表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/10

▽ 人間なんて。

 

 下村、金城、隅田がいるビルの入り口の前に

 身なりがきっちりした女性が、金城達が乗っていた車とビルを見つめていた。


「…。先を越されましたか。」


 そう呟いた女性は去っていった。



「で、あんたらの目的って?計画って?」


 隅田は開き直ったのか、椅子に座り話を進め始めた。


「私達の最終目的は、この社会を変えること。そのためには隅田。貴方が欲しい。」

「ざっくりだし、よくそんな恥ずかしいセリフが言えるな。もっと具体的な説明はないの?

 てか、そこでずっと隠れてる人も入ってきなよ。俺最初から気づいてたし。」


 隅田は金城が待機してた場所に向かって声をかけたが、金城は隅田に姿を見せることや返事をすることはなかった。

 すると少し不敵な笑みを浮かべ


「ふーん。あくまでも俺はアンタの顔しか分からないわけか。ま、別にいいけど…

 俺、人間嫌いだから。」


 と、左手の中指を立て金城に向けて突き出した。

 下村は金城に外に出ていく合図を出し、金城は静かに外に出た。


「…具体的に言うと、この社会の秩序を殺すの。

 貴方もこんな社会が嫌で家から出ないのでしょう?私もね、こんな社会

 嫌いだからね。」

「まぁ、何でもいいけど協力してやるよ…暇だったし。」


 その言葉を聞いた下村は端末を手渡した。

 受け取ると急いでパソコンに差し込み、読み込みを開始させる。



「あ、そうだった。俺が協力する代わりに条件がある。」

「…条件?」

「俺を本名で呼ばないこと、外に出るような協力はしない。

 この二つが飲めるのであれば、俺の能力の詳細を教えるし、協力もする。」

「…。いいよ。その条件で。」


 端末の読み込みが終わると嬉しそうにしてタイピングを始めた。


「俺の能力は”Connecting(コネクティング)”。任意の場所へ繋がることができる。

 例えば、ロックされたサイトにパスワードなしで入れたり、

 鍵のかかった部屋に鍵なしで入れたりできる能力だ。」


 下村は隅田の能力を聞くと納得したかのように手を合わせる。


「…。あ~だから条件に外に出ない事を含めたのね…」

「文句ある?」


 タイピングをしている手を止めて隅田は下村を睨む。

 下村は顔色一つ変えることなく落ちていた紙に何かを書き始めた。


「…そうね…まぁいいよ。連絡手段はこの携帯に電話して…名前は…」

「あ、俺アンタらみたいな神から名前とるとか却下だから。

 あと、()()になったんじゃなくて、()()するだけだからな。」


 下村から紙を受け取るとポケットに入れ、タイピングを再開する。


「そう…じゃあ、鼠でいい?」

「…好きにすれば…。」


 下村は隅田に了承を得ると何も言わずに部屋を出て、金城が待つ車に戻る。


「いいの?あんな条件をのんで…。鼠の能力があれば、パンドラの箱も開けれるんじゃ…」

「まぁね…。でも、彼はまだ仲間にはなってないもの…それは追々にしようかと」

「でも、かなり手強そうよ?人間嫌いは…」

「…私には彼が人間嫌いに見えなかった…。人間が嫌いなら、

 パソコンで時事の記事を集めてると思う?」

「…相変わらずね…いいわ。戻りましょう、怪しまれる前に」


 金城はサングラスを外し、警視庁に向かって車を出した。


 下村が去って行ったあと隅田は手を止め、下村から貰った紙を見つめて


「…人間なんて…。」


 そう言った隅田の顔は、悲しそうに見えた。

口に出したら灰色になる言葉があるのって知ってますか?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ