


 いや、こんなこと考えてる場合じゃない。長いテーブルの上座に座らされて、なんかの指揮官のオーク、何で居るのか分からない吸血鬼の綺麗な女の人、半漁人みたいなドラコ族のたぶん凄い将軍。皆俺の命令を待っている。さて、どうしたものかな。


「ローグ様、王国軍は既に国境を突破しています。未だ前線に勇者は出ていないようですが、苦戦すると帝国の介入も招きかねません。いかがしますか?」


 後ろからそっと喋りかけてきた男、青白い髪の毛を程よく伸ばし、赤く鋭い目を持つ超絶イケメン君。彼の名前はデフック。身長も百九十くらいあって足はモデルレベルで長い。腹立つ。……え? 俺? マジで普通の人。あんな綺麗な母親ペッタンコのお腹から出てきたのに、父親に似てマジで普通の人。身長は百七十くらいだと思う。平均から見ても小さいね。西洋人ってよりは日本人に近いかな? 髪も黒に近い茶色で瞳も黒い。


「うーん。将軍はどう思う?」

「はっ。前線を後退させつつ要塞に篭り、予備戦力で要塞に張り付く敵を叩くのがよろしいかと」


 ドラコの将軍はザ・武人って感じでいい人そう。あ、人じゃねーや。そんなのん気に考えてたら、オークのなんかの指揮官がキレ気味に立ち上がった。


「何を言うか! 将軍の六個師団をもってすれば弱い人間なんぞ一捻りよ! ワシの近衛このえ師団も前線に出し、一瞬で潰してくれるわ!!」


 めっちゃ唾飛んでるなぁ……。前に座ってるドラコの将軍の顔にめっちゃかかってる。てか、この人たちの名前知らないけどいいのかな? オークは近衛師団の指揮官だったんだ……。近衛師団って王とか守る奴? ダメダメ! 前線に出しちゃだめでしょ! そうだ! 給料分の仕事をしてもらうためにも腹黒超絶イケメンにアドバイスを貰おう!


「デフックはどう思う?」

「はい。恐らく、エルデンブルク王国軍の部隊は威力偵察いりょくていさつでしょう。ここ数十年間、人間と魔王軍は交戦がありませんでした。そのため、対応力から戦闘力など、色々な部分を測ろうとしています」

「それで?」

「であるならば、勇者が出てくる前に一計案じましょう」


 デフックの言葉に、御歴歴おれきれきも興味深そうにデフックを見ている。デフックもまた測られているのか。ざまぁみろ。


「まず一戦します。その後、すぐに撤退してください」

「撤退だと!? なぜだ! 当たれば勝てるであろう!!」


 オークの……、もう面倒だからオークでいいや。オークがデフックにブチギレてる。俺があの二メートルの巨体を持ってるオークにキレられたら失禁するな。


「えぇ。勝てると思います。ですが、今後のことを考えて敵に我々が弱いと思わせます。その後は要塞に撤退しますが、そこでローグ様直々に防衛の指揮を取っていただきます」


 ……何言ってんだこいつ? おい、オーク! お前はここでキレろよ!「大事な殿下オレが傷ついたらどうする!」みたいな感じで怒るとこだよ?


「ほう。ワシにも読めてきたぞ」

「流石は魔王軍最強の槍といわれているデルキン将軍です」


 あのオークはデルキンって言うらしいわ。どうでもいいわ。


「センリ将軍は既に気が付いているようですね」


 なんか悟ったように頷いているドラコの将軍はセンリって言うらしい。見た目は細いが脱いだら凄そう。どうでもいいわ。


「あぁ。流石はリュケの息子、面白いことを考える」

「ありがとうございます。では、詳しい作戦はセンリ将軍に任せてもよろしいでしょうか?」

「承った」


 なんか、俺の預かり知らぬところで作戦の遂行が採択されたんですけど。リュケって誰だ? どうでもいいわ。


「デフック、俺は全く理解してないんだけど?」

「ご安心を。ローグ様には傷一つ付けません。私の妹、ヒュラもつけます」


 誰だよ。てか妹? 安心できないんですけど。でも、あんまりうろたえると将軍とか近衛師団の指揮官とか、未だに一言も喋ってない美人なお姉さまに無能だからって反逆されそう。ここは一旦素直に引き下がるか……。嫌だなぁ、お外出るの嫌だなぁ。


「分かった。詳しい作戦はお前たちに任せる。だが、これは魔王軍にとっても久々の戦。分かってはいると思うが勇者が召喚された以上、人間側、少なくとも王国は攻勢を強めるだろう。今後も頼むよ」

「「「「はっ!!」」」」


 お、お姉さんも頭下げてくれた! ……うん。やっぱり胸ないな。魔王領は巨乳不足な模様。


こんな感じで、魔王側はゆる~く進んでいきます。時々シリアスもありますが、戦っているのでご容赦ください。二話は召喚組です。

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