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エピローグ 夢の続き

 次の日、普通にグラウンドで練習を行っていると、智之は中村先生に呼ばれた。


「智之君、お客さんよ~! 七菜ちゃんも連れてきてほしいって!」


 何事かと智之は七菜を連れて応接室に向かう。智之には全く心当たりがない。


 応接室にいたのは、小森さんだった。


「え~、智之君? 大きくなったね! 俺のこと覚えてる?」


「ええ、お元気でしたか?」


「うん、元気元気。智之君こそ、まさか女子の監督をやっているとはね。驚いたよ」


 小森さんは三十過ぎとは思えない若々しい笑顔で智之たちを迎え、ソファーに座らせる。智之が最後に小森さんに会ったのは七、八年前だが、智之の記憶とあまり差異はない。


 小森さんの対面に七菜とともに腰掛け、智之は話を切り出した。


「それで、何のご用でしょうか?」


 まさか母校で懐かしい顔を見かけて押しかけてきた、ということでもあるまい。


「うん。僕はこういう者なんだけど……」


 智之の言葉に応じて、小森さんは名刺を取り出して智之に渡す。名刺に書かれた小森さんの役職を見て智之は目を見開き、隣から覗き込んでいた七菜は口元に手を当てて驚く。


「東京巨人軍関東地区担当スカウトって……! 小森さん、スカウトになってたんですか!?」


「うん。去年からスカウトをやらせてもらっていてね、昨日は武星孝太郎君と森橋君を見に来ていたんだ。そしたら、ものすごい球を投げる女の子がいた……」


 そう言って小森さんは七菜を見る。


「その娘が孝太郎君の妹さんで、プロ志望だってつぐみちゃんに聞いてね。こうして会いに来たわけだよ」


「じゃあ、私に……」


 七菜の顔に喜びの笑みが広がる。スカウトがわざわざ七菜に会いに来たからには、用事は一つしかない。


「うん、武星七菜さん、君に会いに来た。まだ一年生なんだってね。つぐみちゃんにはプロ志望って聞いたけど、日本のプロ野球で合ってる? 女子のじゃなくて」


「はい!」


「もしも、だけどうちの球団に指名を受けたら、入ってくれる意志はあるかな?」


「もちろんです!」


 小森さんはいくつか質問を繰り返してから大きくうなずき、最後にこう言った。


「本当に指名するかはわからないし、指名がない確率の方が高いと思っていてください。指名するとしてもおそらく育成枠です。けれども、たまに試合を見に来るよ。可能性は感じます。精進してください」


「ありがとうございました!」


 七菜が笑顔のまま大きく頭を下げ、小森さんは退席する。智之は七菜と校舎の外まで小森さんを見送ってから、七菜に言う。


「やったな」


「はい! これで一歩、またプロに近づけました!」

 心底嬉しそうに言う七菜に、智之はあえて水を差す。


「だが、小森さんは可能性を感じるって言っただけだ。あと二年で成長しないと、多分指名はない」


 これは智之の目から見て本当だ。チェンジアップの精度はまだまだだし、球速ももっと上がるはずだ。スタミナも五回で怪しくなるようでは全然足りない。フィールディングももっと上達するだろう。やらなければならないことは、いくらでもある。


「わかってます! 監督、鍛えてください!」


 七菜の反応に満足し、智之はうなずく。


「よし、さっそく戻って練習するぞ! まずは投内連携からだ!」


「はい!」


 いてもたってもいられなくなり、七菜は走り出す。智之も苦笑いして後を追った。


 彼女の走る先に栄光の未来があるかはまだわからない。しかし、こうして彼女が走り続ける限り、その可能性は消えないだろう。少しでも七菜の助けになれるなら、智之も七菜の隣を走り続ける。遠くなっていく七菜の背中を見ながら、智之はそう思った。

 読んでいただいた方、ありがとうございました。キャラに既視感がある、文章が拙い、展開に無理がある等ツッコミどころは多いと思います。

 個人的に一番大きな問題だと思ったのは、誰に向けて書いているかわからないということです。野球を知らない人にはさっぱり意味がわからず、野球を知っている人にはでたらめだらけという話になっているのではないでしょうか。

 ただ、個人的には楽しく書けました。コメント等頂ければうれしいです。

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