昔話奇譚集
プレイ時間の終わったゴルフ場のグリーンの上で、複数人の男女が輪になって座っている。ホールを中心にして座っていた。話をするときには、そのホールだけを見つめ、そしてそのホールに語りかけるようにするのが決まりだ。当然の如く、そのホールは特殊仕様で、そのホールにボールが一度入ったら、取り出すことはできない。そのホールはとても深く、もう少し掘ったなら、温泉か石油でも出てしまいそうなほどの深さだった。彼等は夏の晴れた日に定期的にこのゴルフ場に宿泊していた。そして、深夜に7番のグリーンに集まり、その穴に向かって語り、その深い穴を少しずつ埋めていくのだ。
桃太郎
2018/06/28 20:54
(改)