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妖狐の異世界転生旅  作者: ポポ
第1章 死そして転生
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第一話

 チリンチリン


 ダッフルコートのフードを目深に被った1人の男が入って来た。


 ここは東京都の路地裏にある小さく落ち着きのあるバー。照明はオレンジ色をしており、カウンター席のみだ。


 今この空間にいるのはマスターと元からいる男サトナス、それと先程入って来た男の3人だ。


 その男はサトナスから1つ開いた席に座り、ウィスキーのロックを注文する。

 ちなみにサトナスはウィスキーのストレートだ。


 男は何も喋らずに黙って座ったまま動こうとせず、マスターは注文のウィスキーと1枚の紙を手渡す。


 男は、ウィスキーと紙を受け取ると紙に何かを書き始め、紙をカウンターの上で滑らせ渡してくる。


 内容は…


『2222 11 33 33333 111 2 000 1 000 3 444

 66666 111 33 88……100000000

 22 2222 000……5』


 これは暗号だ。


 ガラケーで打ってみると直ぐにわかるだろう。

 まあ、実際には……


『警視総監暗殺 報酬…1億 期限…5日』


 と書いてあるのだ。


 この文章から見てわかるようにサトナスは殺し屋だ。ハンドルネーム【サナトス】(ギリシャ語で死という意味)とも呼ばれており、最強で最凶と恐れられている。

 主な活動区域の指定はない。世界中飛び回っていて、今は日本に来ている。


(しかし、警視総監暗殺が1億か……もうちょっとあってもいいんじゃないんか?)


 難色を示すと男は慌てて報酬を3億にあげた紙を渡して来たのでサトナスは2枚の紙をくしゃくしゃに丸め、灰皿においてちょっとだけウィスキーをかけてからマッチで火を付ける。

 これは俺の「受ける」という意思表示でもあるし、証拠隠滅でもある。因みに、これをライターで火をつけた場合は、受けないという意味だ。


 そのあとは3億の1割、3千万と書かれた小切手をマスターに渡してからバーを出た。

 ここ最近の日本の情報とここを使わせて貰っている代金だ。


 まず最初に向かったのは日本で活動するのに絶対に必要となる仮の拠点だ。

 いつでも証拠隠滅や逃げられるように細工はしてある。


 30階立ての高層マンションの29階の端っこの部屋。鍵をあけて中に入り、侵入者がいなかったかどうかの確認しからクローゼットを開ける。


 中には、

 * ボルトアクションライフル3丁

 * 大型自動拳銃2丁

 * 中型自動拳銃2丁

 * 小型自動拳銃1丁

 * C4爆薬2キロ

 * コンバットナイフ2本

 * サバイバルナイフ4本

 * バタフライナイフ2本

 * スローイングナイフ20本

 * 自動完全遮音機

 * 防弾防刃コート

 * 暗視ゴーグル

 * 戦闘用ブーツ

 * 防弾防刃手袋

 * 弾(全て合わせて)2千発

 が入っており、警察に見つかったら銃刀法違反で即刑務所行きだ。


 ヒップホルスターに中型自動拳銃、左右のショルダーホルスターに大型自動拳銃1丁ずつ、左右のレッグホルスターにコンバットナイフ、戦闘用ブーツの靴底にスローイングナイフ4本ずつ、防弾防刃コートの内側に弾が入った弾倉マガジンをそれぞれ6つずつ(合計18個)とサプレッサー3本を入れて、全て装備し、暗視ゴーグルと自動完全遮音機をつけたらクローゼットを閉める。すると、自動的に鍵が掛かる音が聞こえた。


 これを無理矢理開けようとすると中にあるC4爆薬が全て爆発し、部屋中に仕掛けた爆弾が爆発する仕組みだ。

 そして、それを感知した火災報知器から出るのは音ではなく引火性が高い液体。ほとんどのものが燃えてなくなり、証拠などほとんど残らないだろう。

 しかも、引火した炎は摂取三千度を一瞬だけ超えるので、なんでも溶かしてしまう。銃の品番や大きさ、経口などは全く分からなくなるだろう。


 その仕掛けを全て確認してから、玄関の扉を開けて鍵を閉め、マンション駐輪場に止めてある愛車(1800cc)に跨り、エンジンをかける。

 1800ccもあるのかと思うほど静かなエンジン音で情報収集に向かう。


 まず最初に向かった先は警視総監の部屋が見える高層ビルの屋上。


 直線距離で1.5キロも離れているが全く問題ないほどにはっきり鮮明に見える。勿論肉眼ではなく、双眼鏡を使うが。




 3日間情報収集に徹したことでわかったことがある。

 これはサトナスを誘い出す罠だ。

 しかし、諦めるや、依頼失敗という選択肢はないので明日を実行日にする。

 残り1日はもしも全ての策が失敗した時のために1日だけ残した。


 策は罠だとわかっているので120通り作っておき、翌日の朝になる。


 実行するのは今日の午前11時。

 午前中に仕掛ける。この時間帯なら警視総監は警視総監室におり、誰もこない時間だ。

 簡単にいうと警備が薄くなるのだ。まあ、警視総監室だけだが……。


 とにかく、情報収集の時と同じ格好で警視庁に向かい、堂々と中に入る。


 そのままハッキング用のカードを使い、難なく潜入完了。

 屋上に向かい命綱無しにロッククライミングの要領で壁を伝い、ヒップホルスターからサプレッサー付きの中型自動拳銃を構えて警視総監室の窓を覗き見る。


 窓は高硬度の防弾ガラスで外からの銃殺は不可能。

 ならばガラスを無理矢理割ろうかとも考えたが割っているのを警備に見られ駆けつけて来られたら面倒なのでやめておく。

 あとは、ガラスを軽く叩き中の空気を振動させ、相手の血液を突沸させてから殺す方法が残っているが、この方法はあまり使いたくない……グロ過ぎるからだ。


 しかし、いつまでもここにいるのはまずい……目立ちすぎる。


 俺は目立つより、手札を1枚切ることを選び、コンバットナイフを引き抜き、警視総監に気づかれないよう慎重に、地道に防弾ガラスを“切って”いく。

 このコンバットナイフには高周波振動という仕掛けが施されているので、時間を掛ければなんでも切ることが可能だ。


 防弾ガラスを切断し終えたらさすがに警視総監も気づく。

 警戒の声や人を呼び寄せる声など様々な声を上げるがどこ吹く風と涼しい顔で受け流す。


 警視庁の警備システムを気付かれない程度に乗っ取っているのでサトナスが許可しない限り、ここに人が来ることはない。(目視でこの状況を確認しない限り)


 音も無く警視総監の背後に立ち両手首、両脚の腱、喉元を切り裂く。

 全ての動作を終えるまでに2秒もかからなかった。


 警視総監を殺した後は切り裂いた窓から飛び降り、警視庁から抜け出した。


 日本で拠点としている部屋に戻ったサトナスは警視庁の監視カメラ映像を全て削除する。





 次の日の朝のニュースでは警視総監の殺害とその犯人と思われる人物が報道された。


 それは警視総監室の中に偶然あった隠しカメラの映像だった。

 もちろんバッチリと顔が写っている。


 殺しの瞬間も映し出されており、言い逃れはできない。この映像が証拠となるだろう。


 しかし、こんな映像。どこから出回った?昨夜の内に全ての監視カメラ映像は削除したはずだが……しかし、ここに留まっているのも危険だ。既に居場所は割れているだろう。


 持てるだけの武器弾薬を持ち出し、部屋の爆発ボタンを1度だけ押してから、愛車で東北方面に向かう。


 エンジンをかけて走り出したところで背後からとてつもなく大きな爆発音が聞こえてきた。


 爆発には全く振り向かず爆発音で止まった車の間をすり抜けて進む。


 途中で銀行によりダミーで使っていた口座からある孤児院宛に今まで貯めてきた半分の金(今回の報酬も合わせた)約68億円を振り込み、ひたすら東北方面に愛車を走らせる。


 ぶっ続けで何時間運転しただろうか……

 正直時間など全然気にしていなかった。

 乾いた空気の空は夕焼け色に染まっており、とても懐かしく感じさせてくれる。黄昏よりかは早く、夕方よりかは遅い時間帯だ。


 高速を降り山道を登って行き、一軒のボロい通常の民家よりは大きい建物の前にバイクを止める。


 ここは俺が育った孤児院だ。

 さっきの68億もこの孤児院に振り込んだ。


 インターホンを鳴らしてから玄関の扉を叩くと歳を感じさせぬ外見二十代の女性が出てきた。


「お久しぶりです。先生」


 サトナスが先生と呼んだ女性はいきなり泣き出し、抱き寄せる様に寄りかかってきた。


「どうして殺しなんてしちゃったのよ……」


「やはり見ていたんですね。それより、先生まだお若いですね」


「何言ってるの!?殺し屋でもしてるっていうの!?」


(先生は俺の仕事を知らなかったけな……)


「はい。これでも最凶と呼ばれる殺し屋にまで上り詰めたんですよ」


 俺の言葉を聞くと先生は腕を引っ張り、孤児院の応接間に連れてきた。


「この孤児院であなたを匿おうと思います」


「!? それはダメですよ!それじゃ先生まで犯罪者になってしまいますし……それに、今回は俺がドジったせいですから」


 完全に警視庁の情報網を掌握していればこんなことにはならなかったのだ。


「それに、ここにはもう迷惑をかけられません……子供達に会わせてもらえますか?最後に見ておきたいんで……」


「最後って言わないの。いつでも帰って来ていいのよ。ここがあなたの帰る場所なのだから」


 先生はそういうと立ち上がり子供達がいる場所に案内してくれる。


(物分かりのいい先生で助かった)


 子供達と最後のひと時を過ごし、見送られながら孤児院の前に止めてあるバイクに跨る。


「先生、今まで育ててくれてありがとう。いつかまた会いましょう。あ、それから今後が楽になるプレゼントもあるんで楽しみにしといてください」


 泣き顔を見られないようにフルフェイスのヘルメットを被り神奈川方面に向けてバイクを走らせる。




 今回は警視庁ではなく県警に向かう。県警を目視で確認し、安全を確保してから、県警のロビーにバイクで派手に乗り込みコートの内側に隠していた大型自動拳銃を天井に向けて4発射撃する。


 ダンッダンッダンッダンッ


「聞け!!俺はハンドルネーム【サナトス】!警視総監を殺した張本人だ!!」


 コートの内側に隠したナイフや拳銃を見せ、交渉を開始する。


「動くな!!手を上に挙げ、武器を全て下に下ろせ!」


「うっせーな!!黙ってろ!俺は取引にきた!」


「取り引き?」


 ここで指揮を執っていた人が口を開いた。


「そう、取り引きだ。俺の要求は、俺の縁者に手を出すな。その代わり警察には俺の身柄を確保することが出来る。どうだ?いいだろう?」


「そんな事をするより、ここで君を取り押さえてしまえばいいだけだ」


 そういうと俺の周りを取り囲むように機動隊が盾と銃を構えて整列する。


「それはどうかな。俺は最凶と恐れられている殺し屋だ。こんな簡単に行くと思っているのか?それからこれは取り引き不成立ということでいいのか?」


「そうとってもらって構わないよ」


「馬鹿め……お前の出世街道はもうここで終わったな」


 バイクを降りたサトナスは瞬間に靴底に仕掛けておいた投げナイフを2本取り出し、投げると見事に機動隊の2人の脳天にクリーンヒットして倒れる。

 機動隊の銃撃が開始されるが、必要最小限の動きで弾丸を避け、避けられない弾丸はバイクを盾にしたり、コートの防弾性を活かし弾道をずらす。

 その間にも2丁目の大型自動拳銃をショルダーホルスターから取り出し、一点集中で射撃を開始。

 全弾全てを急所に撃ち込み、包囲を崩す。崩した場所から愛車で脱出して牽制射撃を行いながら行くあてもなく走らせる。


 後ろからはパトカー3台、白バイ4台が付いてきて、停車を呼びかけるがそんなもの知ったことか。というか逃げた相手に停車の呼びかけとか馬鹿なの?


 そのまま3時間ほどカーチェイスしても白バイ2台は撒けなかったので、白バイのタイヤ目掛けて2発発砲。

 見事2発ともヒットして転倒させることに成功。そのまま近くの山道に入り野宿して一夜を明かす。


 一睡もせずに警戒していたためかなり疲れたがこのペースなら4日は持つだろう。

 山に朝靄がかかり始めて……右斜め300メートル先の木の陰に向かって発砲。

 何かが倒れた音がする。

 近づいてみると迷彩服を着て対人狙撃銃背負った人。


(自衛隊?自衛隊まで出て来たのか?しかし、自衛隊の出動なんて許されるのか?いや、自衛隊じゃない……警察の特殊部隊だ……日本の警察もやるな)


 そんなことを考えていると3方向から同時に弾丸が迫って来たので、音だけを頼りに避ける。


 ここは危ない…移動しよう。


 牽制射撃を弾丸が発射された3方向にしながら愛車の元まで走る。

 しかし、愛車の近くまで来ると愛車のタイヤに1発の弾丸が迫る。が、防弾タイヤなので何発も同時に撃たれたならともかく1発だけなら軽く弾き返した。


「よくやった」


 愛車に一声かけてから跨りエンジンをかける。


 走り去るサトナスに向かって特殊機動隊員が発砲するが全て当たらなかった。


 普通はこの山を即座に離れるべきなのだが、あえてここに残り、ここにいる特殊機動隊員を殲滅することにした。


 また追って来られたら同じことの繰り返しなだけだからな。


 あたりは暗くなり、街灯もない山の中。ゴーグルを暗視モードにして夜闇に紛れて動き出す。

 特殊機動隊員は応援が来たのかどうかわからないが6人に増えていた。しかし、プランに支障はない。


 最大限まで気配を消して近づいて行き、残り25メートルになったところでサプレッサーを付けた大型自動拳銃の引き金を引く。


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