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彼女を追いかけて  作者: サワヤ
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 僕はそれから考え続けた。どうやってこの欲望を叶えようか。実際の問題として、このままでは殺人をすることになってしまう。それは日本において、重罪であり、裁かれてしまう。それは嫌だ。とはいえ。


 今を生きる黒崎結衣という人物そのものには興味がない。けれど、彼女のより深いところにこそ、その魂はあるはずだ。つまり僕が欲しいのは彼女の心筋や大脳皮質の神経細胞。殆どの細胞は、数日から数年単位で新しい細胞に入れ替わってしまう。そんな末端細胞よりも、ずっと変わらない細胞を僕は取り入れたい。当然だ。それらは必ず食べなければならない。だが、僕は殺人犯になってしまう。




 しばらく困っていた僕であったが、三ヶ月ほど前、僕は考えを改めた。逮捕されないに越したことはないが、もしこの欲望が叶えられるのならば、数十年の刑務所生活など苦ではない。二つに分かれてしまった魂が一つになれば、現世のことなどどうでもよくなるだろう。そもそも僕は未成年だ。少年法に守られているのだから、そこまでの刑罰を食らうわけがない。僕の名前だって公表されないし、大した問題ではないじゃないか。


 そして僕は計画実行のチャンスを伺う為、黒崎結衣と仲良くなろうと考えた。もちろん仲良くなりたいと思ったわけではない。計画の為に、仲良くなっておいた方が都合がいいと考えたからだ。





 そうして計画の為に彼女に話しかけようと考え始めてからまた三ヶ月が経ち、日本史の授業を受けている今に至る。


 結局一度も話しかけることができないままだった。話しかけようとすると、どうにも緊張してしまい、踏み止まってしまう。別にお近づきになりたいわけではない。ただ、必要なだけだ。

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