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部屋で起きたちょっとした話

艶やかな、黒

作者: 渡ノ森 水緩
掲載日:2012/10/09

顔に、糸のようなものが絡まる。

蜘蛛の巣か?と手で掴んで引き剥がした。


手に絡まっていたのは艶やかに黒い、糸のようなものだった。

なんだこれ?とよくよく観察してみる。


そっと摘まむ。

蜘蛛の糸のようなべたつく感じはないが、

手にまとわりついてなかなか離れない。


ぴん、ぴんと引っ張ってみる。

滑らかで、多少引っ張ったぐらいでは切れたりもしない。

思い切り力をかけるとプツリと切れた。


1m以上もある、これはーーーたぶん、髪だ。

しかも、女性の。


大切に手入れされ伸ばされたのであろう、

根元から毛先まで均一な太さを維持している、髪。


何故「女性の髪」だと思ったのかはよくわからない。

だが、何故か「女性の髪だ」という確信があった。



…この部屋に来たことのある人間を思い浮かべてみる。

部屋にまであげたことがあるのは、幾人かの友人と、親だけだ。


こんなに長い髪のやつは、一人もいない。


そもそも部屋にあげた中で、女は母親だけ。

そして、その母親も、もう何年も前からショートヘアなのだ。



嫌な感じがした。

こんな長い髪が一体どこから?と眉を顰めつつ天井を見回すが、

いつもの木目があるだけで特に変わった様子は無い。


キョトキョトと部屋を見回し、部屋の中に何か異常が無いか確認する。


窓からはいつもと同じ夕方の日の光が差し込み、

家路につく小学生の声がかすかに聞こえる。


いつも通りの、部屋だ。


なのに。

たった一本の髪の毛が部屋にあった、というそれだけで、大層気味が悪い。

しかも「落ちていた」のではなく、「顔にかかった」のだから。


顔にかかった、ということは、顔の高さに髪の毛があったということだ。

だが、天井にはそんな形跡は無い。扉のすぐそばというわけでもない。

電灯のそばでも無い。


一体どこに、髪の毛が「あった」んだ?




目を軽くつぶって首を振り、嫌な考えを追い払う。

ーーー考えていても仕方ない。


たまたま、どこかで付いてきた「長い黒髪」が、

たまたまさっき、顔にかかった。


きっとそうだ。



左手にまとわりついている長い髪の毛をなんとか摘みとり、

捨ててしまおうとゴミ箱を覗く。



そこには、大量の長い長い黒髪がぐるぐると渦を巻き、

いまにも動き、溢れだしそうに詰め込まれていた。

超ショートホラーストーリー、7本目です。

6本目でいただいたアドバイスを意識しつつ書いたら、少々長めになりました。

少しでも「怖い」と感じてもらえれば幸いです。


感想やアドバイス等、心待ちにしております。

気軽にコメントくださいませ(ぺこり)

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