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妖狐の異世界転生旅  作者: ポポ
第3章 エフィロス王国
48/50

エフィロス王国の戦争 4

すみません!

昨日は投稿するの完全に忘れてました。すみません。

「草薙……か」


 シャイトがそう呟く。

 一度、草薙流剣術を操る人物と相対しているからわかったが、一度も戦ったことがなければ分からなかっただろう。

 しかも、何百年も昔の話で、記憶も曖昧だし、槍術と剣術ではだいぶ違うから草薙という単語が出てくるのに非常に時間がかかった。


「草薙ってなんですか?」


 そう問いかけてくるのは、後ろに大和撫子のように控えていたクイだ。

 髪色も瞳も黒、顔立ちも東洋系で日本人を連想させるような顔立ちだ。


「そうか、まだお前は生まれてなかったか」


 クイの年齢は100歳以上150歳未満だという。

 リャクがここにいればリャクが説明したのだろうが、今はシャイトの命令で狐の面を被った胡散臭い奴らに接触を試みているところだ。


「草薙というのはな、異形の者を倒す時に使われる流派だ。とっても強くて、隙がない。日本の鬼なんかはこの流派の使い手たちに根絶やしにされた」


「異形のものというと、主様も含まれますよね?」


「まあ、そうだな、でもどちらかというと俺たち妖狐の天敵は陰陽師だ。それも、表に出てこない妖怪殺し専門の」


「ああ、あの狩衣着た奴らですか……」


 クイは遠い目をして自分の身を抱きしめる。

 とても怖い思いでもしたのだろう。


 そして、シャイトは屈伸をしたり、背中を伸ばしたりして、気持ちを切り替えるように手を叩いた。


「俺たちだけサボるわけにはいかない。行くぞ、クイ」


「あいあいさー」


 とても気の抜けた返事がシャイトに返され、二人の妖狐は顔に赤いラインを浮かばせながら、一部盛り上がっていた丘から走り出した。



⭐︎



 ここには、女二人と男二人がいる。

 4人全員が狐のお面をかぶっており、紺色と黒色のローブを着ている。


 リャクは、地味目なローブをわざわざ着るのであれば、迷彩色の方が自然に同化できるだろうに……と考えながら、4人組に近づく。


 自分の主人からは接触してこいと言われているが、それは言外に殺してこいと同義である。と、リャクは思っている。 

 接触したら攻撃される→正当防衛する→相手死ぬ。


「私たちは成功させるとしましょう」


 女暗殺者の方がそう他三人に聞こえるように呟く。

 リャクとしてはここから離れられると困るし、何よりシャイとからの命令を果たせていない。

 なので、接触を試みようとして近づくと、投擲ように改良されたナイフがリャクの頬の薄皮を切り裂いた。もし、リャクが回避行動をしていなければ今頃脳天にナイフが突き立っていたところだろう。

 しかし、行きなろの武力行使は如何なものかと思う。


 なるべく刺激しないようにして、リャクは隠れていた茂みの中から姿を現した。

 顔には狐面のような赤いラインが浮かんでいるので、何も武器を構えていなくとも警戒態勢と見える。


「いきなりナイフとは物騒だね」


 目の前にいる四人にはリャクの赤いラインは化粧や刺青にしか見えないだろう。


「先にこちらを観察していたのはあなたの方でしょ」


 女暗殺者の言に、他三人が驚きをあらわにするが、その驚きはすぐに収まった。


「気付かれていたか、もっと修行せねばならないね」


 他のシャイトの配下の妖狐たちがそれを聞いたら、”お前、それ以上強くなってどうする”と声をそれえて言っていただろう。それぐらいに強い。正確には、今の弱体化中のシャイトと同等ぐらいの強さだ。引き出しの多さで見ればシャイトの方が上なので、本気でやりあったらリャクが負けてしまうだろうが、腕の一、二本持っていけるだろう。


「まあ、僕には遠く及ばないだろう。それに、君たち四人でかかってもあの子は倒せないと思うよ」


 そう言って視線を向けるのは、遠くの戦場で無双している銀髪のエルフ少年だ。


「ふざけんなっ!!」


 リャクの敵を前にしているのにヘラヘラしている態度が気に入らなかったのか、短気そうだと思っていた剣を使う男がリャクに向かった飛び出していき、その胴体めがけて横薙ぎにして剣を放つが、リャクにとっては赤子の振り回すバットと同じだ。

 こいつは相手の力量も読めないし、短気だが、ここで横薙ぎを選択するのは間違ってはいない。そこは間違っていないのだが、リャクに向かって行ったというのが人生最大の間違いだろう。


 リャクは危なげなくひらりと木の葉が舞うように剣を躱すと、その剣身を真剣白刃取りの要領で掴み取り、軽くひねる。


「ぐあっ!」


 手首が変な方向を向き、紺色のローブを着た男は自分の愛剣を手放してしまう。

 合気道のように、相手の力を利用する技だ。


 相手の手から離れ、宙を舞う剣の柄を取り、手首の痛みに未だに悶えている相手の足に剣を突き刺し、地面に縫い付ける。


「剣は返すよ」


「ぐああああああぁぁぁぁ!!!!」


 痛みに叫ぶ男のこめかみに蹴りを入れて、意識を刈り取ってから、視線を他三人に戻す。

 戦闘時間はほんの数秒で、何もできなかったであろう三人が呆然とした様子で立っていた。

 意識が飛んでいる男はこの出血量からすると、数分と持たないだろう。どうやら、剣を突き刺したした時に動脈を切ったしまったらしい。


 これで一人、残るは三人。


「さて、次は君たちなのだが……」


 リャクがそう言うと、三人はビクッと肩をはねさせるだけだ。まだ痛みで呻いているやつよりも状況把握能力に優れているらしく、注意深げにこちらを観察していた。


「君たちはそこのバカとは違うようだ」


 侮蔑の視線を死にそうになっているやつに向け………ると瞬間に、一瞬の隙をついてハルバードを背負っている男が逃げ出した。

 手には小型のクロスボウと腕に装着式のラウンドシールドを握っている。ちなみに、ハルバードはほっぽられていた。あんな重いもの逃げるのに邪魔にしかならないからな。


 敵の力量を甘く見ずに、逃げに徹することはいいのだが……リャクの前では無意味に等しい行為でしかない。もしかすると、手加減できなくて投降するよりもひどい結果になるかもしれない。


 そして今回は、後者になった。


「あ、手が滑った」


 そういうと、リャクの手が高速で動いた。無詠唱で攻撃しようとしていた女魔法師の首が吹き飛び、遠くに逃げて行ったハルバード使いの片足が切り落とされる。

 その一瞬の出来事に、頭の処理能力がついた行けずに、女暗殺者の脳はショート寸前まで行っていた。

 そして、これが大きな隙を生む。


 リャクはここでできた大きな隙に、彼女の喉元に手に帰って来たそれを当てる。

 女魔術師の首と、ハルバード使いの足を切り落としたそれは……当然のように、血で濡れていなかった・・・・・

 目に見えないほど高速で動いていたその物体は、太陽の光を浴びて、黒光りしていた。


 その武器の名は、円月輪というらしい。


 リャクは実際の戦闘で円月輪を使っている人を見たことがないために、本当に使われていた武器なのかわからない。しかし、一つだけはわかる。

 自分のように円月輪を使いこなしている、又は自分以上に使いこなしているやつはいないだろう。自分の主人であるシャイトですら無理なのだから。


 リャクが今握っている円月輪は、実際には存在してすらいなかったというサイズの直径300ミリの大型サイズだ。

 こんな重たいもの、普通の人間が投げられるはずもないし、投げられたとしても打撃武器のようにしか使えないだろう。しかし、人外のリャクにしてみれば人間の頭を吹っ飛ばすほどの威力で投げるのは朝飯前だ。


 そして、握られていた円月輪は再びリャクの手から離れて、今度は瀕死状態にまでなっていたハルバード使いの首を切り落とす。そして、生きている生物のようにリャクの手の中に収まった。


「さて、残り一人になっちゃったけど……」


 リャクはそう言いながら、先ほど自分の手で命を奪った三個の死体を見る。


「君もこうなりたい?」


 その眼光には強い殺気が乗せられている。

 女暗殺者は絶対強者の風格に気押され、体が硬直するが、口だけは動かした。


「な、何をすればいいの」


 努めて感情を出さないようにしたが、声が震えてしまう。


「そうそう、そうこなくっちゃ」


 軽い口調の返事が返ってくる。眼光からは、女暗殺者が恐怖した殺気はどこに行ったのかと問いたくなるように、姿を消している。

 殺気が姿を消したことで、自分の中に顔を出していた恐怖は少し和らいだが、絶対強者の前ということで、体は未だに動かない。動けたとしても、逃げることなどしないだろうが。


「体目当てなの」


 そんなことが目当てでないのは女本人の方が分かっているのだが、一瞬リャクの動揺した顔が見られたので。一泡孵化してやったような気分になる。


「そんなことではないのは分かっているわ。何が知りたいの」


「お前、仲間が目の前で死んだのに……達観してんな」


「そこの死体がどうしたっていうの、生きているうちは確かに知人だったけど今はただの肉塊でしかないわ」


「うわぉ」


「それで、目的は何?」


 最初に感じていた恐怖はなんだったのかと、自分自身に問いたくなるぐらいに今は恐怖を感じていない。しかし、まあ、逃げることは考えてないが。

 女が目的を問うと、思い出したと言わんばかりの表情をして、ぽんっと手を叩く。


「君たちの組織がなんなのか知りたいのと、どういう活動をしているのかを知りたい。”銀狐”っていう組織なのは知っている」


 女は綺麗な曲線を描く顎に触れながら、喋り出した。

 

「私たち”銀狐”という集団は簡単に言えば、傭兵の集まりみたいなものよ。ある国では『ギルド』と呼ばれるし、ある国では『レギオン』なんて呼び方もするわ」


 『ギルド』『レギオン』などは、一定人数以上の傭兵が集まり理念や、目的などを掲げて活動する集団だ。

 この世界で大きな『ギルド』『レギオン』は、”冒険者ギルド”ギルド員数約5万4千、”クルミディアレギオン”ギルド員数約7万3千の二つだろう。

 その他にも千人越えのがいくつもあるが、省略する。そして、女暗殺者が言うには、銀狐というのは『レギオン』登録されており、細かい数はよくわからないが、二百人規模の戦闘集団らしい。

 ちなみに、行商人ギルドや土木ギルドなどの非戦闘系のギルドも存在する。


「君たちの掲げる理念は何?」


「私たちが掲げる理念はないわ。目的が一致しているだけなの。だから、レギオンマスターみたいな上層部の奴らから命令が来ても、自分の目的から外れるようなことであれば断るわ」


 とてもゆるい組織のようだ。いや、断るという言い回しから断れるのではないのだろう。


「じゃあ、その目的は?」


 その問いに、女はよくぞ聞いてくれましたと言わんばかりに瞳を輝かせ。


「三大英雄『妖狐』様の復活よ!!!」


 ずずいとリャクに顔を近づけてから、大声で言った。



⭐︎



「へくしっ」


 背筋が震え、妙な悪寒がシャイトを襲い、くしゃみが出た。

 こんな悪寒、久しぶりだ。何か自分の身に何か起こるのかもしれない、気をつけておこう。


「噂されたんじゃないですか?」


 そんなシャイトの様子を見て、クイが言う。

 こいつは、黒髪黒目で大和撫子のような振る舞いをしているが、その実態はかなり馴れ馴れしい。

 シャイトは気にしていないので放置しているが、人が人なら斬首されていてもおかしくはない。


「そう言うものか」


 シャイトがそう言うと同時に、今度は本当のと言うのはおかしいが、本当の悪寒が背筋を走った。

 命に関わるものだ。しかし、シャイトに向けられるがいいのような視線はない。


 と言うことは……


 パァァンッ!


 それほど離れていない場所から、銃声がシャイトの耳に飛び込む。


「クイっ」


 咄嗟に背後にいたクイを振り返ると、羽張の下位互換版の刀を振り上げているところだった。

 そしてその瞬間に、刀身が何かを弾く子気味良い音を出しながら、火花を散らせた。

 その顔からは、いつものおちゃらけたような、緩んだ表情は姿を隠し、表に出てきているのは凛とした女剣士の表情だった。


「シャイト様、3時の方向に銃兵多数。距離は40メートルから50メートルといったところです」


 クイがそう報告し、どうしますか?と、問うてくる。


「銃が出てきたことに驚きだが、それでもせいぜいマスケット銃みたいなやつだろう。お前ならどうする?」


 質問に質問で返し、クイは思案顔を作ると、言った。


「一時退避でしょうね。敵の武器がわからない場合、不測の事態の時のプランが立てられません」


 その答えに、シャイトはニヤリと笑った。


「上出来だ」



 このやり取りをしている最中も、敵の弾丸がシャイトたちを狙って放たれていたことを追記しておく。


これからもどうぞよろしくお願いします

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