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悪役令嬢物語

作者: 羽月

流行りに乗らせていただきました……。

「リリア・モンデナート。お前の罪をこの私、クレイド・ダークソリッドが暴いてやる!罪を認め、己の所業をを振り返るがいい!!」


さて、今、目の前で叫ばれているお方は一体何を言っているのだろう。


「心当たりが全くございませんが・・・・」


あ、申し遅れました、アーバン・モンデナート公爵を父にもつ私、リリア・モンデナート。所謂、公爵令嬢でございます。

これだけで察する方もいらっしゃるでしょうが、目の前でなぜか憤慨されているお方は、この国の第3王子でございます。お名前は割愛させていただきますね?先ほど、ご自分で名乗られてましたし。


「嘘をつくな!お前の悪行はこの私の耳にも届いている!!」


ですから、その悪行をやらを詳しくお聞かせ願いたいものです。

このお方とは、幼いころより婚約者として傍につかえさせていただいておりますが、ひさしぶりにわけのわからないことを言い出しました。

ええ、ひさしぶり、ですのよ?


「悪行とは何のことでございましょう?」


私がそう問えば、あの方は目を少し泳がせ、合点がいったとばかりに私に向き直りました。


「・・しらじらしい!!お前は、か弱き者に暴言をはき、嫌がらせをおこなったのであろう!」


「暴言に嫌がらせでございますか・・・」


ますますわからなくなってしまいました。

かのお方は満足そうに、眉間に皺を寄せ、私を睨みつけていますが、一体、私はどうすればいいのでしょう。

そう思っていたら、傍に控えていた私のメイドがこっそりと私に近づいて来ました。


「お嬢様、もしや隣国の・・・・」


後を濁すようにそれだけをメイドは私に耳打ちをして、再び定位置に戻りました。

隣国・・・。そういえば、最近話題に上がったことがあったような気が致します。

たしか・・・!そういうことですのね!


「私がやったという証拠はございますの?」


かの方に、そう問えば目をきらきらと輝かせて、私を睨み付けてきました。なんて、器用な事が出来るのでしょう。私も、今度練習してみようかと思います。


「証拠だと!お前がやったという証人は何人もいる!それに、お前以外にこんなことをするやつなどいない!」


そうですか。証人がいらっしゃったのですね?しかし、私はもちろん何もしておりません。


「物証はございませんの?証人だけなど、口裏を合わせればすむ話ではございませんこと?」


「ぶ、物証などないが、複数のものがお前がやったといっている!わざわざ口裏を合わせずとも、お前の性格を鑑みれば、お前がやったということは事実であろう!」


なんということでしょう!衝撃の事実です!

そんなことを言ってまさか本当に断罪できるとお思いなのでしょうか?

物証もなく、性格が悪いから犯人だと?

思わずめまいが致しました。


「ほ、本当にそんなことをおっしゃって・・・?」


「当たり前だ!そのような卑劣なことをするものを婚約者にはしておけない!お前との婚約は破棄とする!!」


なんと!私と婚約を破棄されたいと申されました!

これは本気と思ってよろしいのでしょうか?


「それは心からのお言葉でございましょうか?」


私は真剣な目で、目の前のお方を見ました。

えぇ、とても真剣な目で。


「そ、そうだ!心よりの言葉に相違ない!!」


若干戸惑ってらっしゃいますね。ですが、そんな御言葉を私は聞きたくありませんでした。


「そうですか・・・。わかりましたわ。クレイド様がそうおっしゃるな「ちがう!!!」」


あら、人が喋っている最中に言葉を被せてはダメだとお教えしたと思いましたが・・・。


「クレイド様?」


私、ちゃんとお勉強されない方は嫌いですのよ?

いたずらは許して差し上げますけど、私、やられたらやり返すのが基本ですの。もちろん、ご存じでしたでしょう?


「あぁ・・・。ごめん。リリア。僕が悪かったから、婚約破棄とか言わないで?」


そんな可愛いお顔でお願いされたら、私、引かざるを得ませんわね。


「あらあら、私が言い出したわけじゃございませんのに。でも、クレイド様が、わかってくださったら、私はそれでいいのですわ。でも、なぜ、急にこんなことを?」


私の部屋に入ってくるなり、何やらおかしな事を始められて、私は戸惑いました。

メイドに耳打ちしてもらわなければ、クレイド様の嫌いなお説教を始めるところでしたわ。


「次の学園発表で、芝居をすることになった。で、その演目が昨今巷を流行らせている悪役令嬢物語というわけだ」


うんうんと頷いていらっしゃいますが、それはきっと私達への戒めでもございますわね。

さすが、我が国が誇る学園の考えそうな事です。

隣国では、お馬鹿な王子に、立場がわからないお馬鹿な子爵令嬢のせいで、現在王室はてんやわんやときいております。

我が国で、同じことが起こらないよう早々に手を打ってきたというわけですのね。


「そうですか。クレイド様はその王子役をされるということですか?」


「当たり前だ!私以上に適任がいると思うか?」


まぁ、王子ですしね?王子ですからね。

大事な事ですので、2回言いました。

私の婚約者様は、現在9歳でいらしゃいますが、少し自由奔放なところがございます。陛下はそんなクレイド様を、心配されて現在の学園に入学させました。本来なら王子は、王宮で家庭教師をつけられるのですが。

ちなみに、私は王子の家庭教師の一人でした。学園に入る際、王子が間違っても変な子女とお付き合いしないよう私と婚約することになりましたが。

えぇ、私、仮初めの婚約者なのですわ。

正確には、王子のお目付け役ですわね。

あら?私が何歳か気になりまして?私、現在17になりますの。行き遅れと呟いた方、そこに正座しなさい。あとでお話がありますから。


「リリア?」


あら、黙りこんだ私を見てクレイド様は不安そうなお顔をされてますわね。


「はい、クレイド様」


にっこり微笑んで返事をすればほっと胸を撫で下ろすようにお顔を緩めます。


「もちろん、見に来てくれるだろう?」


あらあら、これはご招待をされているのでしょうか?


「もちろん、見に行きますわ!クレイド様の晴れ姿を私が見なくて誰が見ると言うのでしょう!」


私の返事にクレイド様は物凄くいい笑顔で頷いていらしゃいます。

あぁ、可愛らしい!


「ですが、その前に、レディの部屋へノックもなくいきなり入ってくるなど、言語道断ですわ。少しお話をいたしましょうね?」


先程までの笑顔が、急にひきつり始めました。

クレイド様が、いや、あの、とかおしゃってますが、早々に王子としての自覚を持っていただき、立派な王子となってくださいね?

私の愛する第一王子のように。

第三王子との婚約は王子が学園を卒業するまでと期間限定です。

また、リリアから婚約破棄(見限るとき)を申し出た場合王子は継承権がなくなり、降下することとなっています。


ちなみに、リリアと第一王子は愛し合っています。

~余談~


「クレイドの調子はどうだい?」

「えぇ、私が見てますもの。もちろん、順調ですわ

「そうか、早く君と正式な婚約者になりたい。いや、早く結婚したいな」

「まぁ、私もですわ!クレイド様には早々に学園を卒業していただかなくては」

「まったくだ。僕のリリアを婚約者としてるだけでも許せないのに、さっさと卒業出来ないのならば王子としての資格はないね」

「……兄様、僕頑張りますから!そう言うプレッシャーをかけるのはやめてください!!」


仲良し兄弟ですよ?

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