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妖狐の異世界転生旅  作者: ポポ
第2章 森羅万象の復活?
28/50

シールドコード

よろしくです!

遠くで爆発音を聞いたシャイトたちだが、特に気にすることもなく、生き残りの治療を続けていた。


あの『有機体腐食性高濃度塩酸局所的大気汚染物質』……調べれば調べるほど悪魔のような化学兵器だというのがわかる。


有機体……つまり、無機物でないものを全て腐食させる。 人体に影響を与えるが、その人物が使っていた武器や防具は腐らない。

しかも、高濃度塩酸というものはただの高濃度なだけの塩酸ではなく、意志の宿っているものを溶かすというものだ。

簡単にいうと、AIやシャイトのように意思がある機体……無機物でも溶かすということだ。 意思が宿るものに限定されているため、意志の宿らない武器は溶けない。


持ち主だけを殺して、武器を鹵獲するためだけの兵器といえよう。

食料は手に入らないが、そんなものどうとでもなるだろう。 こんな化学兵器を作っているのだからね……。


そして、シャイトと深青の治療で生き残れたのは庄司と星、鈴と凛の四人だけだった。

ほかの人たちや大志は一命を取り留めていたものの、化学兵器の中にいた微生物のせいで死んでしまった。


のちにわかったことだが、別名『διάβολοςディアヴォロス』とも呼ばれており、日本語訳すると、『悪魔』という意味になる。


さて、その悪魔の化学兵器が入った球体だが、面白いことがわかった。

魔法金属だというのはわかっていたのだが、魔法導線回路、通称『魔導回路』というものが入り組んでいることが新たに分かった。


この『魔導回路』というものは、回路の組み次第で魔法と同じような現象を引き起こすことが出来るという代物だ。

既に失われた技術ロストテクノロジーとして存在していないと言われていたのだが……とんだ掘り出し物だ。


この球体一つで大国の国庫をからに出来る。 それくらいの価値をこの球体は持つのだ。


その回路を調べ、どのような現象を引き起こすのか調べて見たところ、通常一つか二つのところ、この球体は四つの現象を同時に起こすことが可能だということが分かった。


・追跡機能

使用者の後をついていくことが可能。

・浮遊機能

飛ぶことが可能。

・障壁機能

複数の球体を用いて障壁を展開することが可能。 自動展開が可能。

・射撃機能

太陽のエネルギを利用した高熱粒子砲を撃つことが可能。 使用者を援護する機能も付いている。 また、自動射撃も可能。


「え……これめっちゃ欲しい」


ついつい心の声が出て来てしまった。

え、だってこんなのチートじゃない? 自分のこともかなりチートだと思ったことあるけど、そんなのかすれるくらいチートでしょ……。


「あ、自分のことチートだと認識してたんですね、シャイトさん」


「深青も人のこと言えないよ?」


しかも、作り方めっちゃくちゃ簡単だし、こんなの量産できたら世界の戦争の常識がひっくり返る。

アルシャファルの常識なんて近接戦闘でぶつかり合ってワイワイやるのが戦争。

こんな遠距離主体のものが出て来たら革命が起きる


銃なんて物も最近開発され始めたが、まだ火縄銃程度だし、取り回しも聞き辛い。そして何より、量産なんて出来ない。

それに比べてこの球体は作るのが簡単。何度も言うようだが、簡単すぎる。


まあ、使わせてもらうが。


銃の開発も考えてはいたんだが、作るのがめんどくさい。

銃の作り方は知っているが、道具がないし、そんな加工技術ここにあるわけがない。

旋盤があるのであれば別だが、ない。

旋盤の作り方など知らん。


身近な人が亡き者になってしまい、意気消沈している四人に比べ、シャイトはホクホク顔で進んでいった。

深青は無表情をちょっと悲しみに染めている感じだった。





あの襲撃事件から数日が過ぎ、ついに砂漠を抜けた。

そこにはゴーストタウンと化した街が存在していた。


シャイトは鈍色の球体たちを偵察としていかせ、その場に座り、情報を整理する。


この数日間であの腐り男のような襲撃をしてくるものはいなかった。

また、鈍色の球体も今ある材料で出来る限り量産し、今は五機運用している。


とっても使いやすく便利なのだが、いかせん急造品だ。 品質も悪いため、あまり無理な運用は出来ないし、防御結界的な障壁も展開することはできるが、火縄銃の銃撃でも二、三発受けて仕舞えば、簡単に壊れるだろう。


上に戻ったらちゃんとしたのを造るつもりだ。


シャイトが情報を整理した上で、どう改良しようかと悩んでいたところに、球体たちが偵察から帰って来た。

偵察から帰って来た球体たちの情報によると、この目の前に見えるストリートの3コーナー先にあるビルの地下室が新たな場所につながる場所だということが分かった。


早速向かうとしようか。


今、手に入った情報を全員(といってもシャイト他5名だが)に共有してから歩き出す。




「すげぇ……」


スターが呟いた。

確かに、思わず感嘆の声がでるような高さのビルだ。 いや、ビルと言うより、タワーと言った方がいいかもしれない。


そのタワーの中に入ろうとするが、鍵がかかっており、中に入れない。

近代的な認証式の扉ではなく、回転式のアメリカとかでよく見るようなドアで、鍵も錠前だった。 錠前は鍵を差すタイプではなく、5桁のナンバー式……99999通りもある。


ナイフの尻の部分でガラスを割って入る。


今思ったのだが、これまで見て来たビル全ての窓ガラスが割れていなかった……考えて見ると、結構おかしくないか?


その疑問は頭の片隅に置いておき、今は目の前の問題に視線を向けた。



ロビーはあるのだが、それだけ。

だだっ広いロビーがあるだけで、通路も、地下室に繋がる階段も、上階に行くためのエスカレーターやエレベーターもない。

また、ソファやテーブル、壁かけの絵すらない。


ただの部屋ロビー

怪しいことこの上ないのだが、どうやって地下室に行けばいいのかわからない。 床を破壊して行くのもありなのだが、下に何があるかわからない現状、床に穴を開けるのは躊躇われる。


地下室へと続く道を探していると、何かを踏んだ。


踏んだ張本人の庄司が自分の足元を見て見ると、踏んでいるタイルが一部分だけ凹んでいる。


(こ、これは、よくある罠というやつだろうか……?)


冷や汗をダラダラと垂らしながら、今はどうこの現状を打破するかを考える。


(足で踏んでいる今は何もおきない……では、重りをこのタイルにおけば一件落着か?)


庄司はシャイトや他の人たちにこのタイルのことを知らせ、自分の考察や仮説を話す。


「確かに、それなら問題ないだろう」


シャイトは懐から金塊を取り出し、庄司の足元に置く。


「ねぇ、その金塊どこから盗ってきたの? それにいつもどこから出してるの?」


深青の疑問に、即答する。


「盗ってきたとは人聞きの悪い事を……これはちゃんと拝借した物だ」


親指で割れたショーケースを指差す。


「それを盗んだっていうの」


シャイトは欧米人のように大げさに“やれやれ”というような仕草をしてから、庄司に退くように言った。



これで一件落着と思われ、再び地下に続く道を探し始めたところで、床が揺れ始めた。


「きゃあ! なになに!? 地震!?」


深青は一番近くにいたシャイトに抱きつき、あたりを見渡す。

すると、深青の目に映ったのは、先程のタイルに置いた金塊を持つスターだった。


「お、お前何やってんだよ!?」


シャイトがすかざす星に詰め寄ろうとするが、床のタイルが崩れ、パラシュートなしのスカイダイビングをすることになった。

シャイトの耳に聞こえた星の言い訳は「金塊を捨てるって勿体無いじゃないですか!!?」だった。


「ほんとクソ野郎」


深青の呟きは抱き着かれていたシャイトにしか聞こえなかった。

星にとっては良かっただろう。





「キャハハハハ! あーはっはっはは! やばい死ぬっ! 笑いすぎて死ぬっ!」


「ダメだよ、レディがそんな笑い方したり死ぬ死ぬって連呼したりするのは。 もっとお淑やかにしなきゃ」


「はっ! そんな奇抜な格好してるあんたに言われたくないね」


ここは薄暗い映画館のような場所の中。

前面には大きなスクリーンが掛かっており、監視カメラ映像のようなものが映っている。

だが、その監視カメラ映像は定点撮影のようなものではなく、ドローンでも動かしているかのようにスムーズに動いていた。


「しかし、女神の使徒が来ると言っていたが本当に来るとはね……これにそんな価値が本当にあるのか?」


すぐ隣に置いてある空色に輝く鍵をトントンと指で軽く叩く。


「あるから女神の使徒が来たんでしょ。 それとも何? あんたあの方・・・を疑ってるわけ? あんな高潔で紳士で悪鬼のような彼の方を疑ってるの?」


道化のような様相をした長身の人物は、少女から発せられる物凄い殺気に、全身に冷や汗をかきながら手を振って疑いを晴らす。


「そ、そんなわけないじゃないか! 女神の使徒が余りにもこっちの予定通りに動いてくれるものだから女神はそこまで本腰を入れて来てないのかと思っただけだよ!」


「それもそうね……まあ、このことは不問にしてあげる。 しかし、本当に予定通り行き過ぎてるわ。 何もなければ良いのだけど、こういう時に限って何かあると思うのだけどどう思う?」


ヨークシャテリアのお面を付けたゴスロリ少女の殺気が霧散したことで、一安心した道化は、胸元のハンカチで額を拭う。


「そうだね……確かに上手く行き過ぎてるし、何かむず痒さがある。 警戒しといて損はないだろう。 僕の部下を総動員しよう。 流石にそこまですれば命を取られることはないと思うしね」


ゴスロリ少女が少し魔力を発すると、手に持っている炭酸飲料の炭酸が、ジュワッと言う音を立てて一瞬にして抜ける。


「面白くなって来たわ」


「本当、君って可愛い顔して怖いこと言うよね」





ピチャ ピチャ ピチャ


頬に垂れる水滴で目を覚ます。


真っ暗で何もわからない。 どうやら暗視の機能を制限されているようだ。

唯一の光源はシャイトの機体から漏れ出る僅かな光。 真っ暗よりかは良いだろうが、こんな程度の光源では辺りを見渡すことなんてできない。


天井や壁はどこまでも広いのか、黒で染まっており、終着点が見えないが、床は白と黒のチェス盤のような大理石でできている。


床を殴り、音の反響で周囲を探るが、少なくとも半径100メートルには誰もいないことが分かった。




こちらもシャイト同様に頬に垂れた水滴で目を覚ました。


目を覚ました瞬間、天井に何かいた気がしたが、寝ぼけたのだろうと流し、目を擦る。


周囲を見渡すと、辺り一面血のような色に染まっており、床は白と赤のチェック柄だ。

勿論、大理石でできており、ツルツルとした感触が心地よい。


赤の空間にポツンとある水色の透き通るような髪色はとても目立っていた。


「シャイト……怖いよ」




またまたこちらも頬に垂れる水滴で目を覚ます。


シャイトや深青とは違い、ここには同郷の四人が揃っていた。

天井に骸骨のようなものが浮かんだと思ったが気のせいだろう。


空間の色は黒、赤に続き、虹色だった。

どうゆう繋がりがあるのかは全くわからないが一つだけ言えることがある。 虹色に輝く空間など不気味だ。


床も白に虹色の線が描かれている。

見る場所でストライプともボーダーとも取れる柄だ。


そんな不気味な空間で視線を合わせる四人。

声を出そうとしても思うように出ないし、体も思うように動かない。

まるで、生身で宇宙空間に放り出され、全身に何Gもの重力がのしかかっているみたいだ。




三つの空間全てに少女の声が響く。


『お! これは面白い別れ方をしたねぇ……まあ、良いや。 君達にはゲームをしてもらいまぁす!』


『この空間に放り出したのはお前か……顔は見えないが、声のトーンからして身体年齢は・・・・・10代前半ってとこか?』


シャイトの声が乱入してくる。


『……』


『お? 黙りこくっちゃってどうちたのかなぁ? 当たってまちたかぁ? あはは!』


『るっせぇえ!! 黙ってろやボケが! 女神の使徒ごときが私に楯突いてんじゃねぇよ! ……おっと行けない。 少々取り乱してしまいました。 もう一度言いましょう! 君達にはゲームをしてもらう!』


流石にシャイトでもこの変わりようは対処できなかった。

しかし、女神の使徒とは飛んだ勘違いというものである。 シャイトとしては女神の使徒になったつもりはないし、第一、あんな腹黒女の手足となって動く義理がない。 ただ、シールドコードを取ってきて欲しいと頼まれて、それ相応の対価をもらっているだけだ。


『ゲームといっても君達が想像するようなテレビゲームではない。 今から送り出す兵士ソルジャーを叩きのめせばいいだけ。 どう? 簡単でしょう?』


『ひとつ質問がある。 兵士とはいうがどういうものなんだ?』


『そうね……難易度としては黒が超強、赤が強し、虹が普通ってとこかしらね。 それ以上は言えないわ。 それじゃ頑張ってねぇ!』


(俺がいる空間が一番難易度が高いのか……深青がいる空間がここじゃなくてよかった。 心配だが、まあ、なんとかやるだろうし今の問題はその兵士ソルジャーだな)


シャイトは視線を前へと向ける。

シャイトの正面にはいつの間にか死神然とした骸骨が浮かんでいた。 手にはいかにも死神が持つような大鎌デスサイズが握られており、全身はボロ切れのようなローブで覆われていた。


優雅に死神に一礼する。


「私はシャイト・アーカイドと言うものです。 お手合わせの前に準備を整えたいのですがよろしいですか?」


「これは丁寧にどうもありがとうございます。 私の名はケルロンド。 ただのケルロンドでございます」


その返しを“良い”という反応だと捉えたシャイトは、着々と準備を整えていく。

どこぞの空間から取り出した、国宝指定級のエレノアからもらった儀礼用でも使える煌びやかな黒く光を吸収するような長剣ロングソード

フィルからもらったかっこいい超高性能な藍色のローブ。


なぜこの装備にしたかというと、銃では銃弾を弾かれる。 あの骸骨にはそれを成し得る腕が確かにあるし、アリスからもらったワンドの改良版は現在魔力が使えないので付けていても邪魔にしかならない。


狐面を使うのが一番手っ取り早いのだが、この一回戦で終わるとも限らないし、今使うとそのあと妖狐化することが難しくなるし、あの少女声の主人とも戦うかもしれないので今狐面を使うのは下策だろう。


策を練る。


(長剣で防御に回りながら、高周波振動ナイフでデスサイズを地道に削り取るか、骸骨の核を負傷覚悟で思いっきり斬り飛ばすか……戦闘だしどう転ぶかわからない。 策は無駄に終わる可能性が高い。 もう、なるようになれだな!)


ローブをちゃんと着たかを確かめてから、長剣を正面に構える。


「終わったようですね。 それでは始めるとしますか」


死神も自身の得物を後ろに引き絞り、突貫の構えを見せる。


緊張が高まり、両者同時に飛び出した。





深青は脳に響く声……シャイトと少女の問答を聞いていた。

赤い空間にポツンと一人。

寂しいものがあるが、不思議と寂しくなく、懐かしい感じがする。


ゲームがスタートすると、空間が揺れ、中から巨◯兵のような真っ赤な体を持つ巨人が出てきた。 巨神◯のような奴は手に光る槍を持っており、常に体から蒸気を出していた。


遠くにいるのに物凄く高温だと分かるぐらいの熱を持っており、核融合反応を体内で常に行われているのではないかと疑うほどの熱さだった。


その姿は神のように美しくも、悪魔のような恐ろしさも魅せる姿形で、恐怖の感情が膨れ上がる。

深青は混乱する。 このような恐怖を覚えた相手など模造天使時代のシャイトぐらいしかいない。 だが、今の恐怖はあの時の恐怖よりかは柔らかい。


「こ、これはヤバイかもしれない。 けど! 私は……私は、こんな相手に屈するような深青じゃない!」


水を連想させる青色の影と、業火を連想させる紅蓮が交わった。





虹色に輝く空間。

あの問答が終わったあと、何故か体が動かせるようになっていた。 いや、理由はわかっている。


四人全員が背中合わせに立ち、両銃を構える。


今のところ、あの少女が言っていたような敵は現れていない。


「ん? 何か来たぞ……」


庄司の声で皆が一斉に庄司の警戒している方向へと向く。

そこには全長20メートルにもなろうかというほどの生物が二足歩行をしており、体が透けている。 完全な透明というわけではなく、微かに赤色や青色、黄色などが色づいていた。


「しかし、何故あんな巨体が今の今まで見つからなかったんだ? 影の少しくらい見つけられたっておかしくねぇのに……」


「多分、虹色に輝く空間にあの体色……ちょっと透けていて分かりづらかったというものもあるんでしょうけど、あの体色じゃ、完全に同化してしまいますよ。 保護色みたいな感じですかね」


スターの疑問に凛が答える。

庄司と星は依然警戒を続けており、鈴はどこか落ち着かない感じだ。 というか、落ち着いている凛がおかしいのだが……。


「大丈夫だ。 あの少女が言っていただろう? ここが一番簡単な空間なんだ。 絶対に何か弱点があるはず。 倒せるさ」


星はそういうが、鈴としては全くそうとは思えない。 あんな化け物自分たちの手に負えるものではないと思っている。


「大丈夫、鈴と私がいて何か出来なかったことがある?」


「………ある」


「………たしかに……あったかもしれないけど、大丈夫だよ。 なんとかなるって。 いざという時には前みたいにシャイトさんが助けに来てくれる」


凛よ言葉には何も根拠がないが、不思議と納得してしまう。 あのシャイトという存在はそれ程までに凛と鈴の中では大きな存在だった。


「そうだね、ここでクヨクヨしてても何も始まらないもんね。 最低限シャイトさんが助けに来てくれるまでの時間稼ぎはしないとね!」


「そうだ! 時間稼ぎとは言わずに倒しちまおうぜ!」


彼我の距離はまだ遠い。

策を練る。


「なんか見覚えがあると思ったら、昔のアニメでこんな奴いたよ……デイダラボッ◯」





真っ暗だが、一際明るく光る場所があった。

連続して聞こえる衝突する金属音。

この金属音を聞いただけでそこはまた別の世界に感じるほどの高度な攻守の応酬が行われていた。


断続的に飛び散る火花で辺りが明るく照らされる。 この戦いでの光源は火花のみとなっていた。


一人は獰猛な笑みを浮かべており、もう一人は表情のわからない顔をしている。 それも当然だ。 そのもう一人というのは骸骨なのだから。


「さすが、死神というだけはある。 楽しいぞ」


「ふん、そんなに喋る余裕があるのですか……もっとレベルを上げますぞ」


「上等っ!!!」


命の駆け引きが物凄く楽しい。 こんなに楽しめたのは初めてかもしれない。

一歩間違えれば死の戦いがシャイトをより強くしていく。 死神も無表情に見える顔にちょっとだけ笑みが浮かんだような気がした。


どちらもバトルジャンキーだ。


シャイトの黒剣が死神の首に吸い込まれる。 剣先の剣速が音速を軽く超え、常人には見えない速度で迫る。

対して、死神は見えていないのか、シャイトの黒剣には見向きもしない。


勝った。


核は胸にあるのだが、情報を出す脳がなくては生きていてもこちらが勝ったも同然だ。

しかし、そう確信したその時、あいつは嗤った。


嗤った。



シャイトの黒剣が死神の首に叩き込まれるが、金属特有の甲高い金属音を鳴らして、停止した。


「はぁ!!?」


「私を侮りましたね」


大鎌の刃がシャイトの腹に触れたと思ったら、その瞬間に止まった。 時が停止したかのように突然止まったのだ。


勿論、この現象を死神は予想していなかったが、シャイトは予想していたかのように、その場から一歩二歩と飛び下がる。


「あちゃ……ちょっと切りちゃったなぁ……これ怒られるなぁ……やだなぁ……あ、弁償してくれる?」


「……へ?」


戦闘中とは思えない気の抜けた言葉に、死神も思わず戦闘中とは思えない気の抜けた返事を返してしまった。


「まあ、いいや。 それより、お互い手札が一枚減ったな」


「そうですね……しかし、その黒剣はなんなんです? 私の得物と打ち合っても刃こぼれ一つしない剣とは神器並です」


「俺にもよくわからんが、多分神器みたいにめっちゃ強いのはたしかだな……なにせ素材が神獣の鱗とか歯だからな」


「そ、それはまた……」


シャイトは再び剣を構える。 高周波振動ナイフは先の戦闘でぶっ壊れた。


「仕切り直しだ。 第2ラウンドと行こうか」


「望むところです」


死神も大鎌を構える。


また来週お会いしましょう!

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