▽ 追跡
初めまして。
この世界に能力が生まれたのは突然の事だった。
突然だった筈なのに
それがいつの日か当たり前になり、
能力を使って生活することも、当たり前になっていった。
それと同時に能力者による犯罪も増えた。
そんな能力者達に対抗する組織
警視庁特別対策部 (通称: 特対)が結成され
生活安全課、刑事課、組織犯罪対策課、管理課、事務課と5つの課分散されそれぞれ能力者絡みの事件を担当している。
私、下村詩暮はその中の組織犯罪対策課(通称:組織犯)に所属し日々職務を真っ当している。
「……輩!?先輩!?下村先輩!!聞いてますか??」
気づくと目の前に怒った顔をしてる後輩がいた。
彼女は勘槻あかね。
私の可愛い後輩でパートナーだ。
そういえば今朝会議を代わりに出てもらっててその報告を受けてた最中だった。
「……あ……聞いてる聞いてる~」
「聞いてないですよね?」
彼女は呆れて物も言えないと言わんばかりの顔をしていた。
「だって勘槻ちゃんの話つまらないんだもん」
「もう!先輩が会議出ないって言うから代わりに出てその報告してるんじゃないですか!!」
「あれー?そうだっけ?ww ぃっ!?」
後輩をからかって少しとぼけてると
突然頭に激痛が走った。
「あれー?そうだっけ?wじゃないぞ下村ー」
「もー痛いなー課長~」
この人はサム・バーキンス。
私と勘槻が所属する
組織犯罪対策課の課長を務めている
課長は無能力者だが実力はすごい。
元々持っていた知恵と力で
特対 組織犯罪対策課の課長まで昇りあがった人だ。
「上司には敬語を使え敬語を。……ったく。いつも勘槻に迷惑かけて……
すまんな勘槻。こんな奴がペアで」
課長は勘槻の頭に手を軽くおき
申し訳なさそうな顔をしていた。
課長は私が新人の頃からの上司で
一時期ペアを組んで行動してた事もあった。
「いいえ。慣れましたし…
下村先輩は1人だと危ないですから。
それと極稀に頼りになりますしw」
「お!あかねちゃーん可愛いこと言うね~!先輩が今日はランチをご馳走しよう!」
「じゃあ、新しくOPENした駅前の喫茶店行きましょう!!」
今のペアは課長ではなく後輩の勘槻ちゃん。
勘槻ちゃんは、能力者で能力的にいったらサポートに回ることが多いが
知識や戦闘に関しては能力なくても問題なく強く、下手したら私より強いかもしれない。
「おいおい、組織犯がそんな呑気に飯食ってられねーぞ?お前達2人に向かってほしい事案が来てるからな。」
「事件!?行く!行きます!下村全力で行きます!」
「内容はついたらメールするから先に現場まで向かってくれ。」
「「了解!」」
勘槻ちゃんと私は車で現場に向う。
現場につくと見ていたのかのように課長からすぐメールが来た。
メールの内容は能力者の人探しだった。
「で、なんで組織犯が人探しなの~?こういうのは生活安全課の仕事でしょ~?」
「安全課は人手不足らしいですよ?」
最近殺人とまではいかない事件が多発していて、安全課だけでは手が回らなくなっているらしい
「え~私はこう、ドドーンと大きい事件担当したかった……」
「下村先輩は能力使いすぎるとヤバいからダメです。」
「私ちゃんとすれば制御出来るし……!」
勘槻は私の横で小さくため息をついた。
歳下だが正論を言われてしまい、私は強く言えないでいる。
「いつもそう言ってますけど、私が止めてますよ。
先輩の『祝福のメシア』は9種の力を授かる代わりに自我を蝕むんですから……」
「う…」
私の能力、『祝福のメシア』は
波・火・陽・闇・地・雷・風・氷・熱の9つの祝福を受けられる。
しかし、使いすぎると9つの人格に呑まれ祝福が自身に牙を剥く能力だ
勘槻が心配し怒るのも無理はない。
そんな話をしていると路地裏が多い道に入っていた。
「……先輩!!あれ!」
「え!?いた!!よしっ」
「先輩、待ってください!!誰か来ます!」
暗い路地裏のとあるBARの前に対象者がいた。
通常なら職務質問と言って近づくのだが
対象者に近づく人影があった。
「あれは……ノイズの鹿間……!」
「なんで鹿間が……!?」
ノイズ……異能力犯罪組織『ノイズ』
異能力者が基盤となり世間に危険をもたらす組織である。
その組織の1人で、私達組織犯が危険人物として
一目置いている男……鹿間龍人
調べによると
鹿間の能力はサポート専門の能力らしいが
まだはっきりと分かっておらず、警戒すべき相手である。
さらに言うと。人身売買をしているとの噂も入ってきていて、その仲介人が鹿間との報告もある。
「勘槻ちゃん、課長に連絡。私は追うよ…!」
「あ、ちょ!?先輩!1人は!!っ……もう!」
私は鹿間の後を追いかける。
気づかれないように、見失わない距離を保つ。
いざとなれば能力を使ってでも……
そんなことを考えてると鹿間と対象者の目の前に黒のスーツを身にまとった男達があらわれた。
「先輩……あれって!」
「うん……麻薬の買取人……課長に連絡は?」
「しました。ただ、電話が繋がらないのでメールを……」
「……時間がないか……勘槻ちゃん、合図したら能力使って。売人の手から買取人に渡ったら確保するよ。」
私達が動くには麻薬売買をしている瞬間を見ない限り動けない。
売買した瞬間に勘槻の能力を使って確保するのが一番効率がいい。
「でも、先輩!私たちだけじゃあの数は……」
「大丈夫。無理しない程度で能力使うから!ぐずぐずしてたら捕まえられる者の捕まえられないよ!!」
勘槻は心配そうな顔をして、渋々頷いた。
草[ソウ]です。
とたくんの世界観好きです。
最後まで書き上げたい……!!
感想よろしくお願いします( ᐛ )?