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私の望みは……  作者: 甘栗
7/13

7話

覚えている方はいるのでしょうか?

ようやく、浮かびましたので更新しましま

今から、21年前

季節は冬、深夜0時、深々と雪が降り続けている


静寂に支配された夜に2人の男が対峙している。

とても友好的な雰囲気ではない、重々しく狂気染みている、マトモな感性の人間なら堪えられないだろう

1人は神父服に身を包み黒いコート―裾がボロボロである―を羽織った男で、口は笑みを形作っていた。

両手を覆う白い手袋の中心には赤い十字架が描かれている。その両手が握り拳を作っている


もう1人は、同じく黒いコートを羽織い、黒いスーツを着た男。男もまた笑っている、狂喜に満ちた笑みを

神父服の男、カイルと同じ手袋をつけた手には片手剣が握られている。抜き身の刃は月明かりを反射し妖しく輝いている。まるで、速く斬らせろと訴えんばかりに


「ククク、カイル。まさか、お前を殺せとあの人に頼まれるとは俺も思わなかったぜ

何をしたんだ?」

「………」

「相変わらずだな

だが、悪くない。ククク、ハッーハハハ!!

ククク、本音を言えば、だ。個人的に貴様と殺し合いたかったところだったんでな、好都合」


好都合という言葉を聞き、カイルの笑みが深まった


「フフ、ハハハ、クッハハハ!!……好都合? 好都合、か。

ああ、それは私もだ。アイン、敬虔な徒よ

 お前とは同種の匂いがしていた。異教徒や主の敵と聞けば容赦なく殲滅するお前とは、こうなったらいいなと願っていたよ

ただ残念なのは、私は楽しみは最後まで取っておく派だったと言う点のみか」

「嬉しい言葉だ。さて、始めよう? 悪くない夜に、悪くない観客だしな」

「月のみが、行く末を見守る観客か

来るといいさ、敬虔な徒よ。

私はこうなった事が気に入らない、よってお前をぶん殴る。その結果私が、生きるか死ぬなどどうでもいい」


両者の笑みがますます深まり、同時に駆けた


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「あれから、21年か。さあ、優等生?

俺を追い返してみな」

「そうさせて、もらう」


言ってみたものの出来るかなんか分からない。私は素人だし、相手は熟練者かもしれない。ただ分かる事がある

この男は、戦いを楽しんでいる。そんな気がするのだ


刀を抜いた時には、既に眼前に迫ってきていて、突然の事に私は驚いてしまった

そんな私に何を思ったのか、剣を振るわずお腹に蹴りを食らわせてきた


「あ゛ッ!?」


後ろに後退りお腹の痛みに、蹲りそうになるのを必死に堪える

痛みで目尻に涙が溜まり零れたけど、相手を睨む


「よしよし、流石は奴の娘だ。悪くない目だ。これ位で音をあげるなよ?」


よろよろと、力なく立ち上がり構える。―殺したい―私は、考えなしに突っ込み袈裟斬りに振るう


「ハッ、優等生らしい剣筋だ。殺害経験の無さが見て取れる」


落ち着いた動きで剣を構え、私の攻撃を防いだ

刃と刃がぶつかり、火花が見えた気がした

ニヤリと男の口が歪み、顔を近づけてくる


「っ!?」

「さて、俺はアインだ。お嬢ちゃんの名前を聞いていいか?」

「………何故?」

「気紛れだ、ククク、なに。お嬢ちゃんも同種の匂いがしたんでね」


不愉快だ、こんな男と同類に思われるなんて。私は距離を置き構え直す

チラッとエミリーさんを見る。どうしたらいいか決めかねているように見える

この男を殺すには彼女の協力は必要だ。しかし、彼女に人殺しをやらせる訳にはいかない

……殺す、か。それしかない。だけど、殺れるのか?


「シェリス!!」


こっちに近づこうとするエミリーさんに片手を挙げて止める。なるべく彼女を傷ついてほしくない


「エミリーさん、地下へ行ってください」

「でも」

「お願いできますか?」


不安そうに私を見て、考え込み走っていった。コレでいい


「意外ですね。まさか、見逃して」

「ん? なに、見てなかっただけだ

後はお前の名前を教えてくれたんでな」

「そうですか」


腰を深く落とし、刀の切っ先を床スレスレに向ける。私の動きを見てまた笑っている

相手も剣を構え直した


「うあぁああ!!」


刀をそのまま引きずるようにしながら、一気に駆け下段から振り上げる。それを躱して私の顔に剣が迫ってくる

すんでで頭を傾げると刃が右頬を掠り、掠った場所が熱を持った。それに私は舌打ちをし、上段から刀を降り下ろす


「おっと」

「ちっ、この!!」

「こいつは、楽しんだ者勝ちだ。そらよ」

「ぐぅ!?」


私が攻撃すれば、余裕で防ぎ躱してくる

それに対して私は攻撃を躱しきれず、右頬、脇腹が出血している

一方的だ。強い、強すぎる


「気付いてるか? お前、笑ってるぞ?」


言われて、口許に触れる。言われた通りだ、口角が僅かにつり上がっている

ああ、楽しんでいるのか。私は

……確かにコレは面白い、これが、こんなにも楽しいとは……思ってもいなかった

斬るか、斬ってしまおう。それが、今の私の―『俺』の―望みなんだから

 距離を詰めて鍔迫り合いに持ち込むが、押し込もうにも体格、筋力に差がありすぎる

ち、使えない身体だ。一度刃をぶつけて反動を利用しもう一回、距離を離す


「ん?」


刀を鞘に納め、出来るだけ姿勢を低くしいつでも走れるようにする

アインとか言う男は、怪訝な表情を浮かべて様子見といった感じか。それならそれで構わない


「はあぁあああ!!」


雄叫びと共に、走る。奴の剣が迫ってくる

身体を捩りなんとか避けて、抜刀ッ!!

振り切ったし、手応えはあったが、殺れてはいない。刀を伝う赤い血はポタポタと木製の床に垂れ落ち、赤く汚した

素早く背後に向き直り、確認する。脇腹を深く押さえ狂喜に満ちた笑いを浮かべていた

……いいね、そうでなくては

今度は、アインが連続で剣を振るってきた。右に左にと忙しなく動く剣を刀で防ぐ


「ハッ」


私は、攻撃が止むとお返しとばかりに斬りかかる

楽しい

と、突きが私の腹を突き刺さんと襲ってくる。それを叩き落とし、右足で剣を踏みつけ男の首を斬ろうと――


「シェリスーー!!」


――したところで、止まった。私はゆっくりと声の主を見た

エミリーさんが、シスターに肩を貸してあげながら今にも泣きそうな顔で私を見ていた

な、何があったんでしょうか?


「みんな、無事だよ。今、フィーナが人を呼びに行ってる」


だから、殺すなと?

折角、刃を首に密着させているのに?


「……目当ての物は無かった。オーライ、引き上げるとしよう」


男は、剣を手放し私の襟を掴むと床に叩きつけてきた。背中からの衝撃に視界が霞んだ、頭を打ったのかもしれない

刀が私の手から離れ落ちた


「楽しかったよ。個人的には悪くない成果だった。また来るよ、シェリス」

「ま、待て」

「ククク、久しぶりに楽しめたよ。長生きはするもんだな」


踵を返し、私に背を見せる歩き出すアイン

手を伸ばすも届かない


「いいよ、シェリス。ほっとこ、貴女のお蔭でみんな、無事なんだから」


私の手がエミリーさんの両手に包まれた

冷たい、でも、なんだか落ち着いてくる


「あの、エミリーさん?」

「なあに?」

「ありがとう、ございます」


キョトンとしたかと思えば、彼女は普段の笑顔とは違い、優しく微笑んできた。ああ、貴女はそう言う表情も出来るんですね





あれから、時間が経ち夜になった。

今は、自室にいる

あの後、私はエミリーさんに支えられながらシスターに事情を尋ねると


「さあね。あの男は、いきなりやってきてカイルの所有物を寄越せと行ってきたから拒んだら私らを倉庫にぶちこんできやがったからね」

「目的は、父の荷物?」


私の質問に、頷き肯定し苦虫を噛んだような表情を浮かべる


「だろうよ。あんな危ない男は初めて見たよ。教会は滅茶苦茶だけど、全員の命があるだけ

良しとしようか」

「もう、エリスは前向きだなぁ」

「アンタも、怪我してるんだからさっさと帰りな」


私の傷を見て、シッシッと追い払うような動作をしてくる

エミリーさんと顔を見合せ、その場を後にする事にした


「シェリス」

「なんですか、シスターエリス」

「ありがとう、助かったよ」

「………どうも」


結局、あのアインと言う男は見つからなかったらしく現在も捜索中との事だ

私は、傷を屋敷で働くメイドの皆さんに見つかり、心配されたり怒られたりした

特にレヴィさんにはたっぷりとお説教を受けた。その後に傷を治療してもらえたが


「父、か」


アインは父の所持していた物を奪いにきた。だけど、シスター達はよく知らない

私に至っては、父がどんな人だったとかまったく知らないのだ

少しは知る必要があるかもしれない。そう、決めた

やっぱり戦闘描写が上手くいかない

もっと動きを伝えれるようになるのは、いつになるのでしょう? トホホ


もし読んで頂けたら、嬉しいです。

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