6話です
今回はちょいと短いかもしれないです。
2話投稿ですのでよろしくお願いします。
一個前は三十分前に投稿しました。
「地獄よりも辛い拷問を味合わせてやる」
そんな、自分でも震え上がる程の声を出した後、俺は父さんから教わった索敵の魔法を使い安全を確認する。
俺の索敵に引っかかったのは目の前で転がっている魔族と俺とフィル。そして、遠目から伺い見る視線を送っている魔物達だけだった。
魔物達は先程の戦闘で力量差を正確に見抜き、攻撃を仕掛けないのだろう。
俺は周囲の安全を確認した後、脳をフル活用して、イメージする。
イメージするのは地獄。
紅蓮に染まる地獄を想像して、周囲から大量に集めた魔力にイメージを載せる。
どうやって発動するのかはお任せだ。
すると、熱くもないのに陽炎が登り、大人がすっぽり入ってしまうくらいの大きさまで大きくなると、鉄の処女。アイアンメイデンが姿を現わす。
姿を現したアイアンメイデンの扉が一人でに開き、抵抗する力も残っていないのか、何もせずに魔族は吸い込まれていく。
「簡単に終わらない。終わらせない」
最後にそう告げてから……
バタンッ
魔族を中に入れたアイアンメイデンは勢いよく扉を閉める。そのまま薄くなっていき、消え去る。
アイアンメイデンが消え去ると同時に、俺のドス黒い感情も消え去った。
また、発動をお任せしたとはいえ、アイアンメイデンになるとは予想もしていなかった。っていうか出来ないだろう……
俺はまだ泣いているフィルに寄り添い、背中を撫でる。
フィルが落ち着いて来たところで話しかける。
「埋めてあげよう」
「………うん」
本当はちゃんとしたところの方がいいのだろうが、子供では遠くの街に死体を連れていくのも無理だし、大人に頼もうにも、ここを通る大人は少ない。
近くの町にたどり着いたとしても、子供では相手にしてもらえないだろう。
ましてや、大人でも魔族に殺されたなんて信じてもらえないだろう。
倉庫から畑仕事用のソコップなどを取り出して、2人で掘り始める。
掘り終えたのは、空が白みがかってからだった。
父さんと母さんの遺体を同じ穴に入れて、土を被せる。
祈りを捧げてから、この家を出る準備をする。
さすがに10歳の子供2人では食っていけないし、ここにある食材は全て合わせて子供2人で2週間あるか無いかだ。
ここから王都まで馬で約5日だ。
食料の問題はない。途中の宿代は家に置いてあった金を使えば大丈夫だろう。
また、なぜ王都かというと、王都には
アレイドさんもミルファさんもレイモンドさんもいるので事情を話せばなんとかしてくれるだろう。
着替え、飲食料、金、武器の必要最低限を持ち家から出る。
家の馬を繋げてある厩舎とも呼べない小さな小屋にいる父さんの馬を小屋から出して、荷物を縛り付ける。
誰か来た時の為に家の中に元勇者パーティーの者だけがわかるような言葉で置き手紙を残して家から出る。
俺が前に乗り、フィルが俺にしがみつくように後ろに乗る。
まず最初に向かったのは家から一番近い町ではなく、そのさらに向こう側にある街を目指す。
太陽が沈んだ黄昏時、やっと最初の目的地が見えて来た。
外壁に覆われた平均的な大きさの街。
俺もフィルも10年間一度もここまで来たことがなかったので、少なからず興奮している。
街を守る外壁に取り付けられている門を監視している門番に話しかけ、入れてもらう。
やはり入街税というものがあるらしく、2人で銀貨1枚取られた。
しょうがないだろう。
街に入った俺達はまず最初に宿を探す。
しかし、この世界に来てから宿などという場所に行ったこともなかったし、見たこともなかったので、どれが宿なのかすらわからない。
(さっきの門番の人に聞けば良かったなぁ……)
そんなこんなで適当に馬でぶらつきながら宿を探していると、如何にもって感じの建物を発見した。
看板には『木陰』と書いており、開かれたドアから中をのぞいてみると、食堂のようだった。
しかし、敷地内には厩舎と思わしきものが…二階や三階も見た限りじゃ、宿にしか見えない。
外見だけじゃ判断しにくかったので、中にいる店員と思わしき人物に話しかける。
「すみません。ここって宿という認識で大丈夫ですか?」
「はい、大丈夫ですよ。宿泊のお客様ですか?」
「はい。馬もいるんですが大丈夫でしょうか」
「大丈夫ですよ。それでは此方へ」
そう言って奥のカウンターと思われる場所に誘導される。
「宿泊は何名様ですか?」
「2人です」
「2人部屋、もしくは1人部屋を2部屋用意いたしますがどういたしますか?」
「じゃあ、2部屋で」
「何泊のお泊まりですか?」
「一泊で」
「2人部屋を1部屋で一泊。でよろしいでしょうか」
「はい」
「代金は銅貨6枚でございます」
そんな淡々とした受け答えをしていき、代金の銅貨6枚を支払う。
「では、この宿の説明をさせていただきます。
基本的に朝食と夕食は御用意させていただいております。
シャワールームは二階に上がっていただき、突き当たり右にございます。男女別になっておりますのでお気をつけください。
お部屋の方は三階の一番奥の309号室でございます。
以上ですが、何かご不明な点がございましたらお気軽にお声掛けください。なお、今からお部屋の清掃をさせていただきますので少々お待ちください」
そう早口に言うと脱兎のごとく清掃に向かってしまった。
そんなに緊張したのかな?
ここに突っ立っていても仕方ないので清掃が終わるまでに荷物を降ろす。
馬は雑用係のボーイが厩舎に連れて行ってくれたので特にすることもなくカウンターの前で荷物を持ち、待つ。
待つこと数分。降りてきた先程の店員さんに連れられて、部屋に入る。
部屋は簡素でダブルベットが1つ、大きな机が1つ、木の椅子が2つだ。
しかし、これで銅貨6枚って安くないか?
相場は知らないが……
特に何もすることがなかったので、疲れを癒すために2人でベットに倒れこむ。
寝ないように気をつけながらゴロゴロする。
はあ、死んじゃった……殺し屋として何回も何百回も人の死を見てきたけど、こんな感情になったのは初めてだな……けど、こんなに早く立ち直れる俺って異常なのか?っていうか立ち直る必要もなかったような……
俺は隣で泣いているフィルの背中を撫でながらそんなことを考えていると腹の虫が鳴った。
可愛い音が出る。
「夕食の時間だし食堂に行くか」
「うん……」
まだ目を赤く腫らしたままのフィルを連れて食堂に行く。
「いらっしゃい!宿のお客さんだね。これがメニュー。ここから好きなの選んでくれ」
俺達がカウンター席に座ると、兵士とか戦闘員をやっていた方が似合っているようなおじさんがメニューを渡してきた。
目を通すと、5つ料理の名前が並んでいる。
俺はステーキを頼み、フィルはお腹が空いていないのかサラダを頼んだ。
数分がたち、ステーキとサラダが運ばれてきた。
2人で夕食を済ませたあとはシャワーを浴びる。
もちろん、俺とフィルは別々だ。
シャワールームの扉を開け、中に入るがシャワーヘッドがない。
天井には穴が空いていて、壁に何か書いてある。
『水は各自魔法でお作りください』
魔法で作り出して自分で浴びるパターンか……まあ、問題ないのだが。
俺は書いてある通りに魔法で温水を作り出す。
さすがに冷たい水は嫌だからね。
シャワーを浴び終えた俺は部屋に戻り、魔法で光を作る。
フィルがシャワーから帰ってきたのは俺が帰ってきてからちょっとしてからだった。
今日は色々なことがありすぎて疲れてしまったので、魔法の光を消して2人でベットに倒れこむ。
そんなこんなで5日がたち、予定どうりに王都に辿り着く。
入都税を払い中に入ると、以前まで見てきた街とは比べものにならないくらい活気に満ち溢れていた。
子供達が遊びまわり、活気のいい声がそこかしこから聞こえてくる。
まさに祭り状態だ。
物珍しかったので、ついつい王都見学になってしまったが、当初の目的を思い出し、騎士団本部に向かう。
ミルファさんの居場所なんて知らないし、レイモンドさんに会いに王城に向かっても入れてくれないだろう。
そして、削除法でいくと残ったのがアレイドさん。あの人は確か騎士団団長をしていたはずだから騎士団の本部に行けば会えると思ったからだ。
よろしくお願いします!
(^ω^)