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妖狐の異世界転生旅  作者: ポポ
第1章 死そして転生
9/50

旅立ち

憲兵二人組に連れてこられたのは周りの家よりかは一回り大きい家だった。


はぁ、予想通りというべきかね……


俺はそんな呆れの溜息を心の中だけで吐き、憲兵二人組に顔を向ける。


「ねぇ、大通りじゃないよ?」


子供モードの喋り方で顔を覗き込むと二人とも下卑た笑みを浮かべながら、片方が俺の問いに答える。憲兵がこんなのでいいのかと思ってしまう。


「ああ、ここは大通りじゃない。けどね、別の世界に行けるから楽しみにしてていいよ」


「別の世界って死後の世界って意味?」


俺がそんなことを問うと二人とも顔つきが変わる。

先程のような下卑た笑みを浮かべず俺を警戒するように睨みつける。


さすが兵士だけはある。こんな子供でも、油断はしないな。

しかし、俺の前ではいくら警戒したって意味をなさない。


「お前、何者だ?」


「ただの一般人だよ。それより、勇者の息子って言った方がいいかな?」


「っ!」


俺が言葉を発すると同時に憲兵二人組は腰に帯剣していた剣を引き抜き正眼の構えで俺に切り裂きを向ける。


これ、正当防衛になるかな?


そんなことを考えていると二人は俺を挟み撃ちにするような場所に陣取ってから一気に二人で襲いかかって来る。


バタフライナイフの柄で真正面から付突きを放ってくる憲兵の剣の腹を軽く押し、剣筋をずらしてもう一方からくる憲兵の腹に吸い込まれる。

腹を貫かれた憲兵は剣を大振りに振りかぶった状態で止まってしまったので、バタフライナイフの刃を展開。そして、仲間の腹部を刺した憲兵の頸を一突きする。


大動脈を切ってしまったのか、刺した場所から血飛沫が舞う。しかし、フィルが展開した魔力障壁によって血飛沫の雨が降ることはなかった。


「フィル、やるなぁ」


「シャイトの方がすごいよ。二人も殺したんだもん」


「一人ね。そこ間違え内容に」


「はーい」


人が目の前で死んだってのに狼狽えないんだな。その事をフィルに問うと「悪人だから仕方ないよ」と返って来た。この返事を聞いた俺は聞いてみたいことができた。


「フィル、唐突だけど。クッキーの入った袋が2袋あります、しかし、その場には3人います。あなたはどうする?」


「1人殺す」


おお〜、サイコパス思考だな……


そんな事を死体の目の前で話していたので、時間を取られてしまい、普通の家より一回り大きい家から数人のイカツイ男どもが出て来た。


「フィル、さっさと逃げよう。めんどくさくなる」


死体の処理はイカツイ男どもに任せて、俺はフィルの手を引きながら小走りでその場を離れる。





「迷った……」


「ええ〜!?」


憲兵2人組が死んでから何時間たっただろうか……空は黄昏色に染まり、もともと日差しの良くない路地は既に真っ暗といっても過言ではない。

そして、そんな路地で迷ってしまったのだ……誰かに道を聞けばいいのだがあれから誰ともあっていないし、見かけてもいない。家のドアを叩こうにも人の気配がないし……まるでゴーストタウンだ。

そんな時に進行方向から騒がしい音が聞こえてくる。

「止まれー!」だの、「ママ、パパ助けて!」だの、「うっせー!黙ってろ!」だの、色々な人の声がして来たのでやっと道を聞けると思いながら待っていると、見た目からして臭そうな風貌の男が小脇に女の子を抱えて走って、その後ろから憲兵数人が追いかけていた。いや、来た。

人攫いか?

まあ、先程聞こえて来た会話でなんとなくわかっていたが、こんなに堂々とやるとは……度胸ある。

そんな事を心の中で呟きながら走ってくる臭そうな男を捕まえるのに協力しよう!

元殺し屋が言えたことではないが…


俺と逃げている男がすれ違う瞬間に脚を引っ掛けて転倒させると男が怒鳴り散らす。


「誰だ!俺の脚を引っ掛けな奴は!」


そんな怒鳴り散らしている間にも憲兵が追ってくるのを見ると慌てて立ち上がろうとするが、フィルの束縛の魔法が男を取り押さえる。


「おい!!この魔法を解きやがれ!さっさととかねぇと痛い目合わすぞ!?」


「もうじき牢獄に行く人が何言ってるんだが……馬鹿なの?」


その後も怒鳴り散らす男をのらりくらり躱すフィルをみながら特に何もする事なく憲兵の到着を待つ。

待つと言ってもすぐそこまで来ているので数秒で男を縄で縛り、俺とフィルに礼を言ってくる。


「ご協力感謝いたします」


そう言って憲兵数人組は去っていった。


あ!道聞くの忘れた!!


そんな事を今思い出し、憲兵の後を追って道を教えてもらうように頼むと1人憲兵を貸してくれた。

王城までの道案内をしてもらい憲兵と別れた後王城に入ると第一訓練所の明かりが灯っているのに気づき、昼にアレイドさんと待ち合わせをしていたのを思い出した。


俺とフィルの顔は真っ青になっていただろう……


第一訓練所に急行し、その中央で待っていたアレイドさんに2人でスライディング土下座を実行する。


「「すいませんでした!!!」」


「言い訳してみろ」


アレイドさんの声音はいつもと同じで変わらず、怒ってないのかと顔を見たが、能面のような無表情であった。


あ、絶対に怒ってる。


「教会に行ったら異端審問官に追いかけられてから路地に入って撒いたら道がわかんなくなって、適当に歩いても誰とも会わなかったからこんな時間になりました」


「フィルはなんかあるか?」


「シャイトと一緒です」


「はぁ……異端審問官に追いかけられたんじゃしゃあねぇな。っていうか異端審問官を撒けたってのもすごいが……それより、今からでもやるか?」


「「はい!!」」


元気よく返事をしてから準備を整えるために王城であてがわれた客室に向かう。

クローゼットの中にしまってあるこの世界の戦闘用ブーツに履き替えて終了だ。

今からやるのは決闘といっても木剣でやるので愛剣などは使わない。


再び訓練所に戻ってくると子供用の木で出来た武器を選べと言われた。


種類は、木剣・木槍・木盾・木短剣の4種類だった。

アレイドさんはもちろん木剣1本で、俺が選んだのは木短剣2本と木剣1本。フィルが選んだのは木短剣1本だった。


「どっちからやる?」


「じゃあ、私から」


フィルが手を上げながらアレイドさんの前に出る。

アレイドさんは子供だからといって油断することはなく、鋭い眼光でフィルを射抜かんとする。


審判は他の騎士が担当することになり、騎士が口上を述べてから模擬戦が始まる。


最初に動いたのはフィルだった。

魔法で身体強化を施し、バイク並みの速さでその小柄な身体を生かして素早くアレイドさんに肉薄すると、自分の得物を一閃、二閃、三閃とアレイドさんの身体を斬らんとするが、全てアレイドさんの木剣に防がれる。

そのまま幾度かの打ち合いが続き、フィルの力量を計っていたアレイドさんが「このくらいでいいだろう」と呟いてから、攻勢に出る。

アレイドさんが攻勢に出るとすぐにフィルは押し切られ、アレイドさんの勝利で終わった。


「フィル、俺がお前の師になってやる」


そう一言だけ言って俺を呼んだ。

フィルはそのことがとても嬉しかったのか、「ありがとうございます!!」と言って勢いよく頭を下げてから俺と立ち位置を入れ替える。


アレイドさんの前に来た俺は一応確認しておく。


「模擬“戦闘”なのでどんな手を使ってでも勝てばいいんですよね?」


「ああ、そうだ。勝てればいいがな」


「舐めないでください。僕は強いですよ」


それだけ言葉を交わすと、先程と同じ口上が述べられる。


「ーー始め!!」


俺は開始の合図が降りると同時に身体強化、足の裏に爆裂、の魔法を自分にかけてから、ネックレス状にしてあるワンドにも魔力を流す。

魔力を流すと見ている世界、聞いている世界が全てが遅くなったように感じた。


よし、うまく発動してるな。


先制攻撃を仕掛けて来たのはアレイドさんだった。

俺は何もかも遅くなっている世界を見ている事を先程確認したにもかかわらず、ちゃんとワンドが作動しているのか疑ってしまった。

アレイドさんの剣筋や足運び、身のこなし、全てがフィルと戦っていた時よりも早いのだ。


俺はアレイドさんの剣撃を避けながらもう一度ワンドの作動状況を確認するが、なんの異常も見当たらないし、正常に動いている。

と、いうことは、先程のアレイドさんは本気では無く、手加減していたということだ。

そして、これが本気なのだろう。


このままでは速度に追いつけずに負けてしまう。

しかし、それは避けるだけならばだ。

俺は片手で持っていた剣を両手に持ち替えて、剣の応酬が始まる。

威力や速さなどは全てがアレイドさんが上をいっているが、小手先の技や受け流しの仕方などの技術方面では俺が勝っている。

しかし、そうなると膠着状態が生まれる。


アレイドさんは攻撃しても俺に受け流され、カウンターを受ける。

俺はカウンターを放つがアレイドさんの圧倒的反応速度で防がれる。


そんな膠着状態を打破するために俺は木剣を片手に持ち替えて、足につけていた木短剣を空いてる手で引き抜く。


アレイドさんは最初、木短剣二本と木剣一本を警戒していたが、俺が木剣と木短剣の二本同時に構えたことによって意識から外れた物が1つある。


俺はアレイドさんの意識が今持っている武器に注がれているのを確認した後、攻撃が止んだ合間を縫って両方とも手放す。


アレイドさんの意識はその“二本”だけに注がれていた。


俺はアレイドさんの意識が下に落ちていくのを確認する間も無く、もう“一本”の木短剣を引き抜き、アレイドさんの首筋にあてがう。


カランカランッ


二本の木で出来た剣が訓練所の石畳の上に落ち、心地よい乾いた音を響かせる。


「僕の勝ちですね」


「ああ、負けたよ」


そんなやりとりを交わした後、互いに矛を収めて審判の判定を待つ。


「ただいまの勝負、シャイト・アーカイドの勝ち!これより七剣人第3位階移譲の儀を始める!両者とも前へ!」


前者は良いのだが、後者はなんだ?七剣人第3位階移譲の儀?何それ?


俺が困惑顔を浮かべているのを悟ったアレイドさんが説明してくれた。


「これは俺なりのサプライズだ。俺より強い奴が七剣人にならないでどうする」


「あ、あざっす」


そう答えることしかできなかった。

儀式は問題なく終わり、俺は七剣人になってしまった。

七剣人とは剣での戦いで最も強い上位7名のことだ。

地球でいうと、俺は剣術世界ランク3位ってとこだ。

また、剣があるのだから魔法もある。


「そういえば、よく異端審問官を撒けたよな。どうやったんだ?」


「ただ単に路地を逃げ回ってただけですよ。それ以外何もしてませんよ」


「ま、それはいいとして。これからどうする?俺の元で俺より強い奴が修行するのもどうかと思うしな……あ、知り合い紹介しようか?」


まあ、紹介してくれるってんなら遠慮なく


「紹介してくれるなら是非」


「よっしゃ!じゃあ明日地図渡すぜ」


お礼を言ってからフィルと一緒にへやに戻る。部屋に戻るとすぐにフィルが訪ねてきた。


「シャイト、そのさっき言ってたアレイドさんの知り合いのとこに行っちゃうの?」


「まだ、わからないかな……すぐ帰ってくるかもしれないし、帰って来ないかもしれない。だけど、絶対に今世の別れにはしないよ」


「……うん」


フィルは俯きながら小さな声で返答した。


翌日、朝食を食べ終えた俺達2人はアレイドさんの執務室に来ていた。


コンコン


「失礼します」


中に入るといつものように事務仕事をしているアレイドさんとソファでくつろいでいるミルファさんが目に飛び込んで来た。


「あら、シャイト君とフィルちゃんじゃない。どうしーー」


「お、来たか。ちょっと待ってろ」


アレイドさんがミルファさんの言葉を遮り、口を開いた。


「はぁ……相変わらずね」


そんなことを呟きながら俺達に目を合わせてから再度問うてきた。


「何しにきたの?」


「私はアレイドさんに師事を受けにきて、シャイトは知り合いの家を教えてもらうために来ました」


その説明で全て理解したのか、ウンウンと頷き、


「どういうこと?」


あ、わからなかったのね……


俺が説明しようとすると地図を書き終わったのか、アレイドさんが1枚の紙を手渡して来た。

地図を見てみるも、ここら辺の地形じゃないことに気づいた俺はアレイドさんに視線を上げると、


「あ、そこ魔大陸な」


「………………は?」


「言い忘れてたんだが、その知り合いの家は魔大陸にあるんだよ」


「え、ええ!?」


ちょっと頭の整理をしようか。

知り合いはアレイドさんより強く、魔大陸に住んでいる。


あれ?意外に少なかった……


「わかりました。じゃあ、転移お願いします」


「てんい……?なんだそれは」


「!? じゃあ、徒歩で行けってんですか!?何年かかると思って……」


「別に徒歩ってわけじゃないけどな。大体1年くらいか?」


ま、マジですか……転移という概念がないとは……想定外。

旅の準備で丸一日使うとして、早くても出発は明後日。


どうするかね。


そんな思考の海に潜っていると背後から抱きつかれた。


「やっぱり、シャイトと離れるのは嫌だ。最後の家族。離したくない」


涙声になりながら言って来た。


破壊力強すぎです……


そんな光景を見ていたミルファさんがやっと全て理解したように手を叩くと1つの案を出して来た。


「じゃあ、2人で行って仕舞えばいいのでは?」


仕舞えばいいとは……なんか追い出された感じみたいになってるけど、決してそういう意味で言ったわけじゃないんだろうなぁ……

そう思っていると、今度はアレイドさんが口を開き、


「その考え方があったか……よし!俺から手紙出しとくから2人で行って来い!」


急展開すぎる……この20分の間に、1人で行くはずだったのが2人になって、しかもそれが魔大陸。それに加え明後日出発ときた。


俺が混乱している間にも話は進み、アレイドさんが部下に指示を出して旅支度を始めさせ、ミルファさんはプレゼントを作ると言って自分の研究室に走っていった。


こうなったら行くしかないか……


諦めた俺はフィルと2人で王都をぶらつき、2日後の朝になった。


俺とフィルの2人は王城が貸し出してくれた竜車にのり、見送りに来てくれた人達と挨拶を交わす。

レイモンドさん夫妻にアレイドさん、ミルファさん。そして、王城で仲良くなったメイドや執事。いろんな人とのお別れを済ました。俺達が合図を出すと御者が下級竜に指示を出し、竜車が走り出す。

竜車は普通の馬車に比べて、比べ物にならないくらいな速さを誇り、尚且つ竜ということもあり、魔物にも襲われにくい優れものだ。


王都はすぐに見えなくなり、竜車の中にいるフィルと護衛でついて来た騎士達と話をしたり、手遊びのゲームをしたりして時間を潰していった。


そして、森に挟まれた街道に差し掛かった時に、前方から騎乗兵と思われる数人が迫って来た。


御者がそれを目視で確認すると、竜車を止める。


騎士の1人が「何事だ?」と問いかけ、返答を聞くと訝しげな視線を今もなお迫ってくる騎乗兵に向ける


「そこの竜車!どこから来た!」


その問いに御者が応える


「王都です」


その返答を聞くと騎乗兵の数人が下卑た笑みを浮かべて、リーダーらしき人物が口を開ける。


「ここは今検問中でねぇ。荷物と有り金全部置いてってもらえねぇか」


あ、盗賊ですね。はい。


護衛の騎士達もそれに気づいたのか、自分の得物を手に取り、竜車を降りる。


「立ち去って貰おうか社会のゴミ共。さもなければ痛い目にあうぞ?」


「はっ!んなの知ったことかぁ!オメェらかかれ!」


リーダー格らしき人物がそう叫ぶと周りにいた騎乗兵に変装した盗賊達は一斉に護衛騎士達に襲いかかる。

しかし、護衛騎士達はそれがどうしたと言わんばかりの威圧を放ちながら、盗賊達を次々と殺していく。


「めっちゃ強ぇ……」


「同感」


俺とフィルがその戦闘を見ていると御者から声がかかった。


「うるさいですが、少々お待ちください」


やがて剣戟の音が止み外に目を向けると盗賊達の亡骸が地面に転がり、血で汚れた身体を魔法で洗っている騎士達が目に入って来た。


血を流し終えた騎士達を竜車に乗せ、先程の戦闘の間に作ったトランプでゲームをしながら目的の街に向かう。

竜車の中は魔法的な仕掛けが施されているのか、全くといっていいほど揺れない。だから、カードゲームも出来るのだ。


そして、夕日が沈み始めた頃には野営の準備をする。


焚き木を集め、火を付ける。

その火を囲むようにして、4つのテントと竜車が並ぶ。テント1つにつき2人。もちろん俺とフィルは同じテントだ。

夕食の準備は料理が出来る女の護衛2人とフィルが担当することになり、食材探しは男共(御者を除く)の担当となった。


俺を合わせた4人の人員で近くの森に入り、和気藹々と会話をしながら獲物を探す。ちなみに、探知の魔法は使用していない。その方が楽しいからね。


「獲物見つかんねぇかなぁ……獲物見つかんねぇかなぁ……」


「お前、さっきからそれしかいってなくね?」


「確かに……それ聞いてると苛立って来るからやめてくんね?」


「だって、ここで見つかんなかったら今日の夕食なしだぜ?それだけは避けたい」


「こうやってみんなで探すのも楽しいんですが、索敵系の魔法使います?」


ここにいる全員に問うと、みんな一斉に俺に向き直り、


「「「出来るのか?」」」


「YES」


英語で答えてしまったが、縦に首を振りながら答えたので、肯定の意味と理解し、早速使うようにお願いして来た。


素直に頷き、周囲の魔力を俺を中心に輪っか状に待機させ、一定量が集まったら一気に解き放つ。


ソナーのように魔力が広がり、そこにいる生物の詳細を教えてくれる。

詳細と言っても、魔力を操る波長の違いを見分けてそれがなんなのかを見分けるだけなのだが……従来のよりかは、使い勝手がいいだろう。


そして、俺のソナーに異様な存在が引っかかった。


「魔族がいます……多分、この波長だと魔王派ですね」


その言葉を聞いた護衛達は俺に何故魔王派だとわかったのか?と訪ねて来た。別に隠す必要もないので、一度襲われたことがあるからわかるのだと応えると、納得したようにそれぞれ自分の得物を引き抜いた。あ、納得するんだ……。


「魔族の数は?」


「おそらく、8体かと……そのうち1体は異様な雰囲気を纏っていますね」


「一個小隊と同じようなものか……チッ、面倒くせぇ」


「……退くか?」


それは俺に問いかけられた言葉なのだろう。何故、俺に聞くのかと問いかけたくなったが、踏み止まり、結論を出す。


「1人2体殺ればいいだけですよ」


その言葉を聞いた他の3人は、一様に口角をチェシャ猫のように吊り上げ、獰猛に笑った。


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