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私の望みは……  作者: 甘栗
4/13

4話

夢を視た

また、あの男の夢だ

3日ぶりだ、その3日間は安眠できたのに


しかし、何度も視ているが私はこの男の名前を知らない

私とは、関係あるのだろうか?

刀を使ったあの戦い方は、この男の技だった


今回は、あの内容とは違うみたいだ

この男がまだ若いし


「人斬り

何故、人を斬る?」


頭ワラで編まれた帽子を被った黒い格好をし、手には杖を持った老人が川辺の近くで、男に尋ねる


「さあな、理由などは既に覚えてねえ

ただ、斬る。それだけよ」

「そうか、理由がないのならば好都合よな」

「あ?」


男に近付き、左手を前に出す

意図するところが分からず怪訝な表情を浮かべる


「俺は、三津田真一郎っていう、お前は?」

「……何だよ?何がしてえ?」

「斬る理由がないなら、くれてやる

俺の用心棒になれ、人斬り」

「あ?なんでだ?」


ニッと笑う真一郎?とかいう人物

何故雇おうとするのかが分からない


「何故?

簡単な道理だ、血の気の多いけだものと歩いてやれるはやくざ者だけだ」

「……やくざもん、か

俺が、お前を斬るとは考えなんだか?」

「そん時は、そん時よ

好きにしろ」


…呆れた、こんな馬鹿を斬る謂れはない

俺は歩き、三津田とかいう男の横を素通る


「おいー」

「ー行くぞ、気にいらなけりゃ斬る、いいな?」

「…ああ、それでいい

名を教えてくれ」

「俺の名前はー」


ダメだ、聞こえなくなった

それに、景色が霞んでいる

時間切れ、か


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「…すごく、不快だ」


なんで、あそこで終わる?

もう少し、くらいの時間があってもいいはず

苛立っていても仕方ない

とにかく、ベッドから出て着替えるか


トントン、とノックする音がした

まだ、4時前なのにいったい誰が?

ちょうど、着替える前だったからいいけど


「シェリス、起きてるか?」

「…どうぞ」


ジェイクさんが、ドアを開けて中に入ってきた

珍しいな、私の部屋に来るなんて

しかも、スーツ姿で

出かけるのだろうか?


「睨むなよ

悪かった、ただ、なんだな

ちょっと会いたくない奴がお前に会いたいと言い出してな」

「…どなたですか?」


珍しい、ジェイクさんに会いたくない人がいるなんて

よほど嫌いなんだろうか?


「この街の『代表』だ

この街『イクリプス』が、『神聖国家イーリス』から自治権をもぎ取り発展させた奴だ」


この世界には、三つの国家が存在する

1つが、『神聖国家イーリス』

神託を受け、それを国の方針とする国家

魔法使いが、多く王都には多種多様の種族の住人が暮らしてる

この街は、100年前に自治権を得て、ここまで発展したらしい

ついでにいえば、この街は領土の端に存在する


もう1つは、帝国『レイナード』

竜人、獣人と人間が暮らす

力のみを信奉し、力で領土を拡大していった国

イーリスとは、過去に戦争していた


最後に、出来て歴史が浅い国家『イキシア』

浅いと言っても、他の2つに比べてだ

建国して、確か100年は経つ

どういう人達が住んでるか、何をやっているのか等の詳細は分からず、どちらとも同盟を組んでいない

ただ、イキシアの介入により戦争は終結したと学んだ


って、なんか横道にそれた気がする

それで、その『代表』がなぜ私に?


「気紛れだろうがな

『服装は、普段通りでいい

隠してる物を持ってきたうえで来い』だそうだ」

「…なんなんですか、それは?」

「わからん、俺が知りたい位だ」


あの刀を知っている?

いや、あの場には私とあの少女しか居なかった


「隠し物ってなんだ?」

「…刀です、私にと初対面の女の子がくれたんです」

「刀?

ああ、刀か。しかし、どうして?」

「さあ?

私には分かりません」

「…分かった

どういう訳か、アイツは知っている

まあ、持ってくしかないな」


行くしかない、か?

だけど、なんで、3日経ってから?

何が目的で?


「…分かりました

それで、エミリーさんは?」

「既に起こした

後、連れてくからな

娘の相手は、他のメイドさんには疲れるだろうしな」

「そうですか」

「この街の外れにある屋敷

そこにアイツはいる」

「先ほどから、アイツ呼ばわりですね

お嫌いなんですか?」

「…まあ、嫌いつーか苦手なんだよな

なんとなく」


子供みたいな理由だ、なんとなくって

それで、いいのだろうか?

しかし、行くのなら着替えなくてはいけない

そろそろ、部屋から出てもらわなくては


「ジェイクさん、すみませんが

着替えますので、ご退室ください」

「…ああ、そうだったな

すまん、出るわ」


自室から出ていくのを、確認してから着替える

メイド服にするか?

楽だし、いや、私服にするか?

……面倒だから、メイド服にしよう


着替え終えて、刀を取りだす

鞘から、少し抜き刀身を覗かせる

使う事はないはず

さて、行きますか


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


屋敷の入口前で、二人が待っていた

エミリーさんが、こちらに気づき駆け寄ってきた


「おはよう、シェリス」

「おはようございます、エミリーさん」

「今日は、父様も一緒ね」

「おう、一緒だ

では、馬車を用意してあるし中で早すぎる朝食にしよう」


馬車?

街の外にある訳でもないのに、ってああ

街外れにあるんでしたね


「ねえねぇ、シェリス」

「なんですか?」

「そろそろ、敬語はやめない?」

「…なぜ?」

「堅苦しい、なんか他人みたいなんだもん」


他人みたい、か

しかし、私は大切な友人と思ってるのだけど

敬語、抜きか


「シェリス~」

「……分かった

エミリーさんが望むなら、そうしよう」

「ホントに!!」

「ええ、貴女には敬語は使わない」

「やったあ♪」

「いやー、青春だねえ」


あ、ジェイクさんが居たんだった

忘れてた

馬車の中で、軽食を済ました

エミリーさんは、馬車からの光景に興味があるようで、ずっと外を眺めている


「『代表』は、どんな人なんです?」

「…会えばわかるぞ

俺は昔から好きじゃない」

「さようですか」

「んとね、会うと驚くと思う」

「そうなん、ですか?

じゃない、そうなのか」

「うん、純血の吸血鬼だからね」


純血の吸血鬼

だとしても、嫌う理由にならないはず

ジェイクさんは、外を眺めていた

ぽつり、と呟いた


「…俺がガキの頃からの知り合いでな

事ある毎に、からかってきやがる

歳上のくせにな」

「……はあ」

「父様の憧れなんだよ」

「昔の話だ、忘れろ」

「アレ?父様、今は代表の部下だよね?」

「…秘書みたいなものだ、必要ないくせにな

ホントなら、エミリー達のために早く帰れる職場がよかったぜ」


馬車が止まった、着いたようだ

降りるか


目の前にある屋敷、ここに『代表』と呼ばれてる人物がいるのか

何が目的で、何のために呼んだのかを教えてくれればいいけど


と、考え事をしている2人は既に歩いていた

慌て、後を追いかける

1人の老人が、近づいてきた

執事の人だろう、と予想する


「ようこそ、お越しくださいました

お話しは存じております、あの方のお部屋までお行きくださいませ」

「分かった、ありがとう」

「いえいえ、勿体なきお言葉です」


老人の案内で、屋敷の中に入ると老人は「申し訳ありませんが、これにて」と言って離れていった


「シェリス、行こ」

「ええ、分かった」

「えへへ」

「……?」

「素だと、なんだかかっこいいね」

「…そう?

自分では、分からないな」

「ん~、確かになんか中性的な感じがするな」

「旦那様まで」

「俺にも、敬語はなしで」

「お断りします」

「ちっ、やっぱりか

って、着いちまったか」

「シェリス、この部屋にいるんだよ」

「……この部屋に」

「開けな、俺はお断りだ

だいたい、アイツに礼儀なんか不要だ」

「それでいいんですか?」

「いいんだよ、ほら

はよはよ」


私は、ドアノブを握り中に入る

広い部屋の中央には、テーブルが置いてある

奥には、天涯つきのベッド

壁際には、ところ狭しと家具が置いてあった


「ほお、よく来たな

待っておったぞ」


その声は、窓際からした

声の主は、ソファーに腰かけていた

あの人が、『代表』?

いや、しかし


「突然呼び出して、すまなかったな

だが、来てくれて嬉しいぞ」


どこから、どう見ても俺にも10代前半の女の子にしか見えなかった

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