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A1:状況を確認しましょう。

フィユノリアーネ0歳。後半シリアス。

朝の光が射し込む部屋。ピンクで統一され、一種の完結状態のように完璧に配置されている家具の数々。その端のベビーベッドに、私はいた。不規則に眠り続けること約1週間。今までのどんな時よりも意識がハッキリしていた私は、見ないふりをしていた問題に手をつけることにした。


何故私が、生きているのか。


転生とかテンプレすぎ!なんて言えればいい。しかし、私は知っている。転生なんてフィクションの世界のことだって。つまり、私にわかる原因なんて無いに等しい。理解し(わかっ)ているつもりだ。それでも私は、納得出来ない。私は死んだはずだ。なのに、今ここにいる。生きている。そして、ここは前世の私がいたあの世界じゃない。


産まれた時、周りにいた人たち。明らかに、人間じゃなかった。私はよりにもよって異世界に転生してしまったのだ……!何もわからない場所。言葉は通じるのだろうか。ご飯は食べられるのだろうか。文明レベルは?物語の主人公は、なんで喜べるんだろう。何も知らない世界で、生きていく方法を知らないのに。


悶々と考え続けていた私の耳に、ガタッという音が聞こえた。扉の音だ。起きていることがバレたらしい。おそらくあの黒い肌の女性だろう。いつも私のことを世話してくれている人だ。その名もThe無表情メイド!!…嘘です私が名前を知らないからそう呼んでるだけです。……はあ。あの人何考えてるかわかんないから怖いんだよね。


そう考えていた私は、次の瞬間驚いてしまう。


「フィーちゃん。母様のおっぱい飲みまちょうね〜。」


いつも見ていた黒い肌じゃない。あの時、私が産まれた時、1度だけ会ったあの人……彼女が目の前にいる。さらさらと光を受け輝く金髪。愛しそうに細められるサファイアの瞳。透き通るような白い肌には、片方だけえくぼが浮かんでいた。前世を合わせても見たことの無いくらいの美女。今の言葉から察するに、なんと私は彼女の娘らしい。


「あーう!むぅあ〜!!」


元気よくお返事(出来てない)する私は、そのまま差し出されたモノに吸い付く。客観的に見れば相当な羞恥プレイだと思う。しかし私には、何の抵抗感も無かった。生きていくために感情を制限されているのかな、なんて考えつつ、ごくごくと飲み続ける私。1分もたつと、私のお腹はいっぱいになった。が、赤ちゃんというものは中々に難儀な生き物らしく、産まれてからほとんど触れてこなかった人肌に執着のような何かを感じる。幼さゆえ感情に逆らえず、私はそのままえぐえぐと肌を啄みつつ、夢の世界へといざなわれていった。


▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬ஜ۩۞۩ஜ▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬


音のない世界から、一気に覚醒したような感じ。


「ほにゃあああああああああ!ふぎゃあああああああああああああああ!!」


うるさいなぁ。もうちょっと静かにしてくれても良いじゃない。耳元で流れる大音量の叫び声に、閉じていたまぶたが開く。周りには誰もいなかった。どうして。こんなにうるさいのに。そこまで考えて、ふと辺りが真っ暗なことに気づく。夜?あのまま寝ちゃったのか。あの時の人肌の温かさを思い浮かべる。柔らかくて、ふんわりいい匂いがして、……想像していたら、口寂しくなってしまった。手を口に突っ込んでみる。親指の感触が、昼間のあれに似ていて、少し安心した。あれ、もう音はしないな。もしかして。


夜。一人。手で口を塞ぐと音が聞こえなくなった。


「……ぁふ。」


寝ぼけていた頭もゆっくり原因を理解していく。夜泣きだ。夜泣きってこんな感じなんだなぁ…。でも、前世ではそんなに泣いてなかったはずなんだけどなぁ。泣けなかったし。お母さんにもよく言われてた。××は手のかからない子供をだったのよーって。にっこり笑うお母さんは、1番新しい記憶でも若々しい。というか、老けた顔を知らない。……あれ。お母さんは、私を25歳で産んだらしい。私は、22で死んだはず。ならお母さんは、私が死んだ時は47歳だ。……でも私、お母さんの35歳の誕生日から、祝った覚えなんて……。


ズキン


頭が痛む。思い出しちゃいけないよって。もうこれ以上かんがえちゃ駄目だって。


あ。


そうだよね。


前世の記憶、


なんて。


アイ昧だし。


わタし、


もう、


いいノ。


ぜんせの、


きおく、


とか、


いらない。

急展開すみません。必要な処理だと思ってください。次回から本格的に世界観等に入っていきたいですね。次回は2歳の予定です。

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