表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妖狐の異世界転生旅  作者: ポポ
第2章 森羅万象の復活?
24/50

追想 ②

シュデイルング艦長の命令が下った直後に全軍が動き出していた。

荷電粒子砲のみは後方に数機の護衛戦闘機をつけて置いてきているが……


とにかく、“Hydra”も例外なく出撃していた。


“戦闘機郡は機動性と速度を持って先行。荷電粒子砲の攻撃を絶えず打ち込むのでそれに当たらないように注意すること。また、神を抑えるのは数十機の戦闘機のみ。それ以外は天使掃討に当たれ。”


これが戦闘機郡に下された命令内容だった。

正確にはもっと細かく詳細が書かれていたのだが……


まあ、そんなこんなで現在“Hydra他戦闘機”たちは猛スピードで敵に向かっているところだ。

特攻に近い感じだが、ここでやらなければ自分たちがやられるため、この特攻作戦に参加しなかった者はいなかった。


周囲に浮かぶ星々が後方に流星のように流れ、敵の砲撃が躱されこれもまた流星のようだ。

たまに流星に当たり爆発する機体もあるのだが、上方に救命ポットが打ち出されているのでパイロットは無事と考えていいだろう。


接敵までの時間が異常な速さで縮まって行く。


正確には1分が30秒くらいだ。

これを見るに、戦闘機郡も天使達と同じ速さで動いていることがわかる。

機械がそれを読み取り演算、正確な時間が表示された。


『接敵まで2分24秒53』


秒より下の桁は物凄いスピードで減って行く。

敵方から飛んでくる砲撃やスペースデブリ、小惑星群を避けながら飛んでいるので、多少の誤差は生じるが、全く問題ない程度だ。


そして、射程圏内に入ると同時に命令が下された。

それまでは互いを励ましたり激励する声などは勿論のこと、愛し合う声や軽口も聞こえていた。しかし、命令が下されると同時に、瞬時に緊迫した空気が流れた。


『接敵1分前になったら全機攻撃開始!』


各機に詳細データが送られる。

しかし、パイロット達がそのデータを見ることはない。全て戦闘機に内蔵されているコンピュータに任せているのだ。

人間の脳が処理するよりもずっと早く、正確な情報を読み取れるからだ。しかも、パイロット達は戦闘機とリンクしているので、考えずとも戦闘機が処理した情報が脳内に勝手に入ってくるのだ。

情報が勝手に入ってくる感覚になれるまでは戦闘機乗りとして全く使い物にならない。


閑話休題。


現在の戦闘機群の戦力は4939機。

出撃した時は4947機だったのだが……。まあ、しょうがない。


接敵まで残り1分50秒を切った。

この時に全ての戦闘機が処理された情報を元に、自分が対応する天使をロックオンするのだ。

淳も処理された情報を元に、天使の一体をロックオンしようとしていた。


しかし、これでロックオンに成功するのは10機中数機程度だ。なぜ、こんなにも確率が低いのかというと、パイロットの腕の問題もあるのだが、天使は自分がロックオンされていると知ると、途端に進路を変え、自分をロックオンしている機体を狙って砲撃を開始してくる。これが一番の理由だろう。


接敵まで残り1分10秒を切った。

ここでロックオンをするのが大半だ。先に述べた通りの状況が予想されるからだ。

そして、その予想は見事に的中した。


天使達が今まで統率されていたのに、急激にバラバラに動き始める。

ロックオンが外れないように各戦闘機も隊列を崩して追う。

一体につき戦闘機10〜11機が動く。

勿論、何も作戦を立てずにこんなバラバラに動くはずもない。天使達に思考があるのか微妙だが、少なくともこちらにはあるのだ。

その頭を使わないでどうするという話なのだ。


一体につき10〜11機が追うということは、小隊が組める。

ということで、その小隊を組むのだが、これが余し上手くいかない。

なぜ上手くいかないのかというと、実戦経験がない訓練生も駆り出されているし、一度も組んだことがない奴らとも組まされるからだ。

上層部が、何故そんなことをするのかというと、単に人が足りないということが挙げられる。


接敵まで残り1分を切ったところで宇宙用ミサイルを各機2発ずつ発射される。

何故、1発ではないのかという疑問があるかもしれないが、それは的中率を上げるためなのと、少しでも多く当てて敵の損傷を激しくさせ、後々の戦闘を楽にするためだ。


戦闘機郡から放たれたミサイルは凄い速度で飛んで行く。宇宙空間なので、煙の尾を引きながらは進まないが、噴射口から噴出されるエネルギーの軌跡ははっきりと宇宙空間に残っている。


エネルギー……“パーペチャル”


このパーペチャルというエネルギーは最近開発された無限エネルギーだ。

正確には無限に近いエネルギーといったほうがいいだろう。


宇宙空間からパーペチャルの元となる原子を取り出し、抽出。その後、化学反応で作り出すことが出来る。

その後、燃焼され、廃棄されるものは分解され、原子に戻ったパーペチャルだ。またこれを化学反応で作り出す。

このようにして無限エネルギーを作り出したのだ。何故無限エネルギーのようなものと表現したかというと、このパーペチャルを作る際に必要なエネルギーがパーペチャルでないことにある。

パーペチャルが近くにある時に化学反応を起こしてしまうと、何故か拒否反応が起きてしまうのだ。そのため、パーペチャルを作る際に必要なエネルギーはパーペチャル以外を使わなくてはならない。


これらのことでパーペチャルは無限に近いエネルギーと言ったのだ。


電気エネルギーを使うよりパーペチャルを使ったほうがはるかに効率がいいため、現在稼働している全ての機器(パーペチャルを作るもの以外)は全てパーペチャルが使われている。


閑話休題。


宇宙の漆黒の中に走る幾条もの軌跡は全てを断罪する刃のようで、全てを許す慈悲の光。のように見える。


総数、9000以上ものミサイルはそれぞれの目標に激突する。


視界は全てが爆発の煉獄に包まれ、あたりを眩く照らす。

空気がない為に、爆発の衝撃がダイレクトに周囲に伝わり、スペースデブリや小惑星は形を変えて宇宙空間に散らばり、戦闘機郡の大多数は小さな破片とかした小惑星に貫かれ、辛うじて貫かれなかった機体も次に襲ってきた衝撃波に機体を飛ばされる。


何千キロも離れた場所でも爆発の衝撃は伝わり、艦内には空気がある為、音として伝わる。


深く重い。それでいてちょっとだけ甲高い音。人間の意識で恐怖を植え付けるような音が爆音で反響した。




……あの大爆発から何分が経っただろうか?


淳は血濡れたヘルメットと後部座席に座る相棒を見やる。

しかし、そこに相棒の姿はない。


生命維持装置が発動し、強制送還されたのだろう。そう、淳は考える。

たとえ、コックピット上部に大穴が開いており、“後部座席ごと抉られた”跡があってもだ。


“Hydra”を再起動させようにも動かない。予備バッテリーも無くなっている。回路がショートしているようだ。

しかし、治そうにも一人では治せない。

情報によると、先の大爆発で被害は甚大だ。まともに動ける機体は100もいないだろう。壊滅的な大打撃だ。


まあ、その分天使の軍勢にも見過ごせない程の被害が出ているようだ。


通信限界のせいで母艦との連絡が取れないが、無事だろう。多分……いや、そうであってほしい。

そう祈るばかりだった淳だったが、不意に顔を上げる。


機体を叩かれたような気がしたのだ。


「大丈夫ですか?」


天使かもしれない。

そう考え、足につけているホルスターから拳銃を引き抜き、構える。


「お、おい。やっぱダメだぜ。コックピット抉られてんだから死んでるに決まってる」


もう一人の声が聞こえる。

最初は女の声で次が男の声。天使がそんな器用な真似ができるとも思えないし、コックピットの位置を知っている時点で味方だろう。

一応、拳銃を構えながら、大穴から宇宙空間に出る。


宇宙で行動出来るように作られた宇宙服の色は淳が赤と黒。外にいた二人が青と白だった。


宇宙服の色は階級を示す。

赤と黒が正規軍人で、青と白が訓練生。ということになっている。


淳は拳銃を油断なく訓練生二人に向けながら問う。


『貴様ら、天使ではないよな?』


『て、天使なんかと一緒にするんじゃねぇ!』


『ば、馬鹿!落ち着きなさいよ。……すみません。御無礼をご容赦ください』


『別に構わん。……あぁ、疲れた。っていうか、この口調疲れるんだよねぇ』


口調の急変に目をパチクリさせる二人をよそに、淳は戦闘機下部に回り点検をして行く。


(あちゃ、こりゃダメだな。完全にショートしてやがる。交換できたらいけそうだが……戦場でそんなことやってたら狙われるよな)


周囲を見渡すと、戦闘機の破片がいくつも転がっているが、使えそうなのはない。それに、動けそうな機体もない。

ここで周辺で一番損傷の激しくない戦闘機はこの“Hydra”のみだろう。


戦闘機を弄っていると、先ほどの訓練生の片割れ……出ているところは出ていて締まるところは締まっているのを見るに、女の方だろう。が、近寄ってきた。


『何をしていらっしゃるんですか?』


通信機から聞こえてきた声に、淳はそのまま答える。


『この戦闘機を使えるようにできないかと思ったんだが、無理そうだ。周辺に使えそうな部品もないしな』


そこで、ふと気付く。


普通なら緊急脱出ポッドが作動し、ここには人っ子ひとりいないはずであるが、ここに二人いる。

その二人の機体はどこか損傷をして脱出ポッドが作動しなかった。

けど、二人は生きている。それも見る限り無傷の状態で……。

イコール、戦闘機が無事だということを示している。


しかし、戦闘機が動くならば戦闘機で帰るはずだ。


『お前達が乗っていた戦闘機はどこにある?』


淳がそう問うと、女は戸惑いながらもある方向を指差す。

その方向には左翼のほとんどを失い、燃料を撒き散らしている戦闘機が存在していた。


『……あれならばいけるかもしれない』


すぐ傍にいる女にも聞こえない声でボソッと呟き、背中のジェットを吹かせて戦闘機に近づく。


戦闘機は淳の見立て通り、左翼以外の損傷は見られず、電子機器も正常だ。

この電子機器を取り外し、Hydraのと交換したらHydraは動くかもしれない。


そう考えた淳は、先程の整備で問題のあった電子機器のみを取り出し、Hydraに戻り、交換する。



コックピットに戻った淳はそのまま再起動を繰り返し、ついに復旧した。

ゴォォゥンという音を立ててパラメーターなどが全て回復する。


《再起動を確認しました。……機体損傷〔中〕。これより、自動修復を起動します》


AI特有の機械の声が脳内に響く。

この声は淳にしか聞こえていないようで、他二人が反応している気配はなかった。

機体とのリンクはまだ切れていなかったのだろう。


《自動修復プログラム……正常な起動を確認》


自動修復が始まる。


破損した箇所が赤熱化し、赤くなって行く。その後、赤熱化した部分が損傷した部分を侵食していき、赤熱化が収まる。

そこには何事もなかったかのような、傷一つ付いていない機体があった。


《自動修復プログラムの実行を停止。パイロット:ブラッケン・ニコラスの確認が出来ませんでした。AIの操縦に切り替わります。

外部に生命体を確認。訓練生:ニーナ・シュラウズ 訓練生:ケレン・シュラウズ。保護プログラム起動、保護プログラムの実行に移ります》


戦闘機下部が開き、二人の訓練生を保護してからエネルギー燃焼が始まる。


『母艦:シュデイルングまで自動操縦で頼むよ。不測の事態が起こったら教えてくれ』


《了解しました。主人様マイマスター





戦闘機が戦線に到着すると、悲惨の一言に尽きる光景が広がっていた。


原型を留めている艦は少なく、殆どがズタボロだった。

最強の艦と謳われたシュデイルング号でさえ、原型をギリギリ留めている形なのだ。

どれだけの戦闘がここで繰り広げられたのか想像もつかない。


『『……』』


保護した二人もこの状況に絶句しているようだ。


“Hydra”が生命探知機を周囲に放つと、数十名の生存者が確認できた。


しかし、直ぐに助けに行くことは出来ない。助けたい気持ちは山々なのだが、パーペチャルが足りないし、この戦闘機だけで全ての人を……というのは無理だ。


まずは、シュデイルング号の大穴から戦闘機を侵入させて、適当な場所に着艦させる。


そこから、三人で戦闘機を降り小型宇宙船を見つけ出し、再び艦の外に出る。そこには既に護衛として待機している“Hydra”がいた。


『お前……別に付いてこなくてもいいんだぞ?』


《私には主人様マスターしかいませんから》


『くそっ……AIのくせに泣かせてくれるぜ!』


そんなやりとりをHydraとしながら、人が大勢集まっている場所にたどり着いた。

そこは、〔超高硬度避難所シェルター〕と呼ばれる区画だった。

外見はもう既にボロボロだったが……


さすがに、反物質粒子砲の前では卵の殻程度の防御力に過ぎないが、荷電粒子砲程度の攻撃力ならば超至近距離で撃たれても凹む程度で済むだろう。

そして、艦の残骸を見るに、爆風と天使の砲撃によって壊滅したものと思われるため、シェルター内部は大丈夫なはずだ。

まあ、内部でスプラッタになる恐れもあるのだが、生存反応があるので大丈夫だろう。


収容可能人数よりかなり少ないが……


小型宇宙船を降り、ケレンと二人でシェルターを開けて行く。

シェルターの出入り口は認証型の自動ドアで、その認証機は壊れて全く動かない。なので、力尽くで開けるしかないのだが、シェルターだけあってミサイルなど通用しないし、もし通用したとしても、中にいる人達が危険だ。


どうしたものか……そう考えていた時、ケレンが棒状の何かを取り出し、その先端を出入り口部分に当てる。

キィィンという機械音がなり、振動し始め……

当てた部分を中点として半径1メートルが消し飛んだ。


空気がこちらに流れ込んでこないということは、シェルター内部は既に宇宙空間と同じ状況にあったと考えていいだろう。

宇宙空間でも使える懐中電灯をとりだし、内部に進んで行く。


シェルター内部はもぬけの殻だった。

非常用の食料飲料水はあるのし、先程まで人が生活していた気配がある。

しかし、所々の床や壁に血が付着していたり、汚れた包帯があることから襲撃を受けたのか、怪我人がいたのか……


レーダーにはこの区域に生命反応がある。天使は生命体ではないのでこれには反応しないため、天使ではないことは明らかだ。

油断大敵という言葉があるように、油断はしないが、そこまで神経質になる必要はないだろう。



どこを探してもいない。


障害物の無いこの空間で隠れる場所なんて無いとは言い切れないが、少ないだろう。

部屋の隅々まで探しているのにいないということは、隠し部屋でもあるのだろうか?


そんなことを考えながら壁伝いに歩いていると、一部篭った音がすることに気がついた。


叩いてみると、やはり違う。


『おい、ここに何かあるぞ』


無線とジェスチャーでケレンを呼び寄せる。


『どうしたんですか?』


『ここだけ音が違う気がするんだよ。何があると思う?』


証明のために怪しい壁と怪しく無い壁とを叩き比べながらケレンに問う。


『やはり、隠し扉でしょうか? それ以外だとすると、ダストシュートでしょうか?』


『隠す必要あるか?』


『『……ないな(ですね)』』


二人揃って否定をし、ここの扉を開ける物を探す。

壁に手をやっていると、一部が凹むことに気がついた。そのまま押し込んでやると……


《宇宙特化型戦闘機“Hydra”パイロット:杉本淳。指紋認証を確認しました。一歩下がってお待ち下さい》


押し込んだ場所がいきなり光り出したと思ったら、今度はAI特有の音声が流れてきた。

指示どうりに一歩下がって待つこと数秒。重厚な音を立てながら隠し扉が横にスライドした。


隠し扉の向こうでは一般市民用の宇宙服を着た者が数十名とこちらに小銃を構えている人が数名。幹部クラスの宇宙服を着た人が数名という感じだった。

その中の幹部クラスの一人が一歩こちらに踏み出し、声をかける。


『君達は………生きていたのか』


踵をくっ付け、敬礼しながら答える。


『宇宙特化型戦闘機“Hydra”パイロット:杉本淳。生存者は多数。ここを救助した後に救助しようと考えております』


隣にいるケレンも淳に習い、自身の名前や訓練生であることを告げた後に、また別の幹部から質問を受ける。


『多数というのはどれくらいかね?人数によっては全員助けられぬかもしれぬ』


『そこらの御心配は御無用かと……』


『ほう?』


『小型宇宙船で参りましたので』


その言葉を言い終えると、正規軍人の隙間を縫って飛び出してくる人影が目の端に映った。

110センチにも満たない身長なため、大人ではなく子供だろう。


その子供に目を凝らして名札を目で見ると……


『パパっ!』


杉本 あおいと書かれていた。





その後、幹部たちの指示により、青色の水晶体(半径2メートル程)を回収してから、パイロットたちの救助に向かった。


驚いたことに、指揮をとる神が居らず、天使たちが混乱していた。

そのため救助はスムーズにいったのだが……何故、神は消えてしまったのだろう。

あの爆発で天使が生き残っているのに神が生き残らないなんて有り得ないし、仮に有り得たとしても何故天使たちが混乱に陥っているのかわからなかった。


まあ、救助が安全に行えるのならば良いのだ。


さて、先程淳のことを“パパ”と呼んだ子供のことだが、淳の子供だった。

今は母親と一緒に船内で休憩しているだろう。



《哨戒天使エンジェル一体が接近中。戦闘態勢に移行します》


『攻撃は任せたぞ』


《Yes my master》


どうやら天使たちは立て直したようだ。面倒臭い。

いや、面倒臭いだけで済まされることではない。小型宇宙船がすぐ側にいて、それを守りながら天使と戦わなくてはならないし、他の天使に気付かれたらお終いだ。しかも、小型宇宙船を守っているのは“Hydra”一機のみ。

他の戦闘機は自己修復中や燃料補給中で使い物にならない。


最悪、小型宇宙船の防御機能にも頼ることになるかもしれない。

あくまでも自衛の為にしか付いてない武器なので当てにできるかどうか……まあ、贅沢は言ってられない。


操縦桿を握り、天使の背後に着くような位置どりをする。

現在はすぐ真下を天使が通っている。

今降下すれば最適なタイミング&ケツを取れる。しかし、武器の装填が済んでいない。弾詰まりが起こっているようだ。


《申し訳ありません。後5秒ほどお待ち下さい》


『3秒だ!3秒で頼むっ』


これ以上最適な場所を維持するのにも限界がある。すぐ目の前には超巨大なスペースデブリがある為、5秒なんて待ってられない。

あのスペースデブリに到達するまでにケツを取らないと天使に気付かれる恐れがある。


『も、もう限界!降りるぞ!』


スペースデブリに当たっては元も子もないし、避けても降下してケツを取っても気付かれる。

ならば、少しでも天使を呼ばれない方向に賭けるべきだ。

そう判断して降下する。


戦闘機下部から光の軌跡が走ったかと思えば、天使に直撃。

機関砲が火を噴き(実際には火は上がりません)、錐揉み状態になっていた天使に風穴を開ける。


《さて、帰りましょう》


顔を見なくても分かる。


――こいつ絶対にドヤ顔してる――





あれから一ヶ月がたった。


今では戦闘機も全機が復活しており、一つの小型宇宙船の護衛に三十機余りの戦闘機がつく。という異常なことになっていた。


しかし、戦闘機が只々多いだけで、武器弾薬が心許なくなってきている。

なので、一番近い基地に向かうことにしたのだ。

幸いにして目的地と一番近い基地が、一緒で人類発祥の星で人類最強で最後の砦とも言われている場所だった。


要塞都市【アルカルディア】。人々には“ファイナルフォート”と呼ばれ、収容人口は約70億人。

要塞都市というだけあって防衛機能は勿論のこと、警備機能もしっかりしている。

外見は物々しい雰囲気に包まれた都市だが、一度中に入って仕舞えば、外はなんだったのかと思うほど平和で活気にあふれている街だ。


星の大気圏に突入し、そこで通信が入る。


『こちらアルカルディア宇宙軍基地。小型宇宙船E126、また、護衛戦闘機に告ぐ。所属とここにきた目的を言え』


『こちら小型宇宙船E126。当宇宙船は艦隊の壊滅のため逃げ延びた者たちが乗っている。所属はバルテック艦隊、護衛戦闘機も所属は同じだ』


『………っ! バ、バルテック艦隊ですかっ。こちらでは対応できないため上空待機をお願いします』


『こちらとしては燃料が尽きそうな為早く着陸したいのだが』


『で、ですが……』


『シュデイルング艦長。この名を言えばわかるだろ?』


『し、失礼しましたっ! 事後承諾という形にさせていただきます』


下っ端が勝手に決めていいのかと思うが、シュデイルング艦長の名前を出されてしまっては逆らえない。

シュデイルング艦長は宇宙軍トップ3に入る程階級が高く、事後承諾でも問題ないだろうという判断だった。


下っ端君がその後わかることだが、これを断って上空待機を再度お願いしていたら首が飛んでいたそうだ。



小型宇宙船がすっぽり入る程の着陸場所が下から出てきて、そのまま垂直着陸する。その後、着陸した場所が地面の中に沈んで行き、基地内に収納される。





その後、三十年・・・は平和が続いた。

宇宙のどこかしらで戦闘があるかもしれないが、少なくともアルカルディアは平和だった。


しかし、平和な世の中は唐突に崩れ去った。


天使の軍勢がアルカルディアに攻め、警備システムが暴走。

天使の軍勢を追い払えたはいいものの、警備システムの暴走は止められなかった。


自分たちの主人である人間たちを天使と認識し、攻撃を始めたのだ。


人間の生活圏は少なくなり、大多数の人間が死んだ。





「それが、ここ……。この村は、アルカルディアの一角に存在する」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ