初めて町に行く!
2話連続投稿です!
楽しめていただけたらと思います。
前回、妖狐の異世界転生で出したのですが、なぜか次話投稿が出来なかったので、新しく作りました!
どうぞよろしくお願いいたします。
10話までは、一人称を三人称にしたので、読みにくいかと思いますが、11話以降は元から三人称で書いているので、読みやすいかと思います。
特殊機動隊員6人に向かって6発の弾丸を発射。4発は眉間に吸い寄せられるように向かっていき、撃ち抜くが、残り2発はヘルメットに弾かれた。
残った隊員2人は突然の仲間の死と、奇襲により一瞬だけ戸惑ったが、すぐに身を低くしてすぐにあたりの警戒を強めた。
もう一度狙いを定めて射撃しようとするが木々が邪魔でうまく狙いが定まらないので一旦移動する。
パキッ
(あちゃ……)
足元の小枝を踏んでしまい、決して小さくない音があたりに響く。
自衛隊員2人はその方向(サトナスの方向)に牽制射撃を開始。
(やばいやばいやばい……!!)
一刻も早くこの場所を抜け出すために走り出そうとするが、視界の端に“猫耳”少女の姿が見えた。
少女はサトナスを挟んだ隊員の直線上にいるため隊員が放った弾丸が少女の方に向かう。
身体はサトナスの意思に関係なく少女を抱きしめかばうようにして……コートの合間を縫って飛翔して来た弾丸が身体を貫く。
「ぐっ!」
苦悶の声を上げ、サトナスは地面に倒れこみ大量の血が出ている腹を抑える。
だんだんと視界が暗くなって来て、最後に見た光景は少女が光の粒となって消える姿だった。
(空間投影技術か……科学も進歩したもんだな)
あれから何時間たっただろうか?
今、宇宙にいる。いや、宇宙みたいなところか?
しかし、そんなことはどうでもいい。
死んだはずだ。なのにここでいきている。
意味がわからない。
特に何もすることがなかったので手遊びをしていると光の柱が現れ、光が収まると白い椅子に座った。美少女?それとも美少年?とにかく外見でも服でも性別がわからない。
「あなたは死にました」
「知っている」
こいつ何言ってんだ?そんなこと知ってるんだよ。そう思うサトナス。困惑の色も浮かべずにそういうと、
「えっ!?知ってるんですか?ほとんどの人は死んでないと思ってますから……すみません。それであなたに選んでもらいたいんですが」
「選ぶ?何を?地獄か天国どっちに行くか選べってか?そんなん強制的に地獄じゃねぇの?」
「なんでです?」
「俺、殺し屋だったんだよ?」
「え!?殺し屋!?もしかして間違えちゃった!?」
そう言って手元に置いてあった分厚い本をパラパラとめくり、顔を青くする。
(さっきから驚きすぎじゃないか?)
「どうしよう……間違えちゃった…………ま、いっか」
「軽いな、おい!」
「まあまあ、で、選んでもらいたいのは輪廻転生するか天国に行くかどっちがいい?僕たち的には輪廻転生して欲しいんだけど…最近天国に行く人が多くて超少子高齢化問題がすごいんだよね〜日本って」
「輪廻転生?興味深いな……詳しく教えてくれ」
「本当!?ありがとう!!」
「いや、まだ輪廻転生するなんて言ってないからな?」
「まあ、説明するだけするよ。輪廻転生にはどこかわからない場所で生まれ変わるってこと。今は特別サービスで1つだけ願いを叶えることができるよ。あ、1つじゃなくて3つに増やせとかの願いは無理だからね」
「どこかわからない場所?」
「そう。この地球じゃないかもしれないし、地球かもしれない。地球だった場合は記憶が消されるけどね」
「地球じゃないところなら記憶は残るのか?」
「まあね。だけど地球じゃない場所に輪廻転生するなんて何百万人に1人いるかいないかって確率だよ」
「そうか……じゃあ、輪廻転生するよ。願いはそうだな……俺が所持していた武器一式ってのはどうだ?」
「それは無理だよ。どれか1つだけだね」
「じゃあ、バタフライナイフを転生した時に持っていたい」
「バタフライナイフ?まあ、いいか。じゃあ、その魔法陣の上に立ってね」
そう言うと空中に魔法陣と呼ばれるものが出現したので、言われた通りに魔法陣の上にたつと魔法陣が高速回転し、光始める。
「んじゃ、バイバ〜イ」
「あ、ちょっと待て!このネックレスを俺の娘に届けてくれないか?」
「わぁ、可愛い猫ちゃんのネックレスですね」
「女の子だったんだな」
「んんっ!ですが、あなたに娘は……」
神様?は無理矢理話をそらすように咳払いをしてから娘のことに話を変える。
「養子ですよ」
「あ、そういえばいたね……りょーかい!ちゃんと届けときます!それでは今度こそ……バイバーイ!」
気の抜けた別れの声を聞きながら目を閉じる。
これまで、神と名乗る人物に話を合わせていたが……
さて、次はどうな世界だろうか。
サトナスは狐面のキーホルダーを握り締めながら思う。
目を開くと雲がかかった夜空が広がり、雨が降っている。
寒い……さっさとどこか雨しのぎでもするか。
そう思って手足を動かすがあんまり動かない。
自分の手を見てみると赤ちゃんみたいなプニプニの関節がどこにあるかわからない腕、物凄く小さい手。
周りを探って見てわかったことだが竹籠の中で毛布みたいな布で覆われているようだ。
その傍らにはバタフライナイフがある。
あれ?ちょっと待てよ?記憶が残っていると言うこと地球じゃ無いどこかに転生した?だが、それがわかる術がない。
そのまま思考の海に沈んでいくと不意に馬が歩く蹄の音と映画で聞いたような馬車の音がして来たので、助けを求めるために声を出そうとする。
「うぎゃ、うきゃゃゃやや!」
!?声が出ない……面倒な…しかし、声を出さないよりかは出して気付いてもらう方がいい。
そう考えた元サトナスは再度赤ちゃんの泣き声を大声で出す。
「うぎゃゃゃややや!うぎゃゃゃややや!」
声に気付いたのか、馬車は元サトナスの側で止まり1人の自分と同じくらいの赤ちゃんを抱いた女性と、その女性と同い年くらいの男性が馬車から降りて来た。
「&#/&g__/yklgk&/&_@@g」
「_/&&jvtg/@#&&#mjpogl&@&/」
何語だ?知識にはない言葉ということは、ここは絶対に地球ではない。
余談だが、サトナスは地球の全ての言語を使うことができる。
しかし、これから覚えていけばいいだけのこと。自慢ではないが知らない言語でも最大1週間で覚えられるのだから、子供になった今ならばもっと早くに習得できるだろう。
まあ、それもこの人達が拾ってくれて死ななければの話だがな。
急に眠気が襲って来た。
これくらいなら耐えられるが、身体が子供になってしまったために抵抗が難しくなっている。
(くそ……子供の身体、不便だ)
結局、眠気には抗えずに意識が闇に沈んでいく。
意識が覚醒して、目を開けるとそこは中世ヨーロッパを彷彿とさせる室内で、隣には先程の女性が抱いていた赤ちゃんが眠っており、反対側にはバタフライナイフがおいてある。
しかし、開けられた形跡がないのでただの金属の棒だと勘違いでもしたのだろう。
赤ちゃんの側にナイフなんて置くわけがないからな。
金属の棒を赤ちゃんのそばに置いておくのもどうかと思うが……
そんなことを考えていると先程の女性が部屋の扉を開けて中に入って来た。
(やはりこの人達が拾ってくれたのか……感謝せねば)
その女性は近くに椅子を持って来た後に俺を抱き上げて母乳を飲ませる。
流石に少し動揺したが、生きる為には必要なことと割り切って飲む。
そんな日々が続いて行き、1週間が過ぎた頃には何となく言語が理解できるようになった。
まだ、本を読ませてくれないので以前みたいに勉強ができずに習得スピードが遅いのだ。
言語が何となく理解できるようになってわかったことだが、サトナスと同じくらいの赤ちゃんはフィリル(女)。フィリル・アーカイド。サトナスの新しい名前がシャイト・アーカイド。育ててくれたので、母さんと呼ぶことにした女性はシャリル・アーカイド。同じ理由で父さんと呼ぶことにした男性はフェイト・アーカイド。
そしてこの世界の名がアルシャファル。
地球ではない。
文明レベルはよくわからないし、地域によってバラバラなのだ。けど、一番発展していると思われる国でもまだ短銃ができたばかりで戦闘や一般には出回らず一部の人間のみが所持できるくらいだ。戦闘に使用されているのはマスケット銃だろうか……それでもかなり貴重な兵だ。そうそう戦争や紛争に出張ってこないだろう。
そして、一番驚いたのが、魔法があることだ。
(剣と魔法のファンタジー世界、マジであったんだな……)
シャイトが1人で歩き始めたのは言語が何となく理解できるようになってから3週間後だった。
母と父は自分の子供のように喜んでくれてなんか久しぶりに嬉しいと感じた。
さらに3ヶ月の時が過ぎ、完全に言語か理解できるようになった。
そしてさらに7ヶ月…この家に引き取られて1年が経過した。
フィル(フィリル)も1人で歩くことができるようになった頃、シャイトはこの世界の本を読みまくっていた。
母さんの部屋には大量の本があったので、母さんに許しをもらってから読んでいる。
母さんと父さんはただ眺めているだけだと思っているようだが……。
大量の本を読んでわかったことだが、この世界は地球と一緒でこの世界は4年前に魔王という厄災の種が生まれたが、勇者一行に倒されたらしい。で、その勇者一行の勇者と魔法師が父と母らしい………。
(マジであんのね…こんなテンプレ
っていうか、俺の親って勇者と魔法師なの?)
また、そのほかの本、例えば魔導書なんかを読んでいると、この世界の魔法師は大気中の魔力を操り、魔法を使うようだ。
ってことは魔力切れみたいなことはないのか……。
その後に気づくことだが、大気中に存在している魔力を使うことにも体力みたいのが必要で、それを魔力量という。このキャパティシーを超えると気絶する。
ゲームなどでいう魔力切れのようなことが起こるのだ。
なので、シャイトが思った魔力切れが起きないというのは間違いでもあるのだ。
シャイトは魔法を使ってみたくなったので大気中に意識を集中する。
殺し屋時代に研ぎ澄まされた感覚を使って大気中の異物を探すと、確かに、地球では観測されない物質が混じっていたのでそれを身体を軸に回らせるイメージをすると大気が俺を中心に動き出す。
(おおっ!これが魔法か……何と素晴らしい)
そのまま大気中の魔力を動かしているとドアが勢いよく開かれる。
「あ、かあさん」
「シャイト!?なんで魔力を操れるの!?大丈夫なの!?」
母さんはとても心配そうに俺を抱きしめながら問うてくる。
「なんのもんだいもないよ」
「それなら良かったけど5歳になるまでは魔術禁止だからね」
母さんがそういうと大気中の魔力が母の指先に集まり出してシャイトの胸を軽く突く。
「これは5歳まで魔力が操れなくなるおまじない。5歳になるまでは魔力を使わないことよ?わかった?」
「うん」
それ以外に返しようがなかった。
呪術の類なのかわからなかったが、魔力を感じ取ることが出来なくなっていた。
そして3年が経過し、シャイトとフィルが4歳の頃。
中庭でしか遊んだことがなかった俺だが4歳になったことを機に外へ連れてってくれると父さんが言ってくれたので外に出かけることになった。
「シャイト、準備は出来たか?」
「うん。じゃあね母さん、フィル」
「言ってらっしゃい。あんまり遅くならないようにね」
「フィルも行きたい〜!シャイトだけずるいよ」
フィルが駄々をこねるが母さんとあした一緒に行くことで納得したようだ。
今住んでいる家は森の中にあり、世間から隔離されている場所にある。
その為、週に一度だけ町に買い出しに行くのだ。
今日はその買い出しの日だ。
父さんに馬の背中に乗せてもらって街に行く。
一応、バタフライナイフを腰に引っ掛けとく。
町までは馬で走らせて約30分、その間に魔物と呼ばれる動物が襲いかかって来たが、父さんが馬から降りて素手で殴り倒した。
お〜、すげぇ……
こんなことで感嘆を漏らしてしまったのはシャイトが対人戦闘のみを習得していた為、獣を相手とする体術を間近でみたからだ。
町についたがは特に大きくもなく小さくもなく、人口3000人だそうだ。
その町で適当に買い出しを終えて、2人で昼食を取ってからさっさと家に帰る。
なんで町をぶらぶらしないのかと尋ねたところ、父さんが町でぶらぶらしていると騒ぎが起こるかららしい。
信じていなかったわけじゃないが、本当に勇者なんだな……
町から家に帰る途中に父さんが口を開く。
「シャイト、将来何になりたいとかあるのか?」
おいおい、4歳児に聞くもんじゃなくね?
「そうだね……殺し屋か魔法師になりたいかな」
「こ、殺し屋?なんでそんな言葉知ってるの?」
あ、ついつい口が滑ってしまった…
「ど、独学だよ」
「独学ねぇ、でも、殺し屋と魔法師じゃ全然違くない?」
「夢だよ夢。4歳児に何聞いてるの?」
「夢が殺し屋って……まあ、そのうち考えも変わるだろう」
そんな感じで父と話しながら家に帰る。
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